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ユーグレナのニュースNews

ニュースリリース

2022.02.14

微細藻類ユーグレナの摂取により、心不全の発症にともなう腸内環境の悪化を緩和し、
心機能低下を抑えることを示唆する研究結果を発表しました

株式会社ユーグレナ

 株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充)は、東京大学医学部附属病院の梅井正彦特任臨床医、赤澤宏講師との共同研究により、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)が、急性心不全モデルマウスの便秘症状を改善し、心機能を改善することを示す研究結果を発表しました。なお、今回の研究成果は、「第84回日本循環器学会学学術集会」(2020年7月27~8月2日開催※1)で発表、また、2022年2月10日に『Circulation Reports』オンライン版に掲載されました。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/circrep/4/2/4_CR-21-0094/_article/-char/ja
※1 第84回日本循環器学会学術集会は、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて、大会の現地開催が中止となりましたが、オンライン学術集会“The Week for JCS 2020”として開催されました

■研究の目的
 心不全は高血圧や虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、不整脈など様々な心疾患の終末像で、罹患患者の生活の質QOL(Quality of life)を著しく低下させ、生命予後を脅かす重篤な疾患です。近年、心臓と消化管との関連性が注目されており、心不全を発症すると腸内環境に異常をきたすことが明らかとなっています。心不全患者は便秘など消化管症状を訴えることが多く、QOLを低下させる原因となります。また逆に、腸内環境の異常は心不全をさらに悪化させることが示唆されています。当社ではこれまでに、ユーグレナを継続的に摂取することにより、便秘を改善する可能性※2、腸内フローラが良好に保たれる可能性※3,4,5を報告しています。そこで、本共同研究では、ユーグレナの継続的な摂取により、心不全モデルマウスの心機能低下と便通を改善する可能性について検討しました。
※2 2017年9月12日のリリース https://www.euglena.jp/news/170912-2/
※3 2019年1月31日のリリース https://www.euglena.jp/news/20190131/
※4 2021年1月15日のリリース https://www.euglena.jp/news/20210115-2/
※5 2021年10月22日のリリース https://www.euglena.jp/news/20211022-2/

■研究の内容と結果
① ユーグレナの摂取により、心不全モデルの心機能低下が抑制されました。
 マウスにユーグレナ2%を含む餌、または通常餌を8週間続けて摂取させた後、イソプロテレノール(ISO以下、「ISO」)※6を7日間投与した心不全モデルマウスを作成しました。通常餌を摂取したISO投与群では、生理食塩水(以下、「生食」)を投与したコントロール群と比べて、心室壁の肥厚※7や心収縮能※8の低下などが認められました(図1)。一方でユーグレナを摂取したISO投与群では、壁肥厚に影響は見られないものの、心収縮能の低下が抑制されました。また心不全の際に上昇する心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)※9の遺伝子発現量がユーグレナ摂取によって上昇が抑制されている結果もあわせて得られました(図2)。
※6 ISOは、心臓のアドレナリン受容体に強く作用する薬剤であり、心不全モデルの作成に広く使用されます。本研究では生食に溶解して投与しました。ISOを溶解していない生食を投与したモデルをコントロールとしています
※7 心臓に負担がかかると、心臓の筋肉の壁が肥厚し、分厚くなることが知られています
※8 心収縮力は、心臓が拡張したときの大きさから、何%収縮したかを示します
※9 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、心臓で合成・貯蔵され、血液中に分泌されるホルモンです

図1:ユーグレナによる心不全モデルマウスの心機能低下に対する影響
ユーグレナ(-),ISO(-):通常餌を与えたあと、生食を投与したマウス、n=13
ユーグレナ(+),ISO(-):ユーグレナを与えたあと、生食を投与したマウス、n=12
ユーグレナ(-),ISO(+):通常餌を与えたあと、ISOを投与したマウス、n=12
ユーグレナ(+),ISO(+):ユーグレナを与えたあと、ISOを投与したマウス、n=13
* P<0.05, ** P<0.01, 一元配置分散分析、多重比較検定(ボンフェローニ法)
ボックス内の横線は、中央値を示します。上下端の横線は最大値と最小値を、ボックスはデータの分布を示します(第一四分位数、第三四分位数)。

図2:ユーグレナによる心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の遺伝子発現に対する影響
ユーグレナ(-),ISO(-):通常餌を与えたあと、生食を投与したマウス、n=9
ユーグレナ(+),ISO(-):ユーグレナを与えたあと、生食を投与したマウス、n=9
ユーグレナ(-),ISO(+):通常餌を与えたあと、ISOを投与したマウス、n=9
ユーグレナ(+),ISO(+):ユーグレナを与えたあと、ISOを投与したマウス、n=8
* P<0.05, ** P<0.01, 一元配置分散分析、多重比較検定(ボンフェローニ法)
心臓組織からメッセンジャーRNA(mRNA)を抽出し、定量的PCRを用いてANP遺伝子の発現量を測定しました。
発現量が変動せず安定しているGapdh遺伝子を用いて、各サンプルについてサンプル量を補正しました。
ボックス内の横線は、中央値を示します。上下端の横線は最大値と最小値を、ボックスはデータの分布を示します(第一四分位数、第三四分位数)。

② ユーグレナの摂取により、心不全モデルマウスの便秘症状が改善しました。
 心不全モデルマウスの消化管機能・便秘症状について調べるため、絶食後のマウスの盲腸内に残存する糞便量を評価したところ、生食を投与したコントロール群と比べて、通常餌を摂取したISO投与群において盲腸重量が有意に増加していました。ユーグレナを摂取したISO投与群では、通常餌を摂取したISO投与群と比べて、盲腸内容物は減少したことから、便秘症状が改善したことが示唆されました(図3)。また、通常餌を摂取したISO投与群において、消化管の蠕動運動能※10が有意に低下していましたが、ユーグレナを摂取したISO投与群では、蠕動運動能の回復が認められました(図4)。一方で、大腸内に残存する糞便個体数の比較や糞便中に含まれる水分量の比較を行いましたが、これらに4群間で大きな違いはありませんでした(図5)。これらの結果から、ユーグレナ摂取により消化管の蠕動運動が促進されることで、心不全における便秘症状が改善することが示唆されました。
 また小腸・大腸の組織像について検証を行ったところ、通常餌を摂取したISO投与群では小腸および大腸の絨毛※11が有意に短縮していたものが、ユーグレナを摂取したISO投与群では絨毛の短縮が抑制されていることが明らかとなり、腸内環境の改善が示唆されました(図6)。
※10 消化した食べ物を、腸が伸び縮みをくり返して腸内を移動させ、体外へ排出する動きです
※11 腸内環境が悪化すると腸上皮の絨毛が短くなり、栄養摂取不良、便通の悪化や免疫系の低下につながりやすいと言われています

図3:ユーグレナによる心不全モデルマウスの便秘症状に対する影響
ユーグレナ(-),ISO(-):通常餌を与えたあと、生食を投与したマウス、n=9
ユーグレナ(+),ISO(-):ユーグレナを与えたあと、生食を投与したマウス、n=9
ユーグレナ(-),ISO(+):通常餌を与えたあと、ISOを投与したマウス、n=9
ユーグレナ(+),ISO(+):ユーグレナを与えたあと、ISOを投与したマウス、n=8
* P<0.05, ** P<0.01, 一元配置分散分析、多重比較検定(ボンフェローニ法)
ボックス内の横線は、中央値を示します。上下端の横線は最大値と最小値を、ボックスはデータの分布を示します(第一四分位数、第三四分位数)。

図4:ユーグレナによる心不全モデルの消化管蠕動運動の低下に対する影響
消化管症状を調べるため、マウスに色素トリパンブルーを摂餌させたあと、一定時間内に消化管内を色素が進んだ距離(トリパンブルー到達距離)を計測することで蠕動運動能を測定しました。小腸全長に対するトリパンブルー到達距離が長いほど、消化管蠕動運能が高いことを示します。
ユーグレナ(-),ISO(-):通常餌を与えたあと、生食を投与したマウス、n=7
ユーグレナ(+),ISO(-):ユーグレナを与えたあと、生食を投与したマウス、n=6
ユーグレナ(-),ISO(+):通常餌を与えたあと、ISOを投与したマウス、n=7
ユーグレナ(+),ISO(+):ユーグレナを与えたあと、ISOを投与したマウス、n=7
* P<0.05, 一元配置分散分析、多重比較検定(ボンフェローニ法)
ボックス内の横線は、中央値を示します。上下端の横線は最大値と最小値を、ボックスはデータの分布を示します(第一四分位数、第三四分位数)。

 

図5:心不全モデルにおける大腸内糞便数や糞便中の水分割合の変化
ユーグレナ(-),ISO(-):通常餌を与えたあと、生食を投与したマウス、n=9
ユーグレナ(+),ISO(-):ユーグレナを与えたあと、生食を投与したマウス、n=9
ユーグレナ(-),ISO(+):通常餌を与えたあと、ISOを投与したマウス、n=9
ユーグレナ(+),ISO(+):ユーグレナを与えたあと、ISOを投与したマウス、n=8
有意差なし, 一元配置分散分析、多重比較検定(ボンフェローニ法)
ボックス内の横線は、中央値を示します。上下端の線横は最大値と最小値を、ボックスはデータの分布を示します(第一四分位数、第三四分位数)。

図6:ユーグレナによる心不全モデルの小腸および大腸の絨毛に対する影響
ユーグレナ(-),ISO(-):通常餌を与えたあと、生食を投与したマウス、n=9
ユーグレナ(+),ISO(-):ユーグレナを与えたあと、生食を投与したマウス、n=9
ユーグレナ(-),ISO(+):通常餌を与えたあと、ISOを投与したマウス、n=9
ユーグレナ(+),ISO(+):ユーグレナを与えたあと、ISOを投与したマウス、n=8
組織検査で広く使用されている染色方法であるヘマトキシリン・エオシン染色(HE)を使用して、小腸、大腸組織を観察ました。
* P<0.05, ** P<0.01, 一元配置分散分析、多重比較検定(ボンフェローニ法)
ボックス内の横線は、中央値を示します。上下端の線横は最大値と最小値を、ボックスはデータの分布を示します(第一四分位数、第三四分位数)。

 今回の結果から、ユーグレナは心不全における消化管機能や腸内環境の悪化を防いで便通症状を改善させ、さらに心機能低下も抑制する可能性が期待されます。当社では、からだが本来もつ「つくる・はたらく・まもる」のサイクルを支えるユーグレナの可能性のさらなる解明と、ユーグレナおよびその含有成分の健康食品、医療分野等での利活用や食材としての付加価値向上を目指し、研究開発を行っていきます。

<ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
石垣島ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいます。なお、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性についての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。

<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて石垣島で微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。石垣島で生産したユーグレナ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開発・販売を行うほか、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供を行っています。また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大。2012年12月東証マザーズに上場。2014年12月に東証一部市場変更。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。https://euglena.jp

―報道関係者お問い合わせ先―
株式会社ユーグレナ
広報宣伝部

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