euglena Project

42

次世代バイオディーゼル
燃料を普及させよ。

初導入と一般生活者向けイベントの開催

2020.04 –

継続中

次世代バイオディーゼル燃料の普及へ
第一歩を踏み出す

2020年4月、ユーグレナ社が製造・販売する次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」が、京急グループの川崎鶴見臨港バス株式会社の路線バスにて導入が開始した。そしてその1年後、ついに「サステナブルステーション byユーグレナ」と銘打った一般生活者向けの販売イベントが行われ、多くのメディアから注目を集めた。
ユーグレナ社の次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」は、使用済みの食用油や微細藻類ユーグレナから抽出した油脂など、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさない持続可能性に優れたバイオマス原料からつくられており、次世代の燃料として近年期待が高まっている。

ユーグレナ社のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント

「サステオ」の製造開発がスタートしたのは2018年10月。横浜市鶴見区の京浜臨海部に、ユーグレナ社の日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下、「実証プラント」)が設立されてからだ。
それと並行して、社内ではバイオ燃料が完成した際の販売体制づくりにも着手していた。そこで2019年8月にユーグレナ社に入社したのが、神永だ。

「自分は大学院を卒業したあと、海上自衛隊に入隊しました。そこでは護衛艦の機関士として燃料の管理を担っていたのですが、国防の視点でエネルギーセキュリティの重要性を感じる場面が非常に多かったのです。そんなとき、ユーグレナ社のバイオ燃料事業部の募集を知りました」
大学院で化学を専攻していたこともあり、神永の背中を押した。ここでなら、自分の力が役に立つと確信したという。

始めは見向きもされなかった
次世代バイオディーゼル燃料
営業先での信頼獲得に奔走

神永が入社したとき、すでに鶴見の実証プラントは稼働していたが、開発は難航していた。しかし、次世代バイオディーゼル燃料が完成したらすぐにでも販売できるように、顧客の開拓はもちろん行わなければならない。商品が未完成な中での営業は、かなり苦戦したという。
「2019年の夏頃は、バイオ燃料に対する社会のイメージは今とはまったく異なりました。まだバイオ燃料の認知度も低く、どんなに丁寧に説明しても、それを車に入れて本当に大丈夫なの?と疑いの目で見られることが多かったです」

従来型の燃料は、エンジントラブルが起こるといった課題が多かった。このイメージが定着しているせいか、お客様からの反応は厳しいものだった。
しかし、それでも神永は、「ユーグレナ社の次世代バイオディーゼル燃料は、分子構造が石油由来の軽油と全く同じなため、一般車両などのエンジンに負荷をかけることがない」という事実を伝え、必死に交渉し続けた。
「口で説明するだけでは信じてもらえないのは当たり前です。だからこそ、それまでいすゞ社で実施いただいた次世代バイオディーゼル燃料に対する性能試験の結果等も用いて、地道に営業活動を積み上げていきました」

いすゞ自動車株式会社では、すでに2018年12月より藤沢工場シャトルバスにて微細藻類ユーグレナからつくったバイオディーゼル燃料の実証走行を開始していた。大手自動車会社で性能試験がなされたことは、インパクトがあったという。
「いすゞ社による性状評価等のサポートもあり、まずは実証段階として少量使用し、問題なければ次は使用量の増加や他のモビリティへの導入等を検討すると言っていただけるお客様が少しずつ増えていきました」
苦難の道のりではあったが、バイオ燃料を日本に普及させるという熱い思いだけが、神永を駆り立てる唯一の動機だった。

そして2020年春、ついに次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」が完成した。
しかし、いざ営業やPR活動を展開しようというタイミングに起きたのが、新型コロナウイルスによる社会変化だった。

社会の混乱とともに始まった
次世代バイオディーゼル燃料の導入
PR活動に多くの困難

ついに次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」が完成し、いつでも供給できる状態となっていた。しかし導入予定だった企業から、コロナの影響で導入の目途が立たないという返答が相次いだ。
「そのようななかでも、一番に導入に手を挙げてくださったのが、京急グループの川崎鶴見臨港バスでした。担当者の方が導入にすごく熱心で、こんな状況でもやりましょう!と言ってくださったんです。コロナの影響でバスの運行状況も厳しい中でこう言ってくださったのは本当にありがたかったですね」神永はそう振り返る。

当時、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、社会的に厳しい外出制限が設けられていた。そのため、対面でのイベントやPR活動は自粛しなければならず、記念すべき初の次世代バイオディーゼル燃料の導入も、大々的な発表はあきらめるべきか、神永は悩んだという。
「連日、新型コロナウイルスのニュースで持ち切りのなかで、次世代バイオディーゼル燃料を初めて供給するリリースを発表しても、PR効果は薄いんじゃないかと懸念していました。だから、この事態が落ち着いた頃に改めてPRしようかと考えていたのですが、川崎鶴見臨港バスの方からもリリースを出しましょうと言ってくださったことに後押しされ、決心できたのです」

横浜市内を走行する川崎鶴見臨港バス
地元の小学生が、「大人になっても残したい自然」をテーマに描いた絵をラッピングしている

結果的に、このリリースは非常によい反応であった。新型コロナウイルス蔓延の暗い話題ばかりのなか、明るいニュースを出したという点と、未来に期待が持てる次世代バイオディーゼル燃料であることが、功を奏したようだ。
「テレビ局も取材に来てくださり、先方もリリースを出してよかったと言ってくれました。こんなに大きくPRできたのは久しぶりだよと喜んでいただき、すごくうれしかったですね」と神永は満面の笑みで話してくれた。

川崎鶴見臨港バスでは、現在も次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」での運行が継続されている。

念願だった一般生活者向けの販売を開始
対面でのイベントを初開催へ

川崎鶴見臨港バスへの初導入からちょうど1年後の2021年4月、念願の一般生活者向けイベント「サステナブルステーション byユーグレナ」を都内のガソリンスタンドで実施することが決定した。
2021年4月9日(金)~4月11日(日)の3日間限定で、株式会社ライフ白銅のセルフかつしか6号店で次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を初めて一般生活者の方向けに販売するというイベントだ。

「サステナブルステーション byユーグレナ」イベントの様子

このイベントを担当したのは、バイオ燃料事業部に異動してからわずか半年の西田だった。
西田はそれまでユーグレナ社で製品企画や販売を担当していた。もともと食品や化粧品の営業をしていた西田にとって、バイオ燃料は畑違いの仕事であった。
「ユーグレナ社に転職したのは、これまでとは違う、新しいことに挑戦したいという思いがあったから。入社してしばらくはヘルスケアの製品企画や営業を担当していましたが、バイオ燃料事業部の営業ポジションの社内公募を見て、これだ!と思ったんです」と西田は笑う。

「次世代バイオディーゼル燃料が完成し、製造量も安定してきたので、一般向けの販売イベントをしたいと以前から考えていました。しかし、次世代バイオディーゼルという新しい燃料を売るという全くの新規案件を共に取り組んでくださる会社が、なかなか見つかりません。そんなときに、ライフ白銅様との出会いがありました。新しい取り組みにご理解をいただき、共にイベント成功に向けて取り組んでくださることになり、葛飾の店舗でイベントをさせていただけることになりました」

しかし、異動間もない西田にとって、イベント準備は苦労の連続だった。
「すべてが初めてなので、準備はまさに手探り状態でスタートしました。燃料を販売するためには、消防などをはじめ、さまざまなルールの上で、安全に進める必要があります。あまり時間のないなか、自分たちの部署だけではできないことも多かったため、社内の仲間にも協力を依頼し、少しずつ体制も整えていきました。」

そしてイベント当日、西田は驚くことになる。
早朝から、テレビ、新聞、ラジオなど多くの報道陣が取材に訪れたのだ。さらに、問い合わせの電話もたくさんかかってきたという。
「たくさんのメディアに取り上げていただいたことで、バイオ燃料を一般の方々にも知っていただけたと実感しました。これまでは、一部の環境意識が高い層にしか認知されていなかったものが、実際にご自身の車にもお使いいただけるということを、メディアを通じてお伝えできたのは大きなインパクトになったと思います」

当日は多くの報道陣が訪れた

さらに、西田には印象に残ったことがあったという。 「イベント二日目の早朝に、男性がバイオ燃料を入れにいらっしゃったんですが、ナンバーを見たらかなりの遠方だったので驚いてお声掛けさせていただきました。旅行か何かでお越しいただいたのかと思ったのですが、このイベントのニュースを見てわざわざお越しいただいたとおっしゃるんです。メディアの力というものを実感したと同時に、きっとこの方から他の方へもバイオ燃料の話題は伝わり、環境問題の解決策のひとつとして、バイオ燃料が少しずつ認識されていくイメージが頭に浮かびました」

陸・海・空すべてのモビリティへの活用へ
バイオ燃料が当たり前の選択肢になるために

普及へのはじめの一歩を踏み出したユーグレナ社の次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」。これを担う神永と西田は、これからの展望をこう語る。

「すでに陸海空すべてのモビリティにユーグレナ社の次世代バイオ燃料の導入を経験していますが、今後はさらに、商業化の壁もクリアし、供給量を増やしていく必要があります。そのためには、品質が保証されたバイオ燃料を安定的に供給できるという信頼性を担保しつづけることが必要です。ユーグレナ社は当たり前のことを、当たり前にできるということを示し続けることで、大規模に商業化しても大丈夫だと信頼してもらうことが最も重要だと考えています」と神永は説く。

西田は、バイオ燃料の価値を改めて伝えていきたいという。
「多くの環境対策のなかで、バイオ燃料が一つの選択肢になるには、使いたいときに使える状況になっていることが必須条件です。ヨーロッパはすでにバイオ燃料の普及が進んでおり、日本も早くそうしていくべきだと思っています。そのために私たちができることは、着実に導入の実例を積み重ねていくこと。そのためには、バイオ燃料の持つ付加価値を正確にお伝えしていくことが必要です。環境対策は、会社や国だけが頑張るのではなく、個人の選択肢としても考える必要があるということを、伝えられるといいなと思っています」

彼らの働きは、日本のバイオ燃料の普及に確実に貢献しているだろう。これからのバイオ燃料事業に、ますます期待したい。

2022年10月掲出

euglena Data

~ユーグレナ社の次世代バイオディーゼル燃料『サステオ』~

サステオについてはこちら

登場人物

エネルギーカンパニー
実証製造部
神永 将司

2019年8月入社。
「今後も様々なモビリティへの導入にトライしつつ、商業化に向けて物流・品質保証面などもスケールアップしていく必要があります。その中でも安心・安全なバイオ燃料を継続してお届けし、2025年にはバイオ燃料を使用することが本当の意味での『当たり前』と表現できるような実績と信頼を積み重ねていきたいと思います。」

エネルギーカンパニー
バイオ燃料事業部 セールス&トレード課
西田 優

2016年1月入社。
化粧品開発チーム、流通営業部を経て2020年9月よりバイオ燃料事業部。
「『エネルギー対策』『脱炭素』『カーボンニュートラル』…なんとなく、遠い世界のことに感じますが、ひとりひとりが自分事として捉えることが大切だと感じています。
微力ではありますが、サステナブルな未来のために、できることをひとつずつ積み重ねて参ります。」

euglena Projects

vol.00

バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。

vol.01

誰もなし得ていない、ミドリムシの
屋外大量培養技術を確立せよ。

vol.02

ミドリムシを
300億円市場に育て上げよ。

vol.03

バングラデシュの
全ての小学校に給食を。

vol.04

煙突から排出されるCO2
ミドリムシを培養せよ。

vol.05

ミドリムシの化粧品事業を
立ち上げよ。

vol.06

日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。

vol.07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

vol.08

中国にミドリムシを
普及せよ。

vol.09

スーパーユーグレナを
獲得せよ。

vol.10

バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。

vol.11

ミドリムシでタケダと
新商品を開発せよ。

vol.12

下水処理場の下水を活用し、
ミドリムシを培養せよ。

vol.13

ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。

vol.14

日本独自の技術で、
ミドリムシを培養せよ。

vol.15

仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。

vol.16

ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。

vol.17

ミドリムシで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。

vol.18

ミドリムシの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ

vol.19

ミドリムシのカフェを
石垣島で開店せよ。

vol.20

ミドリムシを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

vol.21

ミドリムシ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。

vol.22

ミドリムシを使った
バイオ燃料を生産せよ。

vol.23

研究系ベンチャーを
ヒト、モノ、カネで支える
新しいファンドを確立せよ。

©2018 MELTIN MMI

vol.24

ミドリムシとクロレラで世界初の
ASC-MSC藻類認証を取得せよ。

vol.25

グループ企業との
シナジーを構築せよ。

vol.26

新しい仲間と、
遺伝子レベルで人を健康にせよ。

vol.27

自由が丘と
ミドリムシを普及せよ。

vol.28

ミドリムシサプリメントの
加工工場を立ち上げよ。

vol.29

理科のチカラで石垣島の
地域活性に貢献せよ。

vol.30

新しいミドリムシの
基幹化粧品を開発せよ。

vol.31

ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。

vol.32

ミドリムシ由来の美容成分を
研究解明せよ。

vol.33

学生のチャレンジを応援!
通年採用を開始せよ。

vol.34

ミドリムシとクロレラで
ハラール認証を取得せよ。

vol.35

健康寿命を伸ばすミドリムシの
可能性を発見せよ。

vol.36

竹富島のクルマエビ養殖事業を
発展させよ。

vol.37

「G20軽井沢」にてユーグレナバイオディーゼル燃料で自動車を走らせよ。

vol.38

石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。

vol.39

CFO(最高未来責任者)を募集・選考せよ。

vol.40

国産カラハリスイカを
栽培せよ。

vol.41

日本初となる「バーチャルオンリー
株主総会」を開催せよ。

vol.42

次世代バイオディーゼル燃料を
普及させよ。

vol.43

コーポレート・
アイデンティティを刷新せよ。