バスによる移動式学校の新規参加とユーグレナクッキーの空袋回収事情
【2021年4月の活動報告】

1. 2021年4月の活動報告

当社はGENKIプログラムにおいて、コロナ禍の休校期間中、ユーグレナクッキーの配布を再開しました※1。4月はGENKIプログラム対象校81校のうち26校の約3,800人に対し、18.8万食のクッキーを配布しました。4月5日から現地にて再度ロックダウン(都市封鎖)が始まった影響により、配布可能な学校が先月と比べ半数程度になっています。

グラフ

※1休校中でも先生方にはクッキー配布の為、学校に来ていただき、プログラムを再開する仕組みを確立しています。コロナ禍におけるGENKIプログラムの活動状況については、2020年8月 、2020年10月の活動報告をご参照ください。
※2 例年12月は月の半分以上が冬休みで配布日数が少なくなりますが、2020年度は15日分を1度にまとめて計2回(合計30日分)配布しました。そのため、コロナ禍前の2020年9月期より配布数が多くなっています。

2. バスによる移動式学校の新規参加

 今回は、4月から新たにGENKIプログラムに参加となったユニークな学校・チャカール校について紹介します。GENKIプログラムは幼稚園に通う4-5歳の園児から8年生である12-14歳の子どもたちにユーグレナクッキーを配布しています。同校では、未就学児から2年生までの子ども達が教育を受けています。
 チャカール校は、スラム街の子どもたちやストリートチルドレンに教育を提供するための移動式の学校です。「チャカール」とはベンガル語で「車輪」を意味し、子どもたちはバスの中で授業を受けています。

子どもたちが通うバスの学校「チャカール校」
子どもたちが通うバスの学校「チャカール校」
バスの中の教室の様子
バスの中の教室の様子

 バングラデシュでは、半数以上の子どもたちが幼稚園や保育園を経ず、直接小学校に入学します※3。この学校を運営する現地NGOのIHF (It’s Humanity Foundation)は、恵まれない子どもたちに初等教育や医療サービスを無償提供することにより、貧困をなくし、安全な未来を創造することを目標としています。地理的・経済的に教育から疎外されがちな子どもたちのために、バスを使った移動式学校を運営することで、幼稚園や学校に通うことのできなかった子どもたちへ教育を届けています。
※3 Fleer and Oers (2018) International Handbook of Early Childhood Education

 バスで学校を運営することによるメリットは、アクセスの悪い地域で授業を行うことができる点です。例えば、午前中に1つの地域で授業を行った後、バスで移動し、午後は他の地域で授業をすることができるのです。
 チャコール校は、先生3名とスタッフ1名で運営され、ダッカ市内の3か所を回って約100名の子どもたちに授業を行っています。残念ながら、現在はコロナ禍のため移動は制限し、1か所のみで午前のクラス、午後のクラスと分けて運営しています。

  同校のさらにユニークな点は、バングラデシュ政府がデジタル教育を推進していることを受け、デジタル教育に力を入れている点です。子どもたちはタブレットやスマートテレビなどの機器を使いながら、オンラインの教材に触れています。IHFへの寄付により学費は無料で、先生たちはボランティアでデジタル教育の訓練を受け、子どもたちに教えています。

デジタル機器を使った教育
デジタル機器を使った教育
デジタル機器は寄付によりまかなわれている
デジタル機器は寄付によりまかなわれている

 チャカール校で勉強し始めたラミヤちゃんの父親は、娘の変化についてこう語ります。
 「以前は、娘は恥ずかしがり屋で、他の子どもたちとの交流があまり得意ではありませんでした。しかしチャカール校に通い始めてから学校も先生のことも好きになり、同校に通い始めてからとても積極的になりました。学校で友達とおしゃべりしながら、お気に入りのレモン味のクッキーを食べることを楽しみにしています。」

ユーグレナクッキーを食べる子どもたち
ユーグレナクッキーを食べる子どもたち

 パートナーのIHFは子どもたちの栄養問題への関心も高く、GENKIプログラムに支援いただくのは2校目となります。活動費の一部を負担いただくことで、ユーグレナクッキーを配布しています。今後も、現地での協賛パートナーを増やし、より多くの子どもたちに栄養豊富なユーグレナクッキーを届けられるよう尽力してまいります。

3. ユーグレナクッキーの空袋回収と現地の廃棄物処分事情

2015年11月の活動報告でご紹介したように、GENKIプログラムでは開始当初よりユーグレナクッキーの空袋を学校で回収しています。ユーグレナクッキーが子どもたちの口に入らず転売されたり他の人が食べてしまったりするリスクを回避すること、またごみを放置しないことを目的としています。

コロナ禍においては、2020年10月の活動報告でご紹介したように、日替わりで登校する子どもたちに、月2回ユーグレナクッキーを15日分まとめて渡しています。子どもたちはユーグレナクッキーを受け取る際に、前回受取ったユーグレナクッキーの空袋を先生に手渡しし、先生は袋数を確認します。その後、学校は集めた空袋を定期的に行政の廃棄物回収サービスに出します。このように、GENKIプログラムでは、ユーグレナクッキーを子どもたちに配布するだけではなく、空袋の回収までモニタリングしています。

空袋を学校に持参し、回収する様子
空袋を学校に持参し、回収する様子

 バングラデシュでは、毎日1.5万トンの廃棄物が発生しており、2025年までにその量が4.7万トン/日になると予測されています。適切な方法で収集されている廃棄物は37%前後に過ぎず、残りは空き地などに捨てられ、日本のように組織的に廃棄物を管理するには至っていません。※4

 では、回収されている上記約40%廃棄物について、ダッカ市内での処理事情はどのようになっているのでしょうか。

※4 JETRO バングラデシュ BOP実態調査レポート

野外に置かれた廃棄物
野外に置かれた廃棄物
集積所にある分別されていない廃棄物
集積所にある分別されていない廃棄物

 首都ダッカでは、ユーグレナクッキーの空袋のように家庭などから出る少量の廃棄物は、一次収集サービス業者が廃棄物を集め、最寄りの集積所に運搬されます。その後、大きなトラックでダッカ郊外の最終処分所へ運搬され、埋め立てられています。
 ダッカ市とJICAが2007年に開始した「クリーンダッカ」と呼ばれるプロジェクトでは、最終処分所へ運搬される前述のトラック手配が推進された結果、収集量は大幅に改善しました。しかし、バングラデシュの路上では今も廃棄物が目立ちます。

集積所から最終処分所へ廃棄物を運搬するJICA提供のトラック
集積所から最終処分所へ廃棄物を運搬するJICA提供のトラック

 また、バングラデシュではリサイクルも大きな課題です。オランダの民間団体World Wide Recyclingなどの国際機関が同国でリサイクル事業を推進しており、現時点でリサイクルされている多くは新聞紙、ガラス、ペットボトルなどです。しかしリサイクルに関する施策が整備されていないことから、写真の通り廃棄物はほとんど分別されていません。例えばプラスチック製品に関しては、2018年時点のリサイクル率は約30%にとどまっており、残りは埋め立てられています。※5
 バングラデシュのリサイクルを含めた廃棄物処分方法は、改善途上です。ユーグレナクッキーの袋回収を通じ、日本のように、子どもたちがごみを路上に廃棄せず、分別する習慣が定着していくことを願っています。

最終処分所に埋め立てられる廃棄物の様子
最終処分所に埋め立てられる廃棄物の様子

※5 The Financial Express Plastic recycling waste management

今後とも、GENKIプログラムへのご支援をどうぞよろしくお願い致します。

株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所