バングラデシュでのコロナ禍での課題学習の取り組み
【2021年1月の活動報告】

1. 2021年1月の活動報告

当社はGENKIプログラムにおいて、コロナ禍の休校期間の中、ユーグレナクッキーの配布を再開しました※1。1月はGENKIプログラム対象校66校のうち36校の約6,000人に対し、17.1万食のクッキーを配布しました。

※1休校中でも先生方にはクッキー配布の為、学校に来ていただき、プログラムを再開する仕組みを確立しています。コロナ禍におけるGENKIプログラムの活動状況については、2020年8月2020年10月の活動報告をご参照ください。
※2 例年12月は月の半分以上が冬休みで配布日数が少なくなりますが、2020年度は15日分を1度にまとめて計2回(合計30日分)配布しました。そのため、コロナ禍前の2020年9月期より配布数が多くなっています。

2. コロナ禍での課題学習の取り組み

先月のレポートで報告させていただいた通り、コロナ禍での勉強の遅れを少しでも取り戻すため、学校によっては、定期的に子どもたちに登校してもらい、課題を課すなど部分的に開校しているところもあります。今月は、GENKIプログラム対象校の1つであるハミンモデル小学校の課題学習の取り組みについて紹介いたします。

バングラデシュ国内では、2020年3月17日から休校が始まりました。子どもたちは友だちに会えないことに寂しさを感じるようになり、同時に、学びの機会が少なくなったことに不安を抱くようになりました。このような状況を考慮し、学校はソーシャルディスタンスを保ちながら課題学習の場を提供することに決めました。

写真-1:週1度学校で課題を提出する子ども
写真-2:自宅で学習する子ども

課題学習は、週1回学年によって決められた曜日に子どもたちが登校する仕組みです。前週に与えられた課題を自宅で行い、登校時先生に提出します。先生は前週の解答結果を子どもたちに戻します。子どもたちは、不明点があった場合はその場で質問することができますが、質問時間は短時間に限られます。先生は時間的制限があるため、子どもたち1人1人へのフォローが難しいと感じています。一方で自宅での学習時、不明点をすぐに先生に質問できないことに苦労している子どもたちもいます。

この問題を少しでも解決するため、学校は希望者に対し家庭教師の取り組みを始めました。1か月約400円を学校に支払うことで、自宅を訪問し、課題を教えてくれます。受講者の多くは、毎年12月に予定されている日本でいう「大学入学共通テスト」と同じような全国統一進級試験を受ける5年生の子どもたちです。

バングラデシュ政府は、2021年2月中に学校を再開するよう指示をだしていますが、各学年、週1度の開校見込みで、残念ながら限定的な開校となります※1。そのため、学校側は引き続きこの課題学習と家庭教師の取り組みを続けていきたいと考えています。

※1 The Daily Star(2021). Closure of all educational institutions extended till February 28

写真-3:家庭教師との自宅での学習の様子

3. 首都ダッカの自転車事情

バングラデシュの主要な交通手段はリキシャ(3輪で動く人力車のような乗り物)、CNG(天然ガスで動くオート3輪の乗り物)、車です。首都ダッカの道路はいつも混雑しており、クラクションが鳴り響いています。

写真-4:ダッカ市内の様子
写真-5:リキシャ
写真-6:CNG

そんな中、近年では自転車の利用も急増しています。
実は世界的に見てもバングラデシュは自転車の製造大国で、ヨーロッパ向け自転車の3番目の輸出国です※2。国内でも輸入・国内製造の自転車のマーケットが広がってきています。市民の所得も向上し、混雑した道路でも身軽に使用でき、健康にもよいことから一般家庭にも自転車愛好者が増加しているのです。

また現在コロナ禍の影響もあり、食料の宅配サービスやオンラインショッピングが増えてきており、それらの宅配にも自転車が使われています。街中では最近日本でもよくみられる宅配サービスと同様、Food Pandaという宅配用の自転車がよくみられるようになりました。利便性の良い交通手段として、自転車はこれからどんどんダッカ市内に広まっていくのかもしれません。

※2 DATABD.C(2020) Bicycle Industry in Bangladesh: Pedalling into Glpbal Market

写真-7:バングラデシュでみられる自転車
写真-8:宅配サービス Food Panda

GENKIプログラム対象校に通う5年生のショシちゃんも自転車に乗ることが大好きな1人です。2年前、ショシちゃんのお父さんはお金を貯めて、約5,000円の中古自転車を買ってくれました。スラム街の平均世帯月収が約20,000円であることを考えると、入手することが困難であることが分かります。ショシちゃんは近所で、この大事な自転車に乗ることに喜びを感じていました。

しかし、コロナ禍による非常事態の中、仕立屋を営んでいるショシちゃんの家族の収入は激減しました。約18,000円の月収から5,000円ほどになってしまったのです。残念なことに、ショシちゃんの自転車を約4,000円で売り、家族の生活の足しにするしかなくなってしまいました。

写真-9:街中でも自転車が見られるようになった
写真-10:家族の手伝いをするショシちゃん

今では世帯月収は13,000円程度に戻ってきています。ショシちゃんは、また自転車に乗れる日々を楽しみにしながら、家族の仕立ての手伝いをしています。

私たちは、GENKIプログラム対象校に通う子どもたちが、学校での勉強や趣味を楽しめる日が遠くないことを願っています。

今後ともご支援のほどどうぞよろしくお願い致します。

株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所