笑顔が戻った広場:地域と子どもたちが築いた安全な遊び場【2025年1月~3月の活動報告】

今回のレポートでは、GENKIプログラム提携校の子ども主体で取り組んだ、広場づくりについてご紹介します。 

1.ダッカ・アイディール・キャデット校の地域連携活動 

バングラデシュの首都ダッカでは、人口が密集している為、ほとんどの学校に十分な校庭がありません。GENKIプログラムの提携校であるライヤーバザール地区のダッカ・アイディール・キャデット校も、その例外ではありません。 

この地区にある唯一の広場は、本来なら子どもたちが自由に遊べる場所であるはずでした。しかし実際には、地域の事業者による出店やイベント開催などに使用されることが多く、子どもたちが自由に広場を使うことはできませんでした。さらに、広場にはゴミが散乱し、時には薬物の取引が行われることもあり、子どもたちにとっては安心して遊べる環境ではありませんでした。 

出店で占有されている広場
リキシャ置き場に使われていた広場の一角 

自由に遊べる場所がない子どもたちは、道路で遊ぶしかありませんでした。時には、細い路地に子どもたちが集まり、ゲームをしたりする為、近隣住民が道路を通れなくなってしまうこともありました。このように、ダッカでは、子どもたちが路地で遊ぶ光景が日常的に見られ、ほとんどの人々は、この状況を受け入れるしかありません。 

路地でゲームをする子どもたち 
路地で遊ぶ子どもたち 
保護者に見守られながら路地で遊ぶ子どもたち 

その様な中、ダッカ・アイディール・キャデット校の生徒たちは、地域の人たちの協力を得ながら、状況を変えることを決意しました。まず、“Work for a Better Bangladesh Trust”という団体の協力を得て、一緒に地域のリーダーたちと話し合い、自分たちが直面している問題を説明しました。子どもたちは、先生や保護者、地域の人々の支援を受けながら、少しずつ広場から出店やイベントを撤去する事に成功しました。 

しかし、広場を使用していた人々に、その場所を完全に明け渡してもらうことは簡単ではありませんでした。そこで生徒たちと地域のリーダーたちは、地元の行政機関や市役所と話し合い、さらには法執行機関の協力も受けながら、子どもたちが安心して遊べるよう広場を整備していきました。 

説明会を開くモニル校長 

立ち退きが完了した現在、広場には整備された歩道、遊具、公衆トイレやベンチなどが設置され、地域の子どもたちが安心して利用できる環境が整いました。また、以前に建設された古い壁は撤去され、代わりに広場の様子が見える新しいフェンスが設けられました。 

子どもたちは、地域の行政機関やリーダーたちの指導のもとで、決められた時間に広場を利用し、綺麗に保つためのルールを守りながら活動しています。 

新しくなった広場で遊ぶ子どもたち 
遊具で遊ぶ小さな子どもたち 

この広場は、現在は安全で清潔な、そして子どもたちにとって楽しい遊び場へと生まれ変わりました。そのため、ダッカ・アイディール・キャデット校の生徒をはじめ、近隣の学校に通う子どもたちも、この場所へ来られるようになりました。小さな子どもたちは、すべり台やブランコなどの遊具で遊び、高学年の生徒たちは、歩道を歩いたり走ったりして運動に励んだり、サッカーやクリケット、なわとび、かけっこなどをしたりして楽しんでいます。かつてのように出店やイベントのために、この広場が使用されることはなくなり、今ではこの広場は地域の誰もが集える憩いの場として親しまれています。 

子どもたちは、「きれいで安全な遊び場ができてとても嬉しい。」と話しています。ある生徒は、「今は自由を感じます。怖がらずに、思いきり走ったり遊んだりできます。」と語ってくれました。保護者たちも、「子どもたちが、笑顔で遊ぶ姿を見られるのは、本当に素晴らしいことです。子どもたちの健康や幸せにとってとても大切です。」と喜んでいます。 

生徒、保護者、教員、そして地域の人たちの努力のおかげで、今では子どもたちにとって大切な遊び場ができました。同校のモニル校長は、「今後は、防犯カメラの設置や、警備員の配置などにより、安全性をさらに高め、スポーツイベントや子ども向けの楽しいプログラムも開催していきたいです。」と語っています。 

GENKIプログラムは今後も子どもたちを支援してまいります。 

2. 2025年1-3月の活動報告 

1-3月の3か月間は、GENKIプログラム対象校87校のうち、1日平均約8,815人に対し、合計49万食のユーグレナクッキーを配布しました。なお、3月はイスラム教の断食期間だったため、配布数が減少しています。