創造の力で広がる子どもたちの世界【2025年4-6月の活報告】  

今回のレポートでは、GENKIプログラム提携校の、身近なものを利用した創作活動についてご紹介します。 

1.想像力と希望にあふれる教室 

密集するスラムの中心の限られたスペースで、子どもたちは力強く生活しています。そんな環境にある、GENKIプログラム提携校のOBATイングリッシュ校では、明るく創造的な活動が始まりました。
生徒たちは、不要になった素材や日常生活で捨てられがちなものを、工夫して再利用し、絵や工作などの創作活動に取り組んでいます。 

作品を制作中の生徒 

この活動は、校長である、ハサン先生の「子どもたちにもっと豊かな学びを届けたい」という思いから始まりました。教育は想像力に満ち、楽しいものであるべきだと信じるハサン先生は、子どもたちの為に、新しい取り組みにチャレンジしたいと考えていました。ハサン先生は子どもたちが、それぞれの家庭で、アートに触れる機会が少ないことに着目し、学校で創造的な活動を導入することを考えました。 

この活動の目的は、子どもたちが楽しみながら学び、自分の可能性を広げるとともに、身近な素材の再利用を通じて創造力を育むことです。

ハサン校長先生と生徒たち

作品づくりに使われる材料は、生徒たちの身近な環境から工夫して集められています。箱や鉢、紙、小枝など、ほとんど費用のかからない素材が中心です。中には、おこづかいを少しずつ貯めて、地元のお店で必要な材料を購入する子どももいます。子どもたちは、自分たちの暮らしの中にある限られた環境を、制約とは捉えず、むしろそこから創作のヒントを得て、豊かな発想へとつなげています。 

多くの子どもたちは、大家族とともに、広さに限りのある部屋で暮らしていますが、その中でも静かに座って創作活動に向き合う時間を大切にしています。この活動は、学校の枠を超えて、彼らの暮らしの一部となり、集中力を高め、日々の中に創作という新しい楽しみをもたらしてくれています。 

お母さんと自宅で創作活動をするナディアさん(真ん中) 

現在では、すべての生徒がこの活動に参加しており、家庭でさまざまな作品を作り、学校に持参し、クラスメイトや先生に作品を紹介しています。紙で花を作り壁の装飾をする子、ユーグレナクッキーの包装紙や箱を再利用して作品を作る子、鉢にカラフルな絵を描いて装飾する子、家や動物の模型を作る子など、表現の幅もさまざまです。

ウェルカムボードを作成中の生徒 

5年生のナディアさんは、「この活動が大好きです。自分の作品が教室に飾られているのを見ると誇らしい気持ちになります。弟も私の様子を見て、自分の作品を作ろうと頑張っています。」と話してくれました。 

自宅で作品を作成中のナディアさん(左)と弟 
作った作品を自宅に飾るナディアさん 

6年生のアシフさんは、「僕の家は広くはないけれど、工夫と創造力で家を飾ることが好きです。ユーグレナクッキーの箱を使って、壁の飾りやインテリアを作ることが多いです。不要になった材料を、意味のある素敵なものに変えることがとても楽しいです。」と、教えてくれました。 

学校で製作中のアシフさん
妹たちと自宅で製作活動をするアシフさん(右) 

先生たちもこの活動を楽しんでおり、図工の先生のシャルミン先生は「生徒たちの想像力には本当に驚かされます。お互いに助け合い、アイディアを共有することで、私たちが生徒から学ぶこともあります。」と話します。この活動は、先生と生徒の絆も深めるきっかにもなりました。 

シャルミン先生からアドバイスをもらう生徒 

さらに、この活動は、子どもたちの自信を育むきっかけにもなっています。以前は、人前で話すことが苦手だった生徒も、今では自分の作品について語ったり、制作の過程や工夫を説明したりしながら、人前に立つ自信をつけるようになっています。 
 
この活動は、単なる絵や工作の創作だけにとどまらず、身近な道具を使って工夫する創造力を育んでいます。ハサン先生たちの支えによって、子どもたちは、想像力を伸ばし、創作の喜びを感じながら、学びを育んでいます。 

GENKIプログラムは今後も子どもたちを支援してまいります。 

2. 2025年4-6月の活動報告 

4-6月の3か月間は、GENKIプログラム対象校87校のうち、1日平均約8,045人に対し、合計48万食のユーグレナクッキーを配布しました。