~バングラデシュからの「ユーグレナGENKIプログラム」レポート~


2019年9月の活動報告
~今期の活動振り返り~

株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所

1.今期の活動振り返り

いつも「ユーグレナGENKIプログラム」をご支援いただきありがとうございます。今期(2018年10月~2019年9月)のユーグレナクッキー修正配布目標210万食に対し、215万食を配布しました。今期のはじめ(2018年10月)、対象校は59校でしたが、9月末時点で対象校は66校まで増え、現在約11,000人の子どもたちに週5日ユーグレナクッキーを配布しています。その結果、9月末時点でユーグレナクッキーの配布数は累計855万食を突破しました。また、ユーグレナクッキー配布以外に、今期は食育・衛生セミナーを首都ダッカにある対象校53校の内、24校(約500人)で実施しました。毎回、セミナーの実施前には子どもたちに以下のような栄養や衛生に関する理解度アンケートを行い、現状の把握と対策を考えてきました。

区分① 区分② 主な質問内容 平均正解率
栄養 3大栄養素 3大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)とは何か?
それぞれの役割は?
17%
衛生 手洗い 正しい手洗い手順(8手順)を知っているか?
なぜ手洗いが必要なのか?
21%
衛生 歯磨き 歯の役割は?
1日の中で最も歯磨きをしなければならない時間帯は?
47%
衛生 爪切り 爪の役割は?
爪切りの最適な頻度は?
60%

理解度アンケートからは、3大栄養素や手洗いの正解率が特に低いことがわかりました。この問題を改善するため、子どもたちが楽しみながら知識を習得し、実践できるゲーム方式でセミナーを行っています。具体的には、魚、野菜などの絵を子どもに渡し、各栄養素の図に食べ物を埋めるゲームや、色を塗った栄養素の空箱の中に食べ物を入れ、子どもたちが手で食べ物を触り、食べ物の名前を回答するものです。また、手洗いについては、ベンガル語の手洗いソングを30秒間流し、みんなで歌いながら正しい手洗い方法を覚えてもらいました。
 セミナー後、ある学校では正しい手順を習慣化するため、ポスターを手洗い場所前にはりました。子どもたちだけではなく先生たちもこのポスターを見て、正しく手洗いするよう心掛けています。また、子どもたちはセミナーで習得した手洗い方法を家族にも伝え、家庭でも実践しています。来期もこのような栄養や衛生に関するセミナーを継続し、状況の中長期的な改善を目指していきます。

2.ジュート(黄麻)栽培の手伝いをするサンジアちゃんの紹介

今月は、ジュート(黄麻)栽培の手伝いをしている2年生のサンジアちゃん(8歳)を紹介します。ジュートは「黄金の糸」と呼ばれ、主産地は熱帯あるいは亜熱帯である南アジア(バングラデシュ及びインド)です。一般的に4月に種まきをし、8月に約100日かけて収穫されます。背丈は、2-3mと長いのが特徴的です。バングラデシュにおけるジュート産業は、昔から大切な産業で、現在全世界のジュート生産量の約55%がインド産、約35%がバングラデシュ産です。バングラデシュでは、多くの人々が200軒以上あるジュート関連工場でジュートの生産と加工に従事しています。カーペットの裏布、バッグや布などに使用するため、一部は日本にも輸出されています。
 サンジアちゃんが通うテンタカマダリプール小学校は、首都ダッカから南に100km離れた場所にあり、ジュートの生産地です。サンジアちゃんの家族を始め、多くの人々がジュートの栽培に従事しています。サンジアちゃんは、お父さん、お母さん、6歳の弟、サンジアちゃんの4人家族で、ジュートの収穫期には、家族総出で作業します。ジュートは加工までにいくつかの工程を必要とします。まず、刈り取った生茎を1-2週間位、水に漬け発酵(浸水醗酵)させ、手で1本ずつ皮をはいでいきます。外側の皮をはいだ内側にある部分がジュートの原料で、これをさらに水洗いして不純物を除き、乾燥させ繊維状で加工しやすい状態にします。サンジアちゃんの主な仕事は、お父さんが刈り取ったジュートを手で仕分けしたり、集荷場に運んだりすることです。サンジアちゃんは、繁忙期には放課後友達と遊ばず、すぐにこれらの手伝いをします。また、弟と一緒に掃除、料理、洗濯などの家事手伝いもしています。サンジアちゃんは、ジュート製のロープなどを日ごろ使用していますが、バングラデシュの女性の伝統的洋服であるジュート素材のサリーはまだ着用したことがありません。大きくなったら、自分が収穫したジュートから作られた華やかなサリーを着ることを楽しみにしているそうです。

3.地球温暖化・森林破壊に関する学校の取り組み

9月に、ニューヨークの国連本部で「気候行動サミット」が開催され、各国が気候変動の対応を議論しました。スウェーデンの16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんが「失敗したら我々は許さない」と各国の指導者たちに警告したことが話題になりました。グテレス国連事務総長は「77カ国が2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることを約束した」と締めくくりました。
 バングラデシュでは、地球温暖化による自然環境の変化が問題となっています。地球温暖化などの気候変動により、降水パターンの変化や洪水、塩水化が多発し、干ばつの影響によるコメ、小麦などの減収などが深刻化しています。また、経済成長に伴う木材需要に対応するため、この20年間で約50%の森林が破壊されたという調査結果もあります。
 GENKIプログラム対象校のアイディアルキャデット小学校のモニール校長先生は、これらの状況に危機感をもち、2011年より子どもたちに地球温暖化・森林破壊に関する教育を行っています。低学年の子どもたちにはなぜバングラデシュだけではなく全世界で森林破壊が起きているのか丁寧に説明し、高学年の子どもたちには、気候変動による影響をデータとともに詳しく説明しています。授業で教えるだけではなく、自然を大事にする気持ちを養うため、昨年モニール校長先生は約250本のマンゴーなどの苗木を子どもたちに配りました。子どもたちは校庭や自宅の庭に苗木を植え、大切に育てています。
 モニール校長先生は「私が子どもの頃は、家の周りにも森林が多くありましたが、年々伐採により森林が減っています。特に学校がある首都ダッカでは森林が少なく、学校の周りも建物ばかりです。残念ながら私たちにできることは限られていますが、子どもたちが森林破壊や地球温暖化に関心をもつことで、地球に優しい人間になって欲しいです」と希望の言葉を伝えてくれました。


引き続きご支援をよろしくお願いいたします。