ユーグレナ社創業のきっかけとなった地、バングラデシュ。
ユーグレナ社は10年以上にわたり、バングラデシュの子どもたちに無償で栄養豊富なユーグレナ入りクッキーを配布する「ユーグレナGENKIプログラム」や、現地農家の所得向上に取り組む「ソーシャルビジネス」などに取り組んできました。
一方で、現在のバングラデシュは社会課題を抱える国だけではありません。急速な経済成長を続ける企業や新たな市場が生まれ、人々が未来に向かって挑戦を続ける活気ある国でもあります。
2026年7月、11名のユーグレナ社の仲間※1たちが現地を訪問しました。
今回の訪問では、GENKIプログラム対象校の視察やストリートチルドレン支援団体との交流に加え、現地パートナー企業との意見交換、市場視察、そしてグラミングループ創設者でありノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士との面会など、さまざまなプログラムを実施しました。GENKIプログラムの活動の現場や急速に変化する街並み、そして未来に向かって挑戦を続ける人々との出会いは、仲間たちにとって創業の原点を改めて見つめ直す機会となりました。
今回は、現地での体験を通じて、なぜユーグレナ社がバングラデシュで挑戦を続けるのか、その理由をお伝えします。
※1 ユーグレナ・グループでは、同じ志を持った社員のことを「仲間」と呼んでいます。
子どもたちの笑顔が教えてくれた、創業の原点とGENKIプログラムの価値
今回、GENKIプログラム提携校であるBDP City Coloney School(ビーディーピー・シティ・コロニー・スクール)を訪問しました。
学校に到着すると、子どもたちは歌や手作りのプレゼントで温かく迎えてくれました。あちこちから元気な声が飛び交い、仲間たちもすぐに子どもたちの輪の中に入り、一緒に遊んだり写真を撮ったりしながら交流を深めました。子どもたちの明るさやエネルギーは想像以上で、その場にいるだけで自然と笑顔になるような時間でした。

学校では、ユーグレナクッキーが子どもたちの栄養を支えるだけでなく、学習を続けるための支えの一つになっていることも知りました。先生方からは、ユーグレナクッキーが子どもたちの学校への定着や学習意欲の向上にもつながっている※3というお話を伺い、GENKIプログラムの価値の大きさを改めて実感しました。
※3 2025年12月、ユーグレナクッキーによる子どもたちへの影響を定量・定性の両面から分析した「バングラデシュ『GENKIプログラム』インパクト評価レポート」を公表。欠席率の改善や健康状態の向上が確認されています
https://www.euglena.jp/news/20251216-1/
GENKIプログラムは、ユーグレナ・グループ等の対象商品の売上の一部によって支えられています。今回の訪問を通じて、事業の成長が社会課題の解決につながるというGENKIプログラムの仕組みを改めて実感しました。商品をお届けすることが、子どもたちの学びや未来を支えることにつながる。そうした循環を生み出していることを知り、仲間たちは自らの仕事の価値を改めて考える機会となりました。

学校を訪問後、周辺にある子どもたちの自宅にも訪問し、実際の生活環境を見せていただきました。保護者の方々からは、「朝食を食べられないことがある」「雨が降ると調理ができない」「複数世帯でトイレを共有している」といった日常生活の現状について話を伺い、厳しい生活の現実を肌で感じることができました。

保護者の方々から日々の暮らしや教育への想いについてお話を伺いました
またその帰り道には突然のスコールに見舞われました。私たちが足止めされていると、子どもたちは何のためらいもなく自分たちの傘を差し出し、「こっちに入って」と私たちを気遣ってくれました。当たり前のように他者を思いやる子どもたちの優しさと温かさに、多くの仲間が胸を打たれました。

今回の訪問を通じて、子どもたちは厳しい生活環境の中で暮らしている一方で、前向きに学び、夢を持ち続けていると感じました。また、私たちを温かく迎えてくれた子どもたちや保護者の姿からは、困難な環境の中でも失われない力強さや優しさを感じることができました。
GENKIプログラムは単なる栄養支援ではありません。子どもたちが夢を持ち、学び続け、自らの可能性を広げていくための取り組みです。創業の原点を知る仲間たちにとって、その意義を実感する機会となりました。
支援の先に広がる未来。ストリートチルドレン支援で見た希望の連鎖
続いて、ストリートチルドレン支援を行う現地NGO「Ekmattra Society (以下、エクマットラ)」を訪問しました。
エクマットラは、路上で暮らす子どもたちに「青空教室」を通じて学びの楽しさを知る機会を提供し、その後は「Ekmattra Academy(エクマットラ・アカデミー)」という全寮制の学校での教育を通じて、自立と次世代リーダーの育成を目指しています。
今回、私たちは実際に青空教室を訪問し、子どもたちと交流する機会をいただきました。

路上で出会った子どもたちと交流する様子
仲間たちが特に印象を受けたのは、かつてストリートチルドレンとして生活しながらも、エクマットラの支援を受けて学び、大学を卒業した後、現在はエクマットラのスタッフとして子どもたちを支援する立場で活躍している卒業生の存在でした。
エクマットラにはGENKIプログラムのユーグレナクッキーも提供されており、その卒業生も子どもの頃にユーグレナクッキーを食べて育った一人でした。かつて支援を受けていた子どもが、今では次の世代を支える側として活躍する姿から、教育や継続的な支援が、一人ひとりの人生の可能性を大きく広げ、未来へとつながっていくことを実感しました。
また、その姿は「支援する側」と「支援される側」という枠組みを超え、人の成長が次の誰かの未来につながっていく様子を目の当たりする機会となりました。
今回の訪問を通じて、ユーグレナ社がバングラデシュで続けてきた活動も、一時的な支援ではなく、人が自ら未来を切り拓く機会をつくる挑戦だということを感じました。そして、その挑戦は次の世代へと受け継がれていく。私たちはその連鎖を目の当たりにしました。

また、子どもたちとの交流の時間は、想像以上にエネルギッシュなものでした。子どもたちは初対面とは思えないほどの勢いで駆け寄ってきて、手を引きながら一緒に走り回り、歓声を上げながら遊びに誘ってくれました。

仲間たちもその勢いに圧倒され、息を切らしながら、時には転びそうになりながらも、夢中で子どもたちと走り回りました。言葉が十分に通じなくても、笑顔や触れ合いを通じて自然と距離が縮まり、現地の子どもたちのたくましさや生命力を肌で感じる時間となりました。

未来への可能性と人とのつながりを感じる時間となりました
またある仲間からは、以下のコメントがありました。
“「バングラデシュの子どもたち」という漠然とした存在ではなく、「実際に出会ったあの子」の顔が思い浮かぶようになった。”
遠い国の出来事として理解していた社会課題が、自分自身の仕事や日々の選択とつながる実感へと変わる非常に意義深い体験となりました。
“支援される国”から“ともに成長する国”へ。バングラデシュ市場の可能性
今回、バングラデシュを代表する大手食品企業の一社も訪問しました。
工場内では最新設備や徹底した品質管理体制を見学し、多くの仲間がバングラデシュの製造業に対する認識を新たにしました。
ある仲間からは、「品質レベルは国によって決まるものではなく、経営者の考え方や企業文化によって決まる」というコメントがありました。実際に、衛生管理や品質管理の水準は日本企業と比較しても遜色なく、バングラデシュ企業の高い技術力を実感する機会となりました。

現地企業の製品開発担当者との意見交換では、糖尿病や高血圧、睡眠、ストレスといった健康課題への関心がバングラデシュ国内で高まっていることが紹介されました。バングラデシュでも健康意識は着実に高まりつつあり、今後、ユーグレナ社が持つ技術や研究成果が貢献できる可能性を感じる場面となりました。
また、今回の訪問を通じて、多くの仲間が持っていた「バングラデシュ=支援を必要とする国」というイメージが大きく変わりました。
社会課題が残る一方で、健康志向の高まりや市場の拡大が進み、新たな事業機会も生まれています。バングラデシュは「支援先」ではなく、「成長市場」でもある。その可能性を実感する機会となりました。
現地に広がるユーグレナ。バングラデシュの食文化の中で広がる可能性
バングラデシュでは経済成長とともに消費市場も拡大しています。
今回、ダッカ市内の日本食レストラン「Takumi」を訪問しました。Takumiでは、昨年からユーグレナ入りラーメンが提供されています。

自家製麺に微細藻類ユーグレナ(以下、ユーグレナ)が1,000mg配合(ラーメン1杯あたり)されています。現地でも好評で、ユーグレナがバングラデシュの食文化の中に少しずつ浸透し始めていることを実感しました。

また、Takumiではラーメンに加え、日本の定食や一品料理など幅広いメニューを提供しています。現地での日本食文化やユーグレナの新たな可能性に触れる機会となりました。
社会課題解決と事業成長の両立。グラミングループで学んだソーシャルビジネス
バングラデシュで貧困問題の解決に取り組むグラミングループの1社であるGrameen Shamogree(グラミーン・シャモグリー)を訪問しました。
Grameen Shamogree は、バングラデシュの伝統的な手織り産業を支援しながら、環境に配慮したコットン製品を製造・販売するブランド「Grameen Check(グラミン・チェック)」を運営しています。地域の織工と連携したものづくり通じて雇用創出や伝統技術の継承につなげており、事業を通じて地域社会の発展を支えています。
今回の訪問は、現地で社会課題の解決と事業の持続性を両立するソーシャルビジネスの考え方について触れ、その意義への理解を深める貴重な機会となりました。

農村部の女性たちに安定した雇用と収入の機会を提供している
ユーグレナ社も創業以来、社会課題の解決と事業成長の両立を目指してきました。今回、現地の取り組みに触れたことで、事業を通じて社会に価値を生み出すことの意義を改めて実感するとともに、自分たちの仕事がどのように人々の暮らしや未来につながっているのかを見つめ直す機会となりました。

ソーシャルビジネスの父、ムハマド・ユヌス博士が語る未来へのメッセージ
今回の訪問では、ノーベル平和賞受賞者であり、貧困問題の解決を目指すグラミングループ創設者であるムハマド・ユヌス博士を訪ねました。
ユヌス博士は、事業の力を活用して社会課題の解決を目指す「ソーシャルビジネス」の提唱者として知られています。
面会では、ソーシャルビジネスの考え方や社会課題解決に向けた取り組みについてお話を伺いました。長年にわたりユヌス博士は「社会をより良くしたい」という強い信念と情熱を持ち続けており、その姿勢に多くの仲間が刺激を受けました。

特に印象的だったのが、ユヌス博士の次の言葉です。
“Imagination leads to creation.”(想像することが創造につながる)
未来を具体的に思い描くことが、新しい価値や社会の変化を生み出す第一歩になるというメッセージは、参加した仲間たちの心に深く残りました。
また、ユヌス博士は「人は皆、生まれながらにして創造する力を持っている」と語ります。社会課題は誰か特別な人だけが解決するものではなく、一人ひとりの行動や挑戦によって変えていけるということを改めて考える機会となりました。

創業の原点であるバングラデシュで、ソーシャルビジネスの第一人者であるユヌス博士から直接お話を伺えたことは、仲間たちにとって非常に貴重な経験となりました。
また、ユヌス博士が提唱する「ソーシャルビジネス」の考え方は、創業以来ユーグレナ社が大切にしてきた価値観とも重なります。
社会課題の解決と事業成長の両立を目指し、小さな挑戦を積み重ねながら新たな価値を生み出していく。その考え方は、ユーグレナ社が今もバングラデシュで社会課題解決と事業の両方に取り組み続ける理由を改めて考えるきっかけとなりました。
バングラデシュで見た未来。そして、ユーグレナの原点
今回の訪問を通じて仲間たちが見たのは、「支援を必要とする国」という一面的なバングラデシュだけではありませんでした。そこには、未来への希望を持って挑戦を続ける子どもたち、世界を見据えて成長する企業、そしてより良い未来を自ら切り拓こうとする人々がいました。
また、商品や事業の先には、一人ひとりの暮らしや人生があることも改めて実感しました。ユーグレナクッキーを受け取る子どもたちの笑顔、教育を受けて社会で活躍する卒業生、社会課題解決と事業成長の両立に挑戦する企業。その一つひとつに触れることができ、自分たちの仕事を見つめ直すきっかけになりました。
ユーグレナ社がバングラデシュで活動を続ける理由は、誰かを一方的に支援するためではありません。社会課題の解決に向けて現地の人々とともに挑戦し、その中から新たな価値を生み出していくためです。創業の原点であるバングラデシュで得た学びを胸に、「人と地球を健康にする」という理念のもと、社会課題解決と事業成長の両輪で、新たな価値創出に挑戦していきます。
