エスニック料理の定番食材「パクチー」。しかし、パクチーの味や香りが苦手という人もいらっしゃるのではないでしょうか?それはもしかしたら遺伝子のせいかもしれません。

ユーグレナ社では、ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストの遺伝子解析サービスのゲノムデータをもとに、パクチーを食べた時に「石鹸のような味」と感じやすいかどうかに関する遺伝子項目を解析し、「パクチーの味が苦手だと感じる遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」を公開しました。

エスニック料理の定番「パクチー」

パクチーは香草の一種です。英語では「コリアンダー」、中国語では「香菜(シャンツァイ)」と呼ばれ、もともと和名では「コエンドロ」と呼ばれていましたが、今はタイ語の「パクチー」という名称が日本でも一般的になってきました。葉や茎の部分は独特の芳香を持っていて、世界中のさまざまな料理に用いられています。日本でもすっかりメジャーな食材となり、パクチーを愛してやまない人のことを「パクチスト」と呼ぶほどです。

■なぜ石鹸のような味と感じるのか

パクチーは食品の中では珍しく、好き嫌いがはっきりと分かれると言われています。食品の好き嫌いには味や匂いといった風味の感じ方が影響すると考えられていて、実際、パクチーを好きな人はパクチーを新鮮で香ばしい、柑橘系の風味と感じる一方で、パクチーが嫌いな人は石鹸のような風味と感じると言われています。このパクチーの独特な芳香は脂肪族アルデヒドによるものとされています。

アルデヒドは脂肪臭とも呼ばれ、脂っこく、鼻に残るような匂いがします。代表的なアルデヒドには、シックハウス症候群の原因と考えられている「ホルムアルデヒド」、アルコール代謝で発生する「アセトアルデヒド」などがあります。また、アルデヒドは香料として香水を作る際にも使われ、他の香料と上手く組み合わせると魅惑的な香りに仕上げることもできます。身近なものでは石鹸にも使われているため、アルデヒドが含まれたパクチーを石鹸のような味と感じる人がいると考えられます。

■遺伝子解析項目「パクチーの味の感じ方(SNP:rs72921001)」について

2012年に「Flavour」誌で発表された論文によると、アメリカの遺伝子解析サービスを行う23andMe社による研究で、同社の遺伝子解析サービスのユーザーを対象に、主に「パクチーに石鹸のような味を感じるか」と、「パクチーの味が好きかどうか」の2つの質問をしました。この回答と遺伝子解析結果を用い、パクチーの味の感じ方に関連する遺伝子型がないか探索したところ、匂い物質の感知に関係する遺伝子(嗅覚受容体遺伝子)群の中にある遺伝子型「SNP:rs72921001」がパクチーの独特な芳香の感受性に関連していることが明らかになりました。

SNP:rs72921001という遺伝子型で「C」を持っているほど、パクチーを石鹸のような味と感じやすい傾向があり、パクチーを苦手だと感じる人が多いということです。遺伝子型「SNP:rs72921001」 の付近に存在するOR6A2という遺伝子はパクチーの独特な芳香の成分であるアルデヒドの感知に関連していることが知られており、パクチーの匂いを感知する役割があるのかもしれません。

遺伝子解析項目「パクチーの味の感じ方(SNP:rs72921001)」は、パクチーを食べた時に「石鹸のような味」と感じやすいかどうかに関する項目で、遺伝子型は次の3つのタイプがあります。

  • パクチーが苦手な可能性はより低めのタイプ(遺伝子型:AA)
  • パクチーが苦手な可能性は低めのタイプ(遺伝子型:AC)
  • 一般的なタイプ(遺伝子型:CC)

■「パクチーの味が苦手だと感じる遺伝子タイプ」が多い都道府県ランキング

今回、ユーグレナ社の調査では、パクチーを食べた時に石鹸のような味と感じる「一般的なタイプ(遺伝子型:CC)」に該当する人の割合を都道府県(出生地)別に算出し、数値化しました。

ゲノムデータの解析結果による、パクチーの味が苦手だと感じる遺伝子タイプの人の割合が相対的に高い都道府県は、1位 福井県、2位 熊本県、3位 三重県、4位 和歌山県、5位 群馬県、6位 沖縄県、7位 滋賀県、8位 山梨県、9位 神奈川県、10位 兵庫県となりました。

【全ランキング結果はこちら】

【調査概要】
調査方法:ゲノムデータの解析をもとに調査
調査対象:「ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス」、「ジーンクエストALL」の利用者
対象者数:ゲノムデータ:21,371人
調査時期:2023年7月
調査項目:ゲノムデータ「パクチーの味の感じ方(SNP:rs72921001)」の項目について、パクチーを食べた時に石鹸のような味と感じる「一般的なタイプ(遺伝子型:CC)」に該当する人の割合を都道府県ごとに算出

■日本人の半数以上は遺伝的にパクチーが苦手!?

今回の調査で、パクチーを食べた時に石鹸のような味と感じる「一般的なタイプ(遺伝子型:CC)」に該当する日本人の割合は52.9%でした。つまり、日本人の半数以上は遺伝的にパクチーが苦手だと推測できます。

さらに、「一般的なタイプ(遺伝子型:CC)」に該当する人の割合を人種別にみてみると、割合が多い順に、アフリカ集団(64%)、東アジア集団(47%)、ヨーロッパ集団(39%)、南アジア集団(34%)などという結果となり、人種によってもパクチーの味が苦手だと感じる遺伝子タイプの割合に差があることが分かりました。ご自身のタイプが気になる方は、この機会に「遺伝子解析サービス」でチェックしてみてください。

【ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービスとは】
個人の健康リスク・体質・祖先について350項目以上の遺伝子型を解析し、どのような病気にかかりやすいか、どのような体質の遺伝的傾向があるかについて結果を提供するサービスです。

ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス

遺伝子解析項目は定期的にアップデートしていて、2023年7月には、毛髪に関連する「眉毛の濃さ」「体毛の濃さ」「髪質(直毛・くせ毛)」の3項目の結果を追加・更新しました。詳しくはこちらをご覧ください。