無人の売店で育む子どもたちの良心【2023年9月の活動報告】

今月のレポートでは、GENKIプログラム提携校で生徒たちが運営する無人売店の取り組みをご紹介いたします。

1.無人売店で育む子どもたちの良心

バングラデシュの首都ダッカのミルプール地区にあるモヒラ・ミッション校は、1958年に設立されたNGOのダッカ・アサニア・ミッションが運営する女子校です。

このNGOでは人間性や精神性、謙虚、平等と公平、自然への思いやり、正直さと道徳を大切にすることを信念としています。その中でも特に注力しているが「正直さと道徳」で、モヒラ・ミッション校では生徒の正直さを育むために無人売店である「良心のショップ」が設置されています。この「良心のショップ」は校内の教室にあり、店頭にスタッフはいません。生徒たちが、集金箱に購入した商品の代金を入れる仕組みです。

モヒラ・ミッション校の「良心のショップ」
「良心のショップ」の看板
商品の代金は集金箱に入れて支払う

この売店は2020年に同校の教頭先生の協力のもと、11人の生徒で構成される運営チームによって開店しました。

「良心のショップ」を運営するには資金が必要だったため、運営チームはまず校長先生と教師たちが開く校内の委員会で相談しました。 同委員会は将来を担う生徒たちが、家庭だけでなく学校でも正直さと道徳心をもって成長してほしいと「良心のショップ」に賛同し、2万タカ(約2万7000円)の資金提供を決めました。

運営チームはこの資金を使って、店内の装飾をし、ポテトチップスやビスケット、チョコレートなどのスナック菓子、文具などの生徒たちに人気がある商品を仕入れます。その後、値札を付けた商品を陳列して、開店を迎えました。

店の準備をする生徒たち
値札を付けて商品を並べる
商品のスナック菓子
授業で必要な文具は生徒たちに人気

「良心のショップ」では、生徒が商品を購入する際にノートに名前を書き、代金を集金箱に投入します。所持金が足りない場合は、実際に投入した金額をノートに記入します。一方で商品の代金より多い金額を払うケースもあるそうです。これは生徒たちが支払った金額に不足があると、その次に来店した時に足りなかった金額を自主的に補填しようとするからです。集金箱からは週に1回、運営チームが売り上げ金を回収して、次の仕入れに充てていきます。担当の先生たちは売り上げを記録し、他の先生と共有しています。また運営チームの生徒は朝の登校時に店の開店準備を行い、清掃も怠りません。

購入する商品と代金を記入する生徒たち
無人の店内で集金箱に代金を入れる
生徒たちの良心が詰まった集金箱

学校は社会生活を実践する場所であり、「良心のショップ」は生徒たちが無人の売店を目で見て体験することで正直さを育む役割を果たしています。モヒラ・ミッション校のローション先生は「学校や家庭で正直な心を養うために必要なことはたくさんあります。この「良心のショップ」は、生徒たちが将来に向けて正直さを伸ばす大事な実践の場になっていると思います」と語っていました。

生徒のスマイヤさんは「良心のショップ」について、このように語ってくれました。「正直さは教科書で学べても、実生活で実践する機会があまりありません。「良心のショップ」は、私たちの正直さや道徳心を示す機会をもたらしてくれていると思います」。

GENKIプログラムは今後も子どもたちを支援してまいります。

2. 2023年9月の活動報告

9月はGENKIプログラム対象校のうち、95校の約1万600人に対し、20万食のユーグレナクッキーを配布しました。

引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。