現在、地球温暖化の原因のひとつとされる二酸化炭素の大気中濃度が過去80万年間において前例のない水準にまで高まっているとされています。地球温暖化による気温上昇の影響により、干ばつや大雨、洪水等の気候変動が引き起こされ、水不足や農作物の不作による食糧不足、熱波による死亡や疾病、生物多様性への影響等、世界中に甚大な被害を及ぼしつつあります。
地球温暖化を解決するためには、温室効果ガスの削減が急務であり、そのひとつの手段として、「バイオ燃料」が挙げられます。その中でも最近特に注目される「次世代バイオ燃料」についてご紹介します。

そもそもバイオ燃料とは

バイオ燃料とは、再生可能な生物資源(バイオマス)を原料にした代替燃料のことです。
バイオ燃料の代表的なものとしては、以下が挙げられます。

① バイオエタノール
バイオエタノールはガソリンの代替として、ガソリンと混ぜて、自動車 などのモビリティの燃料として使用されます。主にサトウキビなどの作物を発酵、蒸留させて作られます。

② バイオディーゼル燃料
菜種やトウモロコシなどの植物性の油から製造され、ディーゼルエンジン用のモビリティに使用されます。

③ バイオジェット燃料
微細藻類や木材チップ、製材廃材などから製造される航空燃料です。

④ バイオガス
発電や熱供給などに活用します。家畜の排泄物、生ごみなどの有機性廃棄物を発酵させて生じるガスから作られます。主成分はメタン。

これらのバイオ燃料を使用することで、二酸化炭素の排出削減につながるとされています。バイオ燃料は燃焼すると、石油などの化石燃料と同じように二酸化炭素を排出しますが、原料となる植物の成長過程において光合成を行うことで二酸化炭素を吸収しているため、燃焼時の二酸化炭素の排出量はプラスマイナスゼロとなると考えられているからです。これが「カーボンニュートラル」と呼ばれる概念です。

化石燃料とバイオ燃料の二酸化炭素の排出についての比較

次世代バイオ燃料とは

次世代バイオ燃料とは、石油由来のディーゼル燃料やジェット燃料に代替できる、食料と競合しないバイオマス原料でできた(炭化水素系の)バイオ燃料の総称です。 次世代バイオ燃料の最大の特徴は、分子構造が軽油などの石油由来の燃料と同じ炭化水素からなる燃料である点です。
従来型のバイオディーゼル燃料の分子構造はFAME(脂肪酸メチルエステル)などからなるため、石油由来のディーゼル燃料とよく似た特徴を持ってはいても、従来型だけでの使用はできず、軽油に混ぜて使用する必要があります。
しかし、次世代バイオ燃料は先にもお伝えした通り、分子構造が石油由来の軽油と同じ炭化水素のため、軽油と同じように100%の配合で、エンジンにも影響を加えることなく使用できるとされています。

従来型と次世代バイオ燃料との比較
従来型と次世代バイオ燃料との比較

つまり、今使っている供給インフラ(ガソリンスタンドやサービスステーション)や車両・船舶等を活用できるため、新たなインフラ整備にかかるコストが必要ないのです。次世代バイオ燃料は、脱炭素化にとって有効な手段であるといえます。

ユーグレナ社が開発・製造する次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」

ユーグレナ社が製造、販売する「サステオ」のイメージ画像

ユーグレナ社では次世代バイオ燃料「サステオ」の開発、製造、販売を行っています。
「サステオ」は、原料に使用済み食用油と微細藻類ユーグレナなどのバイオマスを使用した、化石燃料に代わるサステナブルな社会を実現するための燃料です。2020年に次世代バイオ燃料「サステオ」の供給が開始され、現在では車両、船舶、電車など、さまざまなモビリティへの利用が拡大しています。

次世代バイオ燃料「サステオ」は、品質は国内軽油規格に準拠しています。一般の化石燃料由来の軽油と同等の性能であることは、共同研究してきた、いすゞ自動車の性能試験(※全負荷性能試験とWHTC排出ガス試験)において確認しました。※1
また、2021年に岡山県で開催されたスーパー耐久レースでは、マツダ参戦車両に軽油と混合しない100%の次世代バイオ燃料「サステオ」を使用し、同車両に搭載されているディーゼルエンジンSKYACTIV-D 1.5は十分な性能を発揮することが出来ました。※2

サステオを100%給油して走行するマツダ車

他にも大型クルーザーや電車での使用試験が実施され、すべてにおいて使用に問題がないことが確認されています。※3,4,5

※1 いすゞ、ユーグレナ社が共同で進める「DeuSEL®プロジェクト」石油由来の軽油を100%代替可能な次世代バイオディーゼル燃料が完成しました
※2 岡山スーパー耐久レースで次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」使用。マツダ参戦車両に100%サステオを導入、トヨタの水素運搬トラックにも供給
※3 次世代バイオディーゼル燃料を用いた観光型高速クルーザー「SEA SPICA(シースピカ)」による技術調査結果の公表
※4 次世代バイオディーゼル燃料の実用性検証試験の実施について
※5  A重油を燃料とする内航船ディーゼルエンジンでの次世代バイオ燃料の活用に係る技術調査結果の公表

次世代バイオ燃料「サステオ」の普及が広がっています

深刻化していく気候変動問題。この問題を解決するために、次世代バイオ燃料「サステオ」の普及が日本全国で広がっています。ユーグレナ社はこれからも、バイオ燃料を身近な存在として皆様にお使いいただける未来に向けて、一歩ずつ歩みを進めていきます。