おしゃれを楽しむスラム街の子どもたち
【2022年7月の活動報告】

今月のGENKIレポートでは、スラム街に住む子どもたちのおしゃれ事情についてご紹介します。

1.おしゃれを楽しむスラム街の子どもたち

首都ダッカのミルプール地区の学校に通う2人の子どもたちは、同地区にあるルプノゴールというスラム街で暮らしています。2人それぞれのおしゃれの楽しみ方についてご紹介します。

● ソニアちゃん
ソニアちゃんは、8年生で14歳です。5年生の妹と両親と一緒に住んでいます。
彼女の家には寝室兼居間が1つしかなく、家族4人は同じベッドで寝ています。炊事場やお風呂場は近隣の5世帯と共同で使用しています。

ソニアちゃんの家の前の様子
ソニアちゃんの家の前の様子
近隣5世帯と共同で使用している炊事場
近隣5世帯と共同で使用している炊事場

父親はお皿や椅子などを扱う小さな雑貨屋で働いており、母親は専業主婦で1カ月の給料は約22,000円です。ダッカのスラム街の平均世帯月収約26,000円※1よりも少なく、家計をきりつめながら生活しています。1か月の家賃は約7,300円かかり、残りの約14,700円で家族4人生活しなければならず、非常に厳しい状況であることが言えます。

※1 GENKIレポート2022年3月号

左から妹、母親、ソニアちゃん
左から妹、母親、ソニアちゃん

ソニアちゃんはおしゃれが大好きです。

ソニアちゃんのおしゃれグッズ ブレスレットや髪留め、アクセサリーなどを集めている
ソニアちゃんのおしゃれグッズ
ブレスレットや髪留め、アクセサリーなどを集めている
おしゃれグッズは、棚の上の小さなかごの中に入れて、大切に保管しています
おしゃれグッズは、棚の上の小さなかごの中に入れて、大切に保管している

中でも、ソニアちゃんはヘアアレンジが得意で、編み込みの仕方を変えたり、髪飾りを変えたり、毎日工夫しながら楽しんでいます。

編み込みの上からピン留めで飾ったヘアスタイル
編み込みの上からピン留めで飾ったヘアスタイル
編み込みの上からピン留めで飾ったヘアスタイル
櫛で髪をひとつにまとめたヘアスタイル
櫛で髪をひとつにまとめたヘアスタイル

父親から少額のお小遣いをもらえた時は、市場で新しい髪飾りを買います。髪飾りは、市場では、種類にもよりますが、1つあたり約15円から約70円の間で売られています。よいデザイン且つ高品質のものを手頃な価格で購入するために、ソニアちゃんは妹と一緒に買い物に行き、さまざまなお店を見て、時間をかけて選びます。お小遣いは頻繁にもらえるわけではないため、普段は親戚や友達からおさがりでもらった髪飾りを大切に使っています。

学校に通う日は朝早く起きて、約20分かけてヘアアレンジをします。その日の気分によって、ヘアスタイルを決め、髪留めも選んでいます。

鏡の前で丁寧に髪をとかし、ヘアアレンジ(この日は編み込み)をするソニアちゃん
鏡の前で丁寧に髪をとかし、ヘアアレンジ(この日は編み込み)をするソニアちゃん
鏡の前で丁寧に髪をとかし、ヘアアレンジ(この日は編み込み)をするソニアちゃん

ソニアちゃんは、「毎日ヘアアレンジをすると、気分も新しくなるし、おしゃれに見えると思うの。それに、親戚や友達から教えてもらったり、自分でも色々と試したりして、新しいヘアスタイルを開拓するのが楽しい。将来は、誰かの髪をアレンジして、その人に喜びを届けられるような、そんな美容師になりたい。」と話してくれました。

● シャルミンちゃん
シャルミンちゃんは、8年生で14歳の女の子です。
トタン屋根で作られた家にはソニアちゃんと同様、寝室兼居間が1つあり、5歳の弟と両親と一緒に住んでいます。炊事場やお風呂場は近隣世帯と共同で使用しています。

左手がシャルミンちゃんの家の入口。
左手がシャルミンちゃんの家の入口
近隣世帯と共同で使用している炊事場とトイレ。
近隣世帯と共同で使用している炊事場とトイレ

父親は門番の仕事をしており、母親は繊維工場で働いています。世帯月収は約24,800円です。シャルミンちゃんは、弟の面倒を見たり、母親が仕事の際は料理を作ったり、自ら率先して家の手伝いをしています。貧しいながらも、家族4人で協力しながら生活しています。

左から父親、弟、シャルミンちゃん
左から父親、弟、シャルミンちゃん

シャルミンちゃんは、おしゃれが大好きで、中でもヘアアレンジとファッションにこだわりを持っています。家事の手伝いが終わって、自分の時間ができた時には、家にある中古のテレビでファッションの番組を見て、新しいヘアアレンジを学んでいます。

シャルミンちゃんのおしゃれグッズ ヘアゴムやブレスレット、口紅、髪留めなど
シャルミンちゃんのおしゃれグッズ
ヘアゴムやブレスレット、口紅、髪留めなど
長い髪をとかすシャルミンちゃん。
長い髪をとかすシャルミンちゃん

家計が厳しく、両親からは普段お小遣いをもらえません。休暇や誕生日の時に親戚や友達から贈り物としてもらった髪飾り、洋服、アクセサリーを大切に使っています。髪飾りは、ゴムや布などの材料を集めて、自分で創作することもあります。

シャルミンちゃんのお気に入りのヘアスタイル
シャルミンちゃんのお気に入りのヘアスタイル
手鏡を持ちながら口紅を塗るシャルミンちゃん
手鏡を持ちながら口紅を塗るシャルミンちゃん

シャルミンちゃんは、こう話してくれました。
「洋服の色やデザインと、ヘアスタイルを合わせて全体でどう見えるかを考えることが好き。テレビ番組を見たり、友達と話したりして、流行を学ぶことが楽しいし、家族や友達から洋服とヘアスタイルを褒めてもえた時はとても嬉しい。将来は、洋服をデザインしたり、ヘアアクセサリーをデザインしたり、新しいスタイルを生み出すファッションデザイナーになりたい。」

2人の子どもたちは、置かれた環境下で、さまざまな工夫を凝らしながら、日々ヘアアレンジを含めたおしゃれを楽しんでいます。
引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

2.2022年7月の活動報告

7月はGENKIプログラム対象校106校のうち78校の約7,200人に対し、18.8万食のユーグレナクッキーを配布しました。※2

2022年のユーグレナクッキーの配布数。7月は18.8万食配布した

※2 月間配布人数について、6月は約11,000人でしたが、7月はイスラム教最大の祝日であるイード期間に伴う学校の休暇の影響で約7,200人となりました。イード期間とは、日本のお盆のような長期祭日で、イスラム教の断食月の終わりを祝う大祭です。