ロヒンギャ難民へ特製ユーグレナクッキーを配布 
【2017年12月の活動報告】

今年度のユーグレナクッキー配布目標200万食に対し、12月までに約154万食(進捗率:77%)を配布しました。

1.ロヒンギャ難民へ特製ユーグレナクッキーを配布

今月は当社の仲間や会社からの寄付を用いたロヒンギャ難民支援を実施しました。
 現在80万人以上のロヒンギャ族が、命の危険を避けるためにミャンマーから隣国のバングラデシュに逃げ込んでいます。彼らはジャングルの中を1週間から10日間も歩き続けて、ようやくキャンプ地にたどり着いています。しかし、余りに多くの難民が殺到したために、十分な食料や衣料、毛布、最低限の住居を確保することがとても難しい状況です。国連をはじめとする国際機関のサポートが始まっていますが、課題は山積しています。ミャンマー軍によるロヒンギャ族の虐殺は多くの国々から非難されており、ノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチー女史もそうした事態を防ぐことは出来ませんでした。家を焼かれ、殺された人々の数は数万人に上ると推定されています。
 そのような中、バングラデシュ軍とダッカ大学の学生のサポートのもと、特製ユーグレナクッキー20万食分をロヒンギャ族の難民キャンプへお届けしました。クッキーは1袋115g、400 kcalで段ボール1箱に45袋入っています。彼らは毎日の食料を得るために、10時間以上も行列し、辛うじて日々を生き延びていました。難民の多くは女性や子ども、老人で、とても劣悪な環境で生活しています。とてつもない人数に対し、私たち一人ひとりに出来ることは限られていますが、沢山の支援が世界中から届いています。その支援の輪が彼らの命をつないでいました。「人と地球を健康にする」という当社の理念を実現するため、今後も何が出来るかを考え続けたいと思います。

  • 写真-1:クッキーを難民キャンプに届ける様子
    写真-1:クッキーを難民キャンプに届ける様子
  • 写真-2:クッキーを受け取るロヒンギャ難民
    写真-2:クッキーを受け取るロヒンギャ難民
  • 写真-3:難民キャンプの様子
    写真-3:難民キャンプの様子
  • 写真-4:特製ユーグレナクッキー
    写真-4:特製ユーグレナクッキー

2.学校退去命令に奮闘した校長先生の紹介

今月は行政の退去命令に奮闘したあるスラム街の校長先生のエピソードを紹介します。以下はマミュヌールラシド学校 (Mamunur Rashid school)のスシャマ校長先生の2年前の奮闘記です。
 公共事業による退去の場合、日本では行政機関が長期にわたり住民を説得し移転費用を住民に支払います。しかしバングラデシュのスラム街での退去は、日本のように整然としていません。行政機関が住民に退去命令を数か月前に発しますが、命令に従う住民は少なく、多くの場合、政府が強制撤去を実行します。撤去後は住民が戻らないよう警察が見回りをします。
 スラム街の住宅の大半は、違法建築であり、不法に土地を占有しているという現実が強制撤去の背景にはあります。2015年12月、都市開発計画の一環として、博物館、総合病院、政府機関の事務所などの公共施設を建設するため、マミュヌールラシド学校周辺一帯のスラム街が撤去されることになりました。学校も移転せざるを得ない状況となり、先生、両親、子どもたちはみな途方に暮れていました。しかし、スシャマ校長先生は屈することなく移転先探しに奔走しました。約1か月探し回りましたが良い物件が見つからず困っていたところに、GENKIプログラムの活動に理解のあった不動産オーナーを紹介してもらうことが出来ました。建物は、元々学校があった場所から歩いて10分で、スラム街からも近く、便利な場所にあります。全生徒ではありませんが、近くの別のスラム街に移り住んだ子どもたちも通いやすい場所でした。移転前の学校は、教室が6つあり、全学年150人の子どもたちがそろって授業を受けることができ、家賃は17,000円でしたが、新たな移転先の家賃は25,000円と高く、教室は4つしかありません。また1つの教室が収容できる人数は約35人で、授業を午前と午後の2部体制にせざるを得なくなりました。不動産オーナーとの交渉にはGENKIプログラムのメンバーも加わり、オーナーにプログラムの主旨を説明しました。プログラムに理解を頂いたことで当初の提示額より安く借りることができ、移転から2か月後には学校を再開することができました。
あれから2年。移転準備中はユーグレナクッキーを食べることが出来なかった子どもたちは、以前と変わらずクッキーを毎日食べることができています。

  • 写真-5:校長先生(白いスカーフの女性)と子どもたち
    写真-5:校長先生(白いスカーフの女性)と子どもたち
  • 写真-6:移転後の教室
    写真-6:移転後の教室

3.保育園に通うカムルル君とそのお母さんの紹介

これまでさまざまな学校の先生、生徒を紹介してきましたが、GENKIプログラムでは保育園に通う4-5歳の園児(園児数計245人)も対象にユーグレナクッキーを配布しています。今月は保育園に通う4歳のカムルル君とそのお母さんを紹介します。
 彼の通う保育園はNGOのアパラジェヨ バングラデシュ(Aparajeyo Bangladesh)が運営する学校の附属保育園です。園児は保育料が月に350円で、朝8時から18時まで預けられます。
 カムルル君とその家族は、去年地方から首都ダッカのスラム街に移り住みました。お父さんはリキシャ運転手として月1万5千円稼ぎ、お母さんは専業主婦でした。しかし、移住してすぐに地方に住むおばあさんが病気になり、毎月仕送りするため、お母さんも働きに出ました。現在4世帯の家庭で清掃係として働き、月1万円程稼いでいます。バングラデシュでは、一般的にお母さんが子どもの面倒を見られない場合、祖父母や親戚、もしくは近所の家に預けますが、カムルル君の家庭のように、親戚や知り合いが近くにいない家庭が保育園を利用しています。お母さんの稼ぎは地方のおばあさんに送るため、毎月の生活水準はお父さんだけが働いていたときと変わりません。お母さんは「毎日子どもに持たせるお弁当の中身はご飯とジャガイモを1つ蒸したものだけなど、栄養が偏っています。そのため、バランス良く栄養を摂れるユーグレナクッキーは大変ありがたいです。小学生に進級してもクッキーの配布があるので、この保育園に入れて良かったです!」と話してくれました。

  • 写真-7:クッキーを食べるカムルル君
    写真-7:クッキーを食べるカムルル君

引き続きご支援をよろしくお願い致します。

株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所