GENKIプログラム2018年10月から1年間の活動目標について 
【2018年10月の活動報告】

今期(2018年10月~2019年9月)のユーグレナクッキー配布目標230万食に対し、10月までに約23万食(進捗率:10%)を配布しました。

1.2018年10月~2019年9月までの1年間の活動目標について

いつも「ユーグレナGENKIプログラム」をご支援いただきありがとうございます。GENKIプログラムは2014年4月に開始し、ユーグレナクッキーの配布目標を毎年4月~翌3月の1年間で定めてきました。この度2018年10月より当社の会計年度にあわせ、同プログラムの配布目標期間を10月~翌9月の1年間に変更しました。5年目を迎えた今期(2018年10月~2019年9月)は、1年間で合計230万食のクッキー配布を目指します。
 今期はこれまでバングラデシュの学校で行ってきた食育・衛生セミナーに重点を置き、両親と子どもたちが楽しみながら知識を習得し、実践できるセミナーを行ってまいります。具体的には、これまで現地スタッフが子どもたちへ栄養素についてや手洗いの方法を授業形式で教えていましたが、先生、両親、子どもたちを対象とした参加型のセミナーに変更します。例えば、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)に関連する食材をクイズ形式で学ぶワークショップを行い、習得した知識を活用し栄養がバランス良く摂れる料理教室を企画します。また、食前やトイレ後など、いつどうやって手を洗うべきか、手洗いの歌を歌いながら手洗いをし、学んでもらいます。さらに正しい手洗い方法を記載したポスターも作成し、子どもたちの家族にも同様に正しい手洗い習慣を身につけてもらうことを目指します。その他、家庭での食事や衛生の実態調査を行い、セミナー実施前・後での改善効果を測ります。これらの調査結果を、継続して実施している血液検査とあわせ相関関係を検証していきます。今後、本レポートにてこれらの活動を報告させていただきます。

2.学校での交通安全運動

皆さんはバングラデシュ首都ダッカの交通事情と聞くと、どんな風景を思い浮かべますか?ダッカの交通渋滞はすさまじく、車やバス、三輪タクシー、自動車、リキシャ(人力車)が道路を埋め尽くし、混沌とした状態です。信号と車線はほとんど機能しておらず、逆走やスピード違反などが日常茶飯事で、交通ルールは全く守られていません。現地の新聞記事によると、1日に平均して約240件の交通事故がバングラデシュ全土で起こっていると報告されています。しかしこれらの事故のほとんどが警察に賄賂を払い、事故扱いになっていないケースが多いともいわれており、正確な事故件数は把握できていません。
 そんな状況下、2018年7月29日、ダッカで2台のバスが猛スピードで道路を走行し、バス停で並んでいた高校生の列に衝突した事件が起こりました。2人が亡くなったほか、7人が負傷しました。事故を起こした運転手は無免許で、バスは正規の車検を受けていませんでした。事故後、運輸大臣がよくある事だと笑顔を見せて報告するなどの政府の対応に怒った中高生たちが、翌日バングラデシュ全土で交通安全を訴えるデモを起こしました。さらに中高生たちは車とリキシャの車線を分ける交通整理に、通行する運転手の運転免許証の確認や違反者の取締りなども行いました。
 この事件を受け、イスラミア アリム マドラサ学校(Islamia Alim Madrasha School)では、アブ校長先生を中心に、交通安全の授業を行っています。学校の周りでは横断歩道や歩道が無い道が多く危ないので、授業ではなるべく車から離れた場所を歩くこと、横断歩道がない道では横断時に車の前や後ろを横断しないことなどを教えています。また、10月に子どもたちが学校の前に列を作り、ポスターを使って、運転手や歩行者に交通ルールの遵守を呼び掛ける活動を行いました。アブ校長先生は「交通安全には、子どもたちだけでなく、両親や地域住民全体の意識と行動の改善が必須です。子どもたちが安全に学校へ通学できるよう、地域住民を巻き込み今後も活動していきます。」と話してくれました。

  • 写真-1:割り込みや横断歩道を渡らず横断する様子
    写真-1:割り込みや横断歩道を渡らず横断する様子
  • 写真-2:中高生たちの整備により、車とリキシャの車線が分かれている様子
    写真-2:中高生たちの整備により、車とリキシャの車線が分かれている様子
  • 写真-3:交通ルールを学ぶ教科書
    写真-3:交通ルールを学ぶ教科書
  • 写真-4:交通ルール遵守を訴える活動の様子
    写真-4:交通ルール遵守を訴える活動の様子

3.小学校での男女別に着席する授業の様子

バングラデシュの多くの小学校では、男女別に座って授業を受けていることをご存知でしょうか。日本でも「男女7歳にして席を同じゅうせず」のことわざにあるように、かつて男女別に座っていました。バングラデシュでは今でもこの慣習が根付いています。教室に到着後、子どもたちは先生から指示されるわけでもなく男女が別々に座ります。また、ある学校では、午前中は男の子、午後は女の子の授業に分けるなど男女が同時に授業を受けない仕組みになっています。先生や両親は、男女別の授業または別に座ることで、授業中の私語が少なくなり、勉強に集中することができると考えています。放課後も、男の子は国民的スポーツであるクリケットを、女の子はゴム跳びといったように、別々に遊びを楽しみます。男性が働きにでかけ、女性が家事、育児をするというバングラデシュにおける伝統的役割分業もこれらの行動に関係しているようです。
 しかしGENKIプログラムの対象校58校のうち、アパラジェオ(Aparajeo)というNGOが運営している4校では、男女が一緒に座り授業を受けます。両親の同意を得て、一緒に座ることになりました。授業では、男女間で活発に意見が交わされています。校長先生は、今後も同校のような学校が増えていくと考えています。日本の経済成長率は近年、年に約1%ですが、バングラデシュの経済成長率は年に約7%と高い値で成長しています。安定した経済成長を続ける中、外国の文化も入ってきており、首都ダッカではこのように男女が一緒に授業を受けるような、新しい考え方が徐々に浸透してきています。

  • 写真-5:女子生徒のみの授業
    写真-5:女子生徒のみの授業
  • 写真-6:男女別に座る子どもたち
    写真-6:男女別に座る子どもたち
  • 写真-7:男女一緒に座る子どもたち
    写真-7:男女一緒に座る子どもたち


引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所