バングラデシュにて医療・保健サービスを行う学校の話
【2018年12月の活動報告】

今期(2018年10月~9月)のユーグレナクッキー配布目標230万食に対し、12月までに約49万食(進捗率:21%)を配布しました。

1.医療・保健サービスを行う学校の話

日本では学校に保健室があることが当たり前です。しかし、GENKIプログラムの対象校には、予算や場所の制約により、一般的に保健室がありません。ダッカにあるSSKS小学校の校長先生は、子どもたちが迅速に医療・保健サービスを受けられない状況から、長い間医療提供の必要性を感じていました。そこで校長先生がイギリス人支援者を説得し、2015年3月から学校で保健サービスを始めました。週2回、校長先生の部屋で、医師による無料診察が行われています。毎回、全校生徒の約1割である40人の子どもたちが、主に腹痛や頭痛、風邪が原因で診察を受けており、必要に応じて薬も提供しています。また、学校の提携病院もあり、子どもたちは低額で治療を受けることができます。昨年、高熱と嘔吐を訴えた子どもが医師のところに駆けつけたところ、食中毒と診断されました。検査の結果、加熱不足の川魚を食べたことが原因であることが分かりました。スラム街に住む子どもたちは金銭面から病院で治療を受けることが困難です。この保健サービスのおかげで通常約2,000円の治療費がかかるところ、今回は500円の支払いですみました。差額は、支援者が負担します。本サービスにより、子どもたちだけでなく、子どもたちの両親も金銭的に恩恵を受けています。
 この保健サービスは、開始当時から現在まで1人のイギリス人支援者によって運営されています。そのため、いつまでサービスを享受できるか不透明です。校長先生は、新しい支援者を探す一方、学校自体でできる活動も重要であると認識しています。「私は医療の専門知識がないため、子どもたちに薬を提供することはできません。しかし医師の診察がない日に、子どもが軽い怪我をした場合は、消毒をします。また腹痛で苦しむ子どもには、体に良い生姜茶を飲ませるなど、子どもたちの健康のため自分が出来ることを行っています。病気予防のため、子どもたちが今後もGENKIプログラムのユーグレナクッキーを食べ続けることはとても大切であると考えます。」と話をしてくれました。

  • 写真-1:医師の診察を受ける子どもと見守るお母さん、先生
    写真-1:医師の診察を受ける子どもと見守るお母さん、先生
  • 写真-2:校長室に薬を大事に保管している校長先生
    写真-2:校長室に薬を大事に保管している校長先生

  • 写真-3:ユーグレナクッキーを食べる子どもたち
    写真-3:ユーグレナクッキーを食べる子どもたち

2.売店を運営するモウロング小学校の紹介

今月は、売店を運営するモウロング小学校を紹介します。同校は、モウロング財団によって運営されています。同財団は、創始者と彼の仲間の寄付金により成り立っており、現在、モウロング小学校では60人の子どもたちが学んでいます。同校の特徴は、校内に売店があり、その利益を学校の運営費に活用していることです。GENKIプログラム対象校の中でも校内で事業を行っているのは同校だけです。
 この売店では、子どもたちを対象に学校で使用する文房具の販売をしています。また学校がある地域住民、特に子どもたちの母親を対象に現地の民族衣装や化粧品、菓子やインスタント食品を販売しています。1日約15人が来店し、売上は月約30,000円です。店長のジャスミンさんは、売上を上げるため日々試行錯誤を繰り返しています。最近は、子どもたちや地域住民以外への販路拡大のため、中間層の女性顧客もターゲットにしています。例えば、先月はホームページを作成し、オンライン販売を始めました。また、物品販売以外の新たな収入源として、講師を招き、週末に学校でヨガ教室を行う予定です。このようにモウロング小学校では、自立的に学校を運営しています。

  • 写真-4 :売店内の様子
    写真-4 :売店内の様子
  • 写真-5:売店で販売されている文房具
    写真-5:売店で販売されている文房具
  • 写真-6:子どもたちへチョコレートを販売するジャスミンさん
    写真-6:子どもたちへチョコレートを販売するジャスミンさん
  • 写真-7:地域住民へ現地の民族衣装サリーを販売する様子
    写真-7:地域住民へ現地の民族衣装サリーを販売する様子

3.小学校の校庭事情について

首都ダッカでは、土地が限られているため、多くの小学校には校庭がないことをご存知でしょうか。バングラデシュは世界で最も人口密度の高い国です。ダッカ市街地では1平方キロメートルあたり3万人が住んでいます。東京都23区の人口密度が1平方キロメートルあたり1万4千人であることと比較しても、ダッカの人口密度がいかに突出しているかが分かります。そのため、ダッカにあるGENKIプログラム対象校でも、校庭がある小学校は約3割です。校庭のある学校に通う男子生徒は、国技であるクリケットや伝統的な遊びである「Cock Fight」*を楽しんでいます。
 一方、校庭が無い学校に通う子どもたちは、休み時間に外で遊ぶことができません。子どもたちは室内でボードゲームや縄跳びなどをして遊びます。ある学校では、先生が学校から歩いて20分ほどのところにある広場や公園に、時々子どもたちを連れて行き、徒競走を行ったり、縄跳び大会を開いたりします。このような活動は子どもたちにとって特別であるため、彼らはこの日をとても楽しみにしています。また、以前紹介したとおり、バングラデシュでは室内で男女一緒に遊ぶこともありますが、女子生徒はあまり外で遊ばず、おしゃべりを好む傾向があります。*右手で右足を掴み、片足でジャンプしながら、相手の肩と自分の肩をぶつけ合い、相手を陣地外に追いやるか、押し倒すという「相撲」のような競技

  • 写真-8:校庭で頭に皿を載せてリレーをする子どもたち
    写真-8:校庭で頭に皿を載せてリレーをする子どもたち
  • 写真-9: 校庭でCock Fightを楽しむ子どもたち
    写真-9:校庭でCock Fightを楽しむ子どもたち

  • 写真-10: 教室内で縄跳びをして遊ぶ女子生徒
    写真-10: 教室内で縄跳びをして遊ぶ女子生徒
  • 写真-11: 教室内でボードゲームをする子どもたち
    写真-11: 教室内でボードゲームをする子どもたち


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株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所