バングラデシュのトイレのない学校の紹介 
【2019年2月の活動報告】

今期(2018年10月~2019年9月)のユーグレナクッキー配布目標230万食に対し、2月までに約87万食(進捗率:38%)を配布しました。

1.トイレのない学校の紹介

皆さまはトイレがない学校を想像できますか?バングラデシュのスラム街にはトイレのない学校があります。GENKIプログラム対象校は55校ですが、3校にトイレがありません。今回はその中の1校である、80人の子どもたちが通うクラブテン ・ビーディーピー小学校ついて紹介します。 同校には元々トイレがありましたが、途中から使用ができなくなった特殊なケースです。
 トイレが使用できなくなった要因は2つあります。1つ目は子どもたちの衛生観念の低さによるものです。1995年の開校当時、同校では学校に隣接するトイレを先生と子どもたちが使用していました。このトイレは地元ロータリークラブ(社会奉仕連合団体)が管理しており、月400円の使用料を払っていました。しかし、開校から5年後、ロータリークラブは子どもたちがトイレを綺麗に使用せず、掃除が行き届いていないという理由で子どもたちのトイレ使用を禁止しました。スラム街の子どもたちは、衛生教育を受けていないためトイレを綺麗に使う習慣がないことが背景にあります。2つ目はスラム街の子どもたちに対する偏見と差別によるものです。本来社会の模範となるべきロータリークラブですが、スラム街の子どもたちを見下すような言動をとることがあります。これらの要因により、学校にトイレがないという理不尽且つ悲惨な事態を招いているのです。
 このような状況下で、学校から近いところに住んでいる子どもたちは自宅のトイレを使用します。一方で自宅が遠い子どもたちは、近所に住む友達の家のトイレを厚意で借ります。体調が優れない時は、すぐにトイレに行けないため大変です。また子どもたちが授業に集中できないことも問題です。校長先生はトイレに行くことを我慢する子どもたちの健康面に大きな不安を抱いています。さらに、トイレを清潔に使用する衛生教育の重要性も感じています。GENKI プログラムの活動の中で今後、こういった衛生教育を推進していきたいと思います。

  • 写真-1:スラム街にある一般的なトイレ
    写真-1:スラム街にある一般的なトイレ
  • 写真-2 :授業後の先生と子どもたち
    写真-2 :授業後の先生と子どもたち

2.勉強と家事を両立する少女の紹介

今月は学校に通いつつ家で家事をこなすショマちゃん(14歳)を紹介します。彼女はリキシャ運転手のお父さん、お母さん、繊維工場で働くお兄さん、弟の5人家族です。お母さんは1年半前に重い喘息にかかってしまい、埃や料理の煙を吸うと肺に負担がかかるため、家事全般を行うことが難しくなりました。そのためショマちゃんが代わりに、料理、掃除、洗濯を行っています。
 彼女の1日はとてもハードスケジュールです。毎朝5時半に起き、1時間半勉強した後、家族の朝食を作り、その後8時から11時半まで学校で勉強します。帰宅後は、家の掃除をした後に昼食作り、洗濯をします。そして宿題を終えた後、夕食作りに取り掛かります。21時ごろ夕食をとり(バングラデシュでは21時ごろの夕食が一般的です)、22時頃に後片付けを終え、就寝時間は23時頃です。ショマちゃんは6歳の頃からお母さんの家事を手伝ってきたことから、家事を完璧にこなしています。中でも料理を作り、家族に食べてもらうことに喜びを感じています。
 そんな過密なスケジュールをこなす彼女ですが、とても成績優秀で、学校の期末テストでは毎年学年でトップ3に入るほどです。家事が忙しいため友達と遊ぶ時間が減ってしまったそうですが、学校の休み時間に友達と縄跳びをして遊ぶことが最近の楽しみだそうです。

  • 写真-3 :掃除をするショマちゃん
    写真-3 :掃除をするショマちゃん
  • 写真-4:家事の中で一番好きな料理をするショマちゃん
    写真-4:家事の中で一番好きな料理をするショマちゃん
  • 写真-5:友達と縄跳びをする様子
    写真-5:友達と縄跳びをする様子
  • 写真-6:お母さん、ショマちゃん、弟
    写真-6:お母さん、ショマちゃん、弟
  • 写真-7:ショマちゃん(右奥)とクッキーを食べる子どもたち
    写真-7:ショマちゃん(右奥)とクッキーを食べる子どもたち

3.自然災害に関する学校教育について

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震から8年が経過しました。バングラデシュでもこの未曾有の大災害について、当時ニュースで大きく取り上げられました。多くの国民が津波の映像に大きな衝撃を受けたのです。ご存知の通り日本は地震、津波、台風、洪水、土砂災害などの自然災害が発生しやすい風土です。バングラデシュも日本と同様、洪水やサイクロンと呼ばれる台風が多発します。国土の50%以上が海抜7m以下と低地が多いため、高潮や暴風雨は、海岸地帯を中心に深刻な被害をもたらします。北海道と九州の合計面積と同程度の国土に、約1億6000万人が住んでいるという人口過密国、さらにその就業人口の5割強が災害の影響を直接受けやすい農業、水産業に従事していることが自然災害による被害を大きくしている要因となっているともいわれています。1991年に起こったサイクロンでは、約14万人の犠牲者がでました。
 そのことから、学校では中学校2年生の子どもたちが社会科の授業で自然災害について勉強します。教科書には、サイクロンだけではなく、日本の東北地方太平洋沖地震で発生した津波についても記述があります。サイクロンや津波の発生要因など知ることで、子どもたちは自然災害の恐ろしさを学びます。また授業では、サイクロン発生時、政府が建設している住民避難用サイクロンシェルターに逃げるよう指導しています。シェルターは、日本でいう学校のような丈夫な建物です。このようにバングラデシュでも、大切な命を守るため災害を知り防災意識を高める教育を実施しています。

  • 写真-8 :サイクロンの発生要因について学ぶ子どもたち
    写真-8 :サイクロンの発生要因について学ぶ子どもたち
  • 写真-9 :世界地図で日本の位置を確認する子ども
    写真-9 :世界地図で日本の位置を確認する子ども

  • 写真-10:教科書での津波、東北地方太平洋沖地震についての説明
    写真-10:教科書での津波、東北地方太平洋沖地震についての説明
  • 写真-11:災害時に避難するサイクロンシェルター
    写真-11:災害時に避難するサイクロンシェルター


引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所