バングラデシュにてIT教育を推進する学校の紹介 
【2019年8月の活動報告】

今期(2018年10月~2019年9月)のユーグレナクッキー配布目標210万食(2019年7月に修正)に対し、8月までに約192万食(進捗率:91%)を配布しました。

1.IT教育を推進する学校の紹介

IT大国インドの隣国であるバングラデシュでは、政府主導で「デジタルバングラデシュ」の政策を進めており、先進国のIT人材の不足を補う優秀なIT人材の育成に力を入れています。しかし、スラム街にあるGENKIプログラム対象校の多くでは、子どもたちが学習するためのパソコンは設置されていません。そんな中、SSKS小学校では、校長がデジタル化の進む同国においてパソコンの使い方を学ぶ必要があると考え、2016年7月から他校に先駆け独自でパソコン教室を始めました。現在、学校には学習用のパソコンが6台あります。これは校長が、使わなくなったパソコンを知り合いの学校関係者から無償で譲り受けたものです。このパソコン教室はパソコンを使える先生が放課後に週に1回、1時間、3ヵ月間に渡り実施しています。当初は、外部から講師を招き授業を行っていましたが、現在はパソコンの使い方を習得した先生が教えています。
 同校には1年生から5年生まで約400人の子どもたちが通っていて、校長がパソコン教室の募集をかけ、興味を持った子どもたちが参加しています。これまでパソコンを触ったことの無かった子どもたちは、まずタイピングやインターネットの使い方を学び、その後ワードやパワーポイントを使って資料を作成したり、専用のソフトウェアで絵を描いたりします。授業料は1人月200円で、同校の子どもたち以外に、他校の子どもたちも同価格で授業を受けられます。
 パソコン教室を開始してから約3年間に、計105人の子どもたちが授業を受けました。先生は、パソコン教室を継続するため、近隣の小学校の先生にも声がけするなど生徒募集を行っています。
 パソコン教室を卒業したある子どもは、小さな頃から絵を描くことが好きだったため、色彩豊かなペイントのソフトウェアを使って、パソコンで絵を描くことができるようになったことに喜びを感じているようです。

  • 写真-1:パソコン教室の様子
    写真-1:パソコン教室の様子
  • 写真-2:ソフトウェアを使ってバングラデシュと日本の国旗を描く子ども
    写真-2:ソフトウェアを使ってバングラデシュと日本の国旗を描く子ども

2.家族と離れ学校の寮で生活するパルベスくんの紹介

今月は、家族と離れ学校の寮で生活しているパルベスくんについて紹介します。パルベスくんは、GENKIプログラム対象校であるバウニアバス・イスラミヤ・マドラサ学校に通う小学校1年生(8歳)です。4歳の頃にお父さんを病気で失くしました。その後お母さんは再婚し、義理のお父さん、お母さん、4歳の義理の妹、パルベスくんの4人家族になりました。複雑な家庭環境から、パルベスくんは首都ダッカから南に約250km離れた港町であるチッタゴンに住む家族と離れ、ダッカにあるおじいさんとおばあさんの家で暮らし始めました。バングラデシュでは、掃除機ではなくほうきを使い清掃するのが一般的で、おじいさんは、藁からほうきを作る仕事をしています。おじいさんは、この仕事で14,000円の月収を得ていますが、ダッカスラム街の平均月収は約20,000円であり、おじいさんはパルベスくんの生活・教育費を捻出することが難しい状況でした。
 そのため、パルベスくんは寮がある「マドラサ」と呼ばれる敬虔なイスラム教徒が通う学校に転校しました。通常の教育課程に加えて、毎日イスラム教の聖典コーランをアラビア語で勉強します。非常に貧しい子どもたちは、無料で学校内にある寮に住むことができます。パルベスくんも、寮で暮らし、授業料も免除されています。パルベスくんは週末、寮から約10分離れたおじいさんとおばあさんの家に帰り、ほうき作りを手伝います。お父さん、お母さん、妹に会えるのは夏休みなど長期休暇時のみです。パルベスくんは「友達と共同生活をすることは楽しいけれど、家族に頻繁に会えないのはとても寂しい。いつかみんなと住めるようになりたい」と話をしてくれました。

  • 写真-3:おじいさんとパルベスくん
    写真-3:おじいさんとパルベスくん
  • 写真-4:ほうき作りの手伝いをするパルベスくん
    写真-4:ほうき作りの手伝いをするパルベスくん
  • 写真-5:寮で生活する子どもたち
    写真-5:寮で生活する子どもたち

3.学校での清掃習慣の違いについて

皆さんは、日本の小学生が清掃や給食の配膳をする風景を撮影した動画が海外で話題となったことをご存知ですか?私たちにとっては当たり前の風景ですが、世界を見渡すと日本のように子どもたちが掃除をする国は約4割、清掃員が掃除をする国は約6割で、少数派です。バングラデシュでも、清掃員が清掃をするのが一般的です。しかし公立学校をはじめ、子どもたちが清掃する学校が少しずつ増えつつあります。
 GENKIプログラム対象校のある小学校では、子どもたちが主体となり「学校清掃プログラム」を行っています。校長自ら校長室を清掃し始めたことがきっかけで始まりました。月に2回、清掃員が子どもたちに清掃の仕方を教え、校内及び学校の周りを清掃します。この取り組みの目的は、学校を自ら清掃することで身の回りのものを丁寧に扱うこと、1つのことを友達と協力してやり遂げる協調性を養うことを目的としています。この取り組みにより子どもたちは、身の回りを清潔にすることの大切さを学び、自宅でも進んで清掃をするようになったと言います。また、清掃の仕事の大変さを知り、今まで以上に清掃員に対する感謝の気持ちを持つようになりました。一方、子どもたちに掃除させることに否定的な学校もあります。ある学校では、親から「子どもに労働をさせている、清掃員の人件費削減にすぎない」いった声が挙がり、子どもたちによる掃除の実施に向けた動きが足踏みしています。このように私たちにとって当たり前である子どもたちによる清掃も、世界中ではさまざまな考え方があり、当たり前ではないことがわかります。

  • 写真-6:校舎の周りのごみを拾う子どもたち
    写真-6:校舎の周りのごみを拾う子どもたち
  • 写真7:教室の窓ガラスを拭く子ども
    写真7:教室の窓ガラスを拭く子ども


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株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所