2019年10月から1年間のバングラデシュでのユーグレナクッキー配布数目標
【2019年10月の活動報告】

1.2019年10月から1年間のユーグレナクッキー配布数目標

いつも「ユーグレナGENKIプログラム」をご支援いただきありがとうございます。GENKIプログラムは、主にプログラム対象商品をお買い上げいただいた際の売上の一部を協賛金に充てることで運営しております。6年目を迎えた今期(2019年10月~2020年9月)は、1年間で合計210万食のユーグレナクッキー配布を目指します。現在、首都ダッカを含む7県にユーグレナクッキーを配布していますが、今期はさらなる配布地域の拡大を目指します。なお、210万食の年間目標に対し、10月は約24万食(進捗率:11%)を配布しました。

2.タバコ・麻薬摂取防止への取り組み

バングラデシュでは、この数年間で大麻やタイの麻薬であるヤーバーの中毒者数が増加し、深刻な社会問題となっています。特に中毒者数が増加しているのは10~20代の若者であることが指摘され、若者が麻薬に手を染めるきっかけの多くは、タバコの喫煙習慣からのようです。バングラデシュでは法的に15歳以上がタバコを購入でき、また1本約10円で購入できるため、スラム街の子どもたちでも簡単に入手し、喫煙することができます。タバコの喫煙から始まり、その後友人の紹介などから、麻薬に手を出すケースも報告されています。
 GENKIプログラム対象校のハミンモデル小学校のある地域は、他のスラム街と同様、特に成人男性の喫煙率が高く、麻薬摂取も蔓延している地域です。日本では約3割の喫煙率ですが、バングラデシュのスラム街では、成人男性の約7割が喫煙しています。麻薬中毒者数は把握できておりませんが、中でも大麻中毒が多いようです。アラウディン校長先生は、行政機関の支援により2014年に、学校内にタバコ・麻薬摂取防止クラブを設立しました。クラブの目的は、タバコ・麻薬摂取を未然に防ぐ対策を実施することです。同クラブでは、子どもたち向けのワークショップやカウンセリング、両親向けの説明会をそれぞれ月1回程度実施しています。設立当時、全校生徒数250人の内、10歳~14歳の約20人の子どもたちが喫煙していましたが、現在子どもたちの喫煙・麻薬摂取の報告は受けていません。ワークショップでは、タバコ・麻薬に手を染めてしまう理由、摂取による心身への影響、地域の人や友人から誘われた際の断り方などをケーススタディー形式で学んでいます。そして、子どもたちは、学んだことを地域の人に伝えるため、ポスターを作り街頭で啓発活動も行っています。カウンセリングでは、先生が個別に子どもの抱えている問題を親身に聞きアドバイスをしています。また、保護者会では両親自身がタバコ中毒から脱するよう指導もしています。
 これらの教育を通じ、子どもたちや両親にタバコも麻薬の一種であることを伝えています。校長先生は「タバコの喫煙習慣から始まり、その後大麻などの麻薬中毒になってしまった場合、生活の乱れから退学せざるを得ない状況となり、将来安定した仕事に就けないという負の連鎖に苦しむことになります。子どもたちがこのような状況に陥らないよう、これからも地道な活動を続けていくことが私の使命です」と話してくれました。

  • 写真-1:街頭でのタバコ・麻薬防止の啓発活動
    写真-1:街頭でのタバコ・麻薬防止の啓発活動
  • 写真-2:タバコ・麻薬中毒の危険性について学ぶワークショップ
    写真-2:タバコ・麻薬中毒の危険性について学ぶワークショップ
  • 写真-3:アラウディン校長先生によるカウンセリング
    写真-3:アラウディン校長先生によるカウンセリング

3.CNG(3輪タクシー)と中古車の整備工場で働くナイム君の紹介

皆さんは、CNGと呼ばれる三輪タクシーをご存知でしょうか?バングラデシュの主な交通手段はバス、自動車、天然ガスで動く緑色の3輪タクシーの「CNG」、日本の人力車のような「リキシャ」です。CNGはガラス窓がなく金網なので埃をかぶってしまいますが、小回りが利くため、短・中距離を移動する市民の足となっています。
 今月は、このCNGと中古自動車の整備工場で働く4年生のナイム君(12歳)を紹介します。ナイム君は、首都ダッカから北東におよそ240km離れたところに位置するシレット県 UKBETタケルバザール小学校に通っています。シレット県は、インドのアッサム州と国境を接しており、バングラデシュの中で紅茶の産地として有名な地域です。この学校に通う大多数の子どもたちは、家庭の事情により何かしらの仕事をしながら学校に通っています。その中でも約8割の子どもたちは、CNGや中古自動車の整備工場で働いています。
 ナイム君は、日雇い労働者のお父さん、主婦のお母さん、15歳のお兄さん、7歳の弟、今年8月に産まれたばかりの妹との6人家族です。お父さんが日雇い労働で得られる収入だけでは家族を養う事ができないため、お兄さんとナイム君は町の小さな整備工場で働いています。ナイム君は、8時から10時まで授業を受けた後、すぐさま整備工場に向かい、11時から19時まで働きます。ナイム君は、CNGの修理や洗車をしたり、ペンキで車体に色を塗ったりとさまざまな作業をこなしています。働き始めてからまだ1年に満たないナイム君ですが、同じ工場に勤めるお兄さんが作業を教えてくれることが、彼の大きな支えになっているようです。また、仕事を通じて修理技術や知識が身に付いていくことにも面白さを感じているようです。
 毎年5%以上のインフレ上昇率を続けるバングラデシュでは、CNGや中古車市場の規模が年15~20%の勢いで成長していて、約30年前の日本車もまだ現役で数多く走っています。しかし、公道を走行中に故障する車も多く、自動車整備エンジニアはバングラデシュで今求められている職種の1つです。ナイム君は、いつも身近で教えてくれるお兄さんのようなエンジニアになりたいという夢を抱いています。

  • 写真-4:路上を走るCNG (3輪タクシー)
    写真-4:路上を走るCNG (3輪タクシー)
  • 写真-5:リキシャ(日本の人力車に近い)
    写真-5:リキシャ(日本の人力車に近い)
  • 写真-6:お父さん、お母さん、ナイム君、妹
    写真-6:お父さん、お母さん、ナイム君、妹
  • 写真-7:CNGの整備をするナイム君
    写真-7:CNGの整備をするナイム君
  • 写真-8:友達と授業を受けるナイム君
    写真-8:友達と授業を受けるナイム君


引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所