GENKIプログラム今期の振り返り 
【2020年9月の活動報告】

今期(2019年10月~2020年9月)のユーグレナクッキー配布目標210万食に対し、172万食(81.9%)を配布しました。

1.今期の活動振り返り

いつも「ユーグレナGENKIプログラム」をご支援いただきありがとうございます。今期は当初(2019年10月)から2020年2月に至るまで、対象校66校で約11,000人の子どもたちに、週5日のペースでユーグレナクッキーを配布しました。しかし不測の事態である世界規模での新型コロナウイルス感染症拡大により、バングラデシュでも3月17日から全ての教育機関が閉鎖されました。このためGENKIプログラム対象校の子どもたちにユーグレナクッキーを配布出来ない状態となりました。その後も感染拡大に歯止めがかからない状況が続き、幾度となく休校延長が政府より発令され、今期の半分以上の期間(2019年3月17日~2020年9月30日)は通常の配布活動が出来ない結果となりました。このような中、代替策として「栄養問題解決」というGENKIプログラムの目的に沿った2つの緊急措置を実施しました。第1のプロジェクトとしてダッカスラム街の住民を対象にユーグレナクッキー40万食を無償配布しました※1(2020年6月~7月実施)。また第2のプロジェクトとしてはGENKIプログラム対象校を運営しているNGOの一つであるオーバットヘルパーズ(OBAT Helpers)※2と連携して、ダッカ郊外にある同団体の学校(6地区、合計20校)の子どもたちにユーグレナクッキー10万食を配布しました※3(2020年9月実施)。この2つの取り組みの結果、ユーグレナクッキー配布数が累計1,000万食を突破することとなりました。今後も「ユーグレナGENKIプログラム」を通じ、いかなる事態にも臨機応変に対応し、バングラデシュの子どもたちの栄養失調問題解決を目指して活動を継続していきます。

  • ※1 本活動の詳細はGENKIプログラム5月度と6月度レポートで紹介しています。
  • ※2 OBAT Helpersは米国ベースのNGOで、バングラデシュにいるビハール人(パキスタンからの独立時に無国籍となった少数民族の難民)を支援している団体。現在、ダッカ市内にあるGENKIプログラムの対象校4校を運営。
  • ※3 本活動の詳細はGENKIプログラム8月度レポートで紹介しています。
  • 写真-1:ダッカスラム街住民へのクッキー配布の様子
    写真-1:ダッカスラム街住民へのクッキー配布の様子
  • 写真-2:ダッカ郊外OBAT学校でのクッキー配布の様子
    写真-2:ダッカ郊外OBAT学校でのクッキー配布の様子

2.コロナ禍で長引く休校措置が子どもたちに与える健康面の影響

バングラデシュでは前述の通り、コロナ禍で今春の3月以降に全ての教育機関が閉鎖されており、休校延長は半年以上に及んでいます。その間、学校側の工夫でオンライン授業※1や在宅訪問による補講授業※2に取り組む事例も見受けられますが、大半の子どもたちは学習する機会を持てない状況となっています。当社バングラデシュ事務所ではGENKIプログラム対象校に授業への取り組み実態調査を行いました。調査(2020年9月末、全66校)の結果は下図の通りで、7割近い学校では生徒がその恩恵を受けることが出来ない状態となっています。

  • ※1 オンライン授業実施例はGENKIプログラム7月度レポートで紹介しています。
  • ※2 在宅訪問による補講授業の実施例はGENKIプログラム8月度レポートで紹介しています。

また学校施設も閉鎖されているため敷地内でクラスメイト同士おしゃべりしたり、一緒に遊んだりすることもできません。その結果、長期間を屋内で過ごし家族以外と接する時間がほとんどない子どもたちは、環境の変化でストレスを受けやすい状態となっています。
 GENKIプログラム対象校のDAモハイラ・ミッション学校では、30人の孤児が生徒として学内の宿泊施設で生活しています。全生徒数330人が在籍する学校ですが、休校措置により学内で授業が無くなり先生やクラスメイトと会うことも出来ず、30人の生徒たちは施設内に留まり、ぼんやりと過ごす日々が続いています。6年生のシンシアちゃん(13歳)は休校が始まって以来、眠りが浅い日々が続き、5歳の時に亡くなった父親の夢を幾度となく見るようになったと言います。また4年生のシャヒラちゃん(11歳)はクラスメイトに会いたい気持ちが募り、不眠症を経験したと話してくれました。2年生のミムちゃん(9歳)の場合は、ダッカ近郊に住む叔母さんと定期的に会うことが大きな楽しみでしたが、コロナ禍で宿泊施設からの外出が認められず長らく会えない状態が続いています。そのため気分がふさぎ込むようになったと悩みを伝えてくれました。当施設の世話人を18年間務めるハミダさんは「ここで暮らす生徒たちの日常生活は大きく変わりました。保護者がいない子どもたちには、身近にいる専門家からメンタルヘルスを支援する必要があります。私自身が子どもたちから悩みを聞き慰めたりアドバイスしたりしましたが、それでは不十分でした。そこで今後、学校側との連携で先生方によるメンタルヘルスケアを施設内で週に一回実施することとなりました。この対策が子どもたちの体調不良改善となることを願っています。」と語ってくれました。学校再開の見通しが立たない状況ですが、このように苦慮している子どもたちがユーグレナクッキーを再び食べて貰えるように配布再開の準備を進めています。

  • 写真-1:DAモハイラ・ミッション学校の外観
    写真-1:DAモハイラ・ミッション学校の外観
  • 写真-2:学内宿泊施設のシンシアちゃん(左)とシャヒラちゃん(右)
    写真-2:学内宿泊施設のシンシアちゃん(左)とシャヒラちゃん(右)
  • 写真-3:学内宿泊施設のミムちゃん
    写真-3:学内宿泊施設のミムちゃん


以上、今期の報告をさせていただきました。引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

株式会社ユーグレナ
海外事業開発部 / バングラデシュ事務所