クレイジー」をキーワードにはじまったクラシエホールディングス株式会社(以下クラシエ) 岩倉社長と、ユーグレナ社社長の出雲の対談。

後編では、理念、目標などの実現に向けて語ります。
前編の対談はこちら

目標や夢の実現には何が必要?

出雲充(以下出雲):私たちは「ミドリムシ入り燃料で飛行機を飛ばす」「世界の栄養失調の子供たちをなくす」、まさにSDGsの1つ目の目標が私たちの事業の目指す方向ですが、クラシエ社の目標や夢は何ですか?

岩倉社長(以下岩倉):100年先にクラシエが世界を夢中にさせている会社であることです。
間近のゴールではなく、100年先です。
ちなみにユーグレナ社の目指すところは「ミドリムシ入り燃料で飛行機を飛ばす」「世界の栄養失調の子供たちをなくす」ということですが、どうやって社員の方々にその方向性を共有されていますか?

出雲:そうですね、私は誰に対しても言うことを変えないというのはあります。有名な政治家の方でも小学生にでも、同じく「ミドリムシ入り燃料で飛行機を飛ばす」「世界の栄養失調の子供たちをなくす」とお話します。
会社をつくったときからも、基本的なところは変わっていないと思います。
そしてユーグレナ社に入っている仲間はみなビジョンに共感してくれている人々で、なのでみんなクレイジーですね(笑)。

ただ、今はベンチャーで人数が少ないから私が変なことを言っても届きますが、会社が大きくなったら、加速度的に厳しくなってくるのではないかと思っています。
なので、クレイジー先輩であるクラシエの社長に、クレイジーの難しさを教えてほしいです。

岩倉:大切なのは「続けること」だと感じています。
まだやるのか、というぐらい続けることが大切です。
わたしたちは企業理念「しるし」というものを制定しましたが、その制定日1月15日に毎年、なぜ制定されたのか、なぜ徹底させるようにしているのか、自分たちで再び確認します。
ある事業は、会議の前に「しるし」を唱和する。とにかく徹底する。
課長になる試験にも出てきます。

出雲:徹底させる難易度というものが大企業とベンチャーで変わってくるかと。より難易度が高い大企業でも徹底させるには何が重要ですか?

岩倉:まずは経営に近い人々がしっかりと理念を実践することです。
経営陣が徹底しないと社員に伝わらないんです。ものすごく意識しなくてはいけない。
1月から3月の事業方針説明の際に、どういう意図をもってこの言葉を定めたのか全国22か所に赴いて説明します。時間があれば、お酒を一緒に飲むなどして、会話をして質問してもらえるような場を作っています。
徹底と続ける事が何よりも大切、そしてFace to Faceでどれだけ話をできるかが大切。一杯酒が入ると言いたいことも言えるようになるものです。
現場を見ないとわからないことは多い。事業会社の時も取引先の国に赴いて実際に確認する。こういう時代だからこそ、実際に行かないとわからないことは多いです。

「くだらないものはない」のか

岩倉:出雲さんに絶対に聞きたいことがるんです。著書で「くだらないものなんてない」と書かれていますが、その考えを重要視するその心は?

出雲:ミドリムシも研究すればするほど、色々なことが分かるんですが、そんなことして本当に役立つのって思われるようなこともありました。
しかし、私は自分で行動して初めてこれは意味がないなとわかることが多い。
やってみないと、自分の実感として生きた経験にならないなと。

そして、この世に一つもくだらないことなんてないと思っているので、これは意味のないことだと思ってもそんなことはないと自分に言い聞かせてトライするよう心掛けていたんです。
そうすることで、ミドリムシの新しいことを知れた。
この自分の成功体験から「くだらないものなんてない」という言葉を大切にするようになりました。

岩倉:そうなんですね。クラシエでは今年の事業方針で、「小さなことにこだわる」というものを追加しました。
「クレイジーになる」とった、いきなり大きなことはなかなかできない。でも、みんなが普段小さいと思っている、些細だと思っている事は大きなことにつながるから、小さなことにもこだわってほしいという思いです。そのこだわりが大きな行動につながるよと。
私が、現場が好きな理由でもあるんですが、現場ではすごいことをやっているんです。でも、現場ではそれが当たり前だと思っている。品質へのこだわりなどは、クレイジーなまでにやっているのに。
その人たちのように、まずは自分のやっていることにこだわってみようという意識で、そしてそのこだわりが大きな行動につながっていく。

出雲:工場に行きたいです。

岩倉:ぜひぜひ(笑)、重要文化材に登録されている工場もあるんですよ。

出雲:この度はユーグレナ社は「しるしの日」の対談相手に選んでいただきありがとうございました。日本を代表する企業、そしてクレイジーの先輩とお話させていただくことができて、本当に光栄でした。

岩倉:いえいえ、「しるしの日」をきっかけにお話しすることができてよかったです。ありがとうございました。

※こちらのインタビューはクラシエの企業理念イベント「しるしの日」の合わせて行われたに内容をもとに作成しています。