2022年4月1日から改正育児・介護休業法が施行されました。これは男性の育児参加による女性の雇用継続や出生数増加に向けて制定されたものです。
ユーグレナ社では、現在子育てをしている仲間だけでなく、これから子育てや介護を経験する仲間のそれぞれのライフステージの変化に寄り添えるように、これまでも多様性をちからにするための施策を行ってきました。その結果、2021年12月の初の男性育休取得を皮切りに、1年で男性社員の育休取得率が60%まで向上しました。
今回は実際に男性育休を取得した仲間と、これから取得する仲間の計6名が集まり、育休取得について本音で語り合いました。育休取得率100%を実現するために見えてきた、取得推進のためのヒントや次の課題とは?
【参加者】
A氏:M&A担当メンバー。2023年5月に2週間の育休を取得
B氏:事業部部長。2023年5月に4週間の育休を取得
C氏:事業部マネージャー。2023年5月に4週間の育休と取得
D氏:財務部チームリーダー。2023年1月、4月にそれぞれ1カ月ずつ育休取得
E氏:経営戦略部メンバー。2023年5月入社。前職で4週間の育休取得
F氏:人事部チームリーダー。2023年11月に第1子誕生予定
― 育休を取得することに不安はありましたか。
A氏: 私は、育休は男性も取得すべきものという考えなので、取得する、しないの不安はありませんでした。むしろ、育児と仕事のバランスをどう決めるか、というのが取得期間を決める上での焦点でした。また、キャリアに支障が出るとも思っていませんでした。ただ、私のチームは2人体制なので、自分が休むとどうしてももう1人のメンバーの負担が増えるため、不安というよりも申し訳なさの方が大きかったです。
B氏: ずっと子どもが欲しいと思っていましたし、だからこそ育休は取得したいと考えていました。なので、不安とかはなかったですが、自分のポジション的に代役を立てられるものではないので、その点は苦労しました。ちょうど育休のタイミングが仕事の過渡期と被ってしまったこともあり、育休中も毎日2~3時間は稼働していましたね。なので、育児に100%専念!となることはなく、合間で仕事をしていました。
C氏: 私は、第1子が生まれたのは前職の時で6年前ですが4週間取得しました。その当時は、現在ほど男性育休が社会からも認知されていなかったので、不安というよりためらいがありました。ただ、女性が多い部署で上司も女性だったということもあり、相談しやすい環境ではありました。今年取得した際は、同じく仕事の過渡期であったため、やはり育休中も稼働はしていました。休業中も就労できるという制度であるからこそ、育休取得する決断にも至ったと思います。
D氏: 僕も取得に対する不安はありませんでした。ただ、妻の妊娠が判明した時、チームメンバーが実質僕だけという状況でしたので、上司には一旦育休のことは言わずに早期から体制構築の必要性は伝え続けていました。その後、出産予定日の4か月前くらいに上司に育休のことを伝えました。具体的には、いつ休むのか、休業前まではこう働く、など、可能な限り自分の働き方の詳細を伝えることを心がけました。上司からは、「家族ファースト」という言葉をかけてもらい、とても安堵したのを覚えています。また、体制面でも育休前にチームメンバーが1人増員されました。早めに開示することがスムースに育休取得を促すポイントだと思います。
A氏: 上司への伝え方は悩ましいですよね。特に経営層の方々は、なかなか家庭観が透けて見える人が少ないこともあり、どうやって伝えれば理解してもらいやすいのかは私もとても悩みました。
E氏: 前職での話にはなりますが、不安というよりは、育休を取得するために引継ぎ作業を行うのがとても大変でした。2週間~1か月の育休のために業務内容をまとめる必要があり、通常業務と並行して行うのに苦労したのを覚えています。
F氏: 私は人事という立場上、男性育休を推進しなければならないし、パートナーの仕事と育児の両立の支えになりたいと思っているので、最大限に育休を取得したいなと考えています。皆さんのお話を伺って、上司だけでなく、人事部全体に早めに開示することが重要だと思いました。
― それぞれの立場によって感じることや課題は異なりつつも、取得前のチームへの共有や引継ぎなど事前の準備がとても大切ですね。実際に取得してみてチームには何か変化はありましたか?
D氏: 取得後は、自分からチームメンバーに自分がいない間の業務についてフィードバックをもらいました。ただ自分を含めて2人のチームなので、メンバーからは「育休に入る準備段階からもう1人いた方がよかった」というコメントを頂きました
C氏: 自分もメンバーから育休中のフィードバックを聞きたいと思っていましたが、本人に直接伝えるのも難しいだろうと思い、人事部に依頼をして匿名のアンケートをとってもらい、引継ぎで足りないところはなかったか、自分がいなかった時に困ったことが起きたかなど、を聞きました。短期間の休みのため、人の補充がなく残った仲間の負担が増えたという意見もある一方で、不在中は権限委譲をしてもらうことで、責任感が強くなった、という意見もありました。私がいないことで、普段できない仕事にメンバーが触れることができるので、その人の成長に繋がったという側面もあったのではないかと思います。
― ほかに会社の制度や運用上の課題として何か見えたものはありますか?
F氏: 皆さんのお話を伺っていると、人事評価の部分も検討が必要だと思いました。当社は、人事評価は半期毎に実施されるため、6か月のうち、例えば2か月育休取得するとなると人事目標にも関わってきます。現状、そういったルールはないため、会社としてどう判断するかは、明確にする必要があると思います。
D氏: あとは、負担を担ってくれた周囲の仲間には、福利厚生ポイントなどの何らかのインセンティブ付与ができると、残される側の仲間のケアという点においても、取得者自身の安心感にもつながるかと思います。
B氏: それは同意ですね。
F氏: ライフイベントとの両立という観点では、働き方の選択肢ももっとあった方が良いのではないかと思います。現在、週3回出社というルールがありますが、育児との両立を考えると、個人の状況に応じて選択できるようになるのがベストだと思います。
A氏: 「人と地球を健康にする」というパーパスがあるので、多様な働き方を認めて、個人の状況に応じて、働き方の選択肢が与えられた方が、生産性があがると思っています。実際、子供が生まれて、両立をしないといけない、となった時にそう強く思うようになりました。
E氏: 私は、男性の育休取得を会社として推奨することの意義は言語化しないと、なぜ取るのかが当事者自身もですし、フォローする周りのメンバーにも伝わりづらい気がしています。家族のためとか、子どもの成長を間近で見られるといった理由はわかるのですが、会社としては何がメリットになると考えているのかを明確にしてもらった方が、取得するときの心理的ハードルを下げることや周囲の納得性を上げることに繋がるのではないかと思っています。
― 育休を取得してよかったことや学びはありましたか。
A氏: ユーグレナ社が掲げるパーパスに「人と地球を健康にする」と言っている以上、人の構造を理解しないと意味がないと思うので、育休は必要ですし、取得してよかったです。育児の大変さを身に染みて感じました。
D氏: 到底、育休中のリスキリングは無理ですよね(笑)。
C氏: 私はマーケターとしては、平日の昼間にスーパーに行って、消費者目線で購買行動を見られたことにはとても意義を感じました。この商品が20円値下げされることで、一般消費者の購買心理はどう変わるのか、を肌で感じられたのは良かったです。
E氏: サステナビリティ推進をしている身としては、子どもと一緒に生活することで、今まで感知していなかった多くの社会課題に気づけるようになりました。例えば、電車移動中にベビーカーでの移動が困難なルートがあったり、逆に子連れに優しいインフラが整備されているなと感じたり、たくさんの気づきがありましたね。。
C氏: 私は育休中も就労していたため、パートナーとの関係性という点で、育休中の家事・育児に対するパートナーからの期待と、自分がやっているできる限りしていたことのバランスが取れているか、ちゃんとパートナーの期待を超えられているか、という部分点は実際分かりませんでしたらなかったという点があります。学びとしては、パートナーともしっかり対話した上で、育休取得の準備をすることが必要だと思いました。
B氏: 私も同意です。
育休を取得すること自体に不安やためらいを感じる仲間が減ってきた一方で、今回、こうして体験談を本音で語り合うことで、男性育休取得を進める上での考え方や工夫の仕方のヒントが明らかになりました。また、男性育休取得の意義の言語化や周りのメンバーに対するフォロー等、解決していくべき課題も少しずつ明確になってきました。これからもユーグレナ社は男性育休取得率100%を目指して仲間の声を聞きながら、すべての仲間がライフイベントとの両立をしながら、最大限の力を発揮できる環境の構築を進めていきます。