2022年11月14日、オランダのハーグで開催された第18回国際子ども平和賞の授賞式にて、ユーグレナ社の2代目CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)を務めた川﨑レナさんが、第18回国際子ども平和賞(The International Children’s Peace Prize)を受賞しました。なんと、この賞を受賞した日本人は川﨑レナさんが初めて。
今回は「国際子ども平和賞」についての説明や、歴代の受賞者、川﨑レナさんについてやCFOでの取り組みをご紹介します。

「国際子ども平和賞」とは

「国際子ども平和賞」とは、オランダ・アムステルダムの国際的な児童権利擁護の非営利組織であるキッズライツ財団が主催する、子どもの権利のために大きく貢献した若者に贈られる賞です。2005年にローマで開催されたノーベル平和賞受賞者世界サミットにおいて創設され、以来、ノーベル平和賞の受賞者がこの賞の授与を担っています。
今回の川﨑レナさんの授賞式でも、イエメンのノーベル平和賞受賞者タワックル・カルマン氏から川崎レナさんへ賞が授与されました。

「国際子ども平和賞」が創設された背景は、子どもたちが自分の考えや子どもの権利への関わりを表現するためのプラットフォームをつくるためです。子どもたちが自分自身や周囲の子どもたち、さらには世界中の子どもたちの状況を改善するために考え行動し、その努力が認められることで、更なる大きな一歩を踏み出すためにこの賞は存在します。

また、受賞者のメッセージは多くの国々のメディアに報道されるため、「国際子ども平和賞」を受賞したことをきっかけに、世界中の何十億という数多くの人々に想いを伝えられるようになるのです。

「国際子ども平和賞」の歴代の受賞者

毎年、子どもの権利の擁護に大きく貢献した若きチェンジメーカーに贈られる「国際子ども平和賞」。すべての受賞者は、世界中で何百万人もの子どもたちが直面している問題に立ち向かうために、顕著なコミットメントを示してきました。
そこで、これまでの歴代の受賞者たちを一部ご紹介します。

環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏

環境活動家として有名なグレタ・トゥーンベリさんも、2019年に国際子ども平和賞を受賞しました。
グレタさんは8歳のときに初めて気候変動について知り、大人たちがこの危機を深刻に受け止めていないことにショックを受け、気候変動のために闘うことを決心しました。飛行機に乗らない、肉や乳製品を食べない、不必要なものを買わないという「shop stop(ショップ・ストップ)」を決行しましたが、もっと自分の意思を示していかなくてはならないと考え、2018年に自作の横断幕「skolstrejk för klimatet(気候のための学校ストライキ)」を持ってスウェーデンの国会前に腰を下ろしたのです。
この活動は「#FridaysforFuture」として瞬く間に世界中に広がり、多くの人に影響をもたらしました。

子どもの権利の実現には、環境保護は基本的な要素であり、気候変動問題は、生命、健康、平和に対する子どもたちの権利を侵害していると言っても過言ではありません。グレタさんの行動は、持続可能な未来の実現のために戦う中心は、常に子どもたちであると物語っています。

人権活動家マララ・ユスフザイ氏

2013年に国際子ども平和賞を受賞したのは、パキスタン出身のマララ・ユスフザイさんです。
2007年にタリバンがパキスタンの一部を制圧した際、女児の学校への登校は禁止されるようになりました。さらに2008年には150もの学校がタリバンによって爆破されました。
マララさんはすべての子どもが教育を受ける権利を有することを訴えるために、自身の学習への情熱とタリバンの抑圧についてを綴ったブログを公開しました。この勇気ある行動が評価され、一度は受賞を逃したものの、2013年についに国際子ども平和賞を受賞しました。

その後、マララさんは女児の教育を求める闘いの希望の象徴となり、世界中に影響を与え、2014年にはノーベル平和賞を受賞しました。

エイズに対する認識に大きな影響を与えた、ンコシ・ジョンソン氏

国際子ども平和賞の第1回受賞者であるンコシ・ジョンソンさんは、啓蒙活動を通じて、人々のエイズに対する認識に大きな影響を与えました。
ンコシさんは後天性免疫不全症候群(エイズ)に母子感染して生まれました。HIVに感染していることを理由に学校への入学を許可されなかったことをきっかけに、エイズに関するワークショップを開催しました。そして学校に行く権利を勝ち取るため、ンコシさんは裁判を起こし、最終的に「学校は医学的な理由で子どもを拒否することはできない」と判断され、勝訴しました。

ンコシさんは死ぬまでエイズ患者を普通の人と同じように扱うよう人々に求め、闘い続けました。そしてンコシさんが亡くなった後、2005年に国際子ども平和賞を受賞しました。
国際子ども平和賞を受賞した際に送られる子どもが地球を押している姿を模した像の名前も、彼にちなんで命名されました。「ンコシ」は世界を動かす子どもの象徴なのです。

川﨑レナさんとCFOでの取り組み

川﨑レナさん(左から2番目)とFutureサミットメンバー

2代目CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)の川﨑レナさんは、大阪府のインターナショナルスクールに通う17歳です。WWFユースメンバー、特定非営利活動法人JUMPのワークショップ選抜メンバーなどを務めるほか、世界61ヵ国で展開される国際的な若者の組織であるアース・ガーディアンズ・ジャパンの日本支部を2020年に創設しディレクターを務めるとともに、2022年にInternational Youth Council に就任しました。さらにはGlobal Startup ConnectionやICEFなどにも登壇するなど、さまざまな活動に取り組んでいます。

CFOとは、最高未来責任者(Chief Future Officer)の意味で、会社として未来を持続的な形に変えていくためには、未来を生きる当事者である世代たちも経営に参画すべきと考え、2019年に18歳以下のCFOのポストがユーグレナ社に設置されました。

2020年にユーグレナ社の2代目CFOに就任した川﨑レナさんは、任期中は「Well – being innovation」と定義した、会社が社会問題解決に挑戦し続けていくために、アイデアや挑戦に溢れ、それを応援し続けられる文化の醸成を目指すべく、会議運営方法やオンボーディングを支える人事方針、多様性に関するワークショップの開催など、社内コミュニケーションを基軸とした策を複合的に実施しました。

特に、2021年8月に発表されたユーグレナ社の定款(ていかん)変更に関しては、CFOおよびFutureサミットメンバーが監修し、定款で定める事業目的を、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の17の目標を反映した内容に全面刷新しました。

ユーグレナ社はこれからも、CFOや仲間とともにサステナブルな社会の実現を目指すと共に、未来を生きる当事者たちの活動を応援していきます。