裁縫トレーニングが守る子どもたちの学び:ドエル学校の挑戦
【2025年10月~12月の活動報告】
今回のレポートでは、GENKIプログラム提携校であるドエル学校が、裁縫トレーニングを通じて学びと自立を支えるストーリーをご紹介します。
1.子どもたちのために続く挑戦
ドエル学校の子どもたちは、教育を受けるための環境が十分に整っていませんでした。多くの家庭で経済的な理由から、学校に通い続けられなくなる事例が多く見られています。子どもたちは、家計を支えるため、近所のお店や、家事の手伝いとして働きに出ています。また、特に女の子の場合、若い年齢で結婚を促されることもあります。こうした背景の中で、「教育はすぐに生活の役に立たない」と保護者が考え、結果として子どもたちの就学が後回しにされてしまうことがあります。
2023年、ドエル学校の創設者であるハサンさんは、生徒たちが次第に学校に通わなくなる状況に気づきました。子どもたちに理由を尋ねると、そこには家庭の経済面での厳しい事情が浮かび上がってきました。
こうした状況に胸を痛めたハサンさんは、「子どもたちが学校に通いながら、家計の収入につながるスキルを身につけられる環境が必要」と強く感じるようになります。その思いから、4・5年生を対象とした裁縫トレーニングのプログラムを学校の中でスタートさせました。

最初は小さな教室にミシンが1台という小さなスタートでしたが、そこには「子どもたちが学校に通い続けてほしい」という大きな願いが込められていました。
本トレーニングは任意参加ですが、将来のスキルを得られるということで参加を希望する子どもたちが多く、現在では順番待ちの子どもが出るほどだそうです。

また先生たちは、子どもたちが無理なく裁縫トレーニングに参加できるように1日のスケジュールを工夫しています。通常、午前9時から11時まではトレーニングを行い、その後に通常科目の授業を実施しています。こうした時間配分によって、トレーニングが日々の学習の妨げにならないよう、丁寧な配慮がなされています。
また、3か月間のトレーニング受講後には試験が行われ、試験に合格すると修了証書が子供たちに授与されます。こうした仕組みは、子どもたちの自信につながっています。

現在までに 約70名 の子どもたちが裁縫トレーニングを受講しました。その中には特に厳しい経済環境にある家庭の子どもたちも多く含まれています。
トレーニングを受講した子どもたちの多くは、隣人から頼まれて空き時間に洋服の手直しをしたり、放課後に裁縫店で手伝いをしたりしています。こうして得た収入は家計の助けになっています。

子どもたちのお母さんは、こう話してくれました。「子どもが、これまで自分で収入を得たことはありませんでした。でも今では、裁縫を通じてひと月に1,500タカほどの収入で家計を助けてくれています。正直なところ、以前は家庭の事情から子どもを学校に通わせ続けるべきか悩んだこともありました。でも、こうして学校に通いながら、家計も支えてくれている姿を見ると嬉しく、まさかこんなふうに両立できるとは思ってもみませんでした。」

子どもたちは、学びを重ねる中で少しずつ自信を育んでいます。ある生徒は、初めて自分の手でドレスを仕上げたとき、家族が心から喜んでくれたことが大きな励みになったと話してくれました。また別の生徒は、さらに技術を磨き、将来は自分のお店を持つことが夢だと語ってくれました。

トレーニングを修了した後も、多くの子どもたちがボランティアとして教室に戻り、後輩たちに裁縫技術を教えています。かつて自分が助けてもらったように、今度は自分が新しく入ってきた子どもたちの力になりたいという思いが、学んだ技術や経験を次の世代へと受け継ぐ原動力になっています。

この裁縫トレーニングにより、家庭における子どもの教育に関する見方は少しずつ変化し始めています。実際に、経済的な理由で、子どもを早く結婚させたり、学校をやめさせたりするケースが減少しています。
創設者のハサンさんは「裁縫のスキルは、物をつくるだけのものではありません。子どもたちに自信を与え、学校に通い続ける力にもつながります。こうした学びの積み重ねが、子どもたちの未来を切り開く大きな支えになっています。」と力強く言います。

裁縫トレーニングの規模は徐々に拡大していますが、課題もまだ残っています。現在利用できているミシンは5台のみであり、トレーニングの参加を待つ生徒も多く、学校は10台のミシンの導入を目指して寄付を募っています。
ドエル学校の裁縫トレーニングは、子どもたちの就学継続と生計手段の確保を支える取り組みとして成果を上げています。設備不足という課題に向き合いながらも、より多くの子どもたちの学びと将来の自立につながる環境づくりをこれからも進めていくそうです。
困難な状況にもかかわらず、シャヒーナ校長先生は、子どもたちが安心して過ごせる環境への移転を目指し、より良い学びの場をつくるための準備を進めています。その一環として、デジタルツールの導入にも積極的に取り組んでいます。
2.2025年10-12月の活動報告
10-12月の3か月間は、GENKIプログラム対象校87校のうち、1日平均9,996 人に対し、合計62.3万食のユーグレナクッキーを配布しました。

