ダッカでは希少な校庭で、子ども達の心身をはぐくむ
【2023年1月の活動報告】

バングラデシュの首都ダッカは世界有数の人口密度の高さです。そのため、スラム街の学校では子ども達に十分な学びと遊びの空間を確保することが難しく、2022年12月のレポートではそのような中でも工夫を凝らし、壁画を通してより良い学びの環境を生み出した、ミ・ハーン学校を紹介しました。
今月のGENKIレポートでは、狭いスラム街で生活する子ども達のために校庭を確保し、彼らの心と体の成長をはぐくむ、GENKIプログラムの提携校をご紹介します。

1.ダッカでは希少な校庭で、子ども達の心身をはぐくむ

2019年に設立したチャリティーライト・シシュ・メラ学校は、ダッカのミルプール地区、ベグンチラ・ボスティ・スラム街の中にあり、225名の子ども達が学んでいます。

教室で学ぶ子ども達

同校の特徴は、密集したスラム街の中にあり、ダッカ中心部の高架や大通りに囲まれているにも関わらず、バングラデシュの農村の学校で過ごしているような、広々とした空間環境を作っていることです。

ベグンチラ・ボスティ・スラム街の様子。密集した狭い道が続く
学校の奥にある、草木に囲まれた校庭

同校の運営委員会は、学校の立地を決める時、座学だけでなく体を動かす機会を作ることにも重点を置いていて、校庭の設置は譲れない項目に入れていました。校庭で学ぶ機会を通し、子ども達の体力作りに寄与するとともに、社会性や協調性をはぐくむことを目指し、空き地だった近隣の敷地を確保し、運動や集団遊びを学校の活動に取り入れることにしたのです。広さは約140平方メートルあり、周辺はフルーツなどの木々に囲まれています。

周辺にはバナナやジャックフルーツの木々が並ぶ

同校はこの校庭をさまざまな場面で活用しています。まず、朝礼での運動です。子ども達が整列し先生の話を聞くだけではなく、体操やダンスを学びます。

体操やダンスで体を動かす子ども達 

また、休み時間に加えて放課後には約2時間にわたり先生と子ども達が校庭で遊びます。先生達は子ども達にバングラデシュの伝統的な農村の遊びをたくさん教えています。例えば「フル・トッカゲーム」。2つのチームに分かれ、各チームの王様が目隠しをして、敵チームの誰が自分の額を触ったかを当てます。正解したチームは少しずつ前進し陣地を得ていく、というゲームです。

フル・トッカゲームで遊ぶ子ども達

他にも、女の子に大人気の手足を組み合わせることによりさまざまな形の柵を作り、それを飛び越える「イッチン・ビッチン」や、日本の昔ながらの遊びにも似たコマやビー玉遊びを教えています。

手足を飛び越える「イッチン・ビッチン」
コマ遊び「ラティム・ケラ」
ビー玉遊び「マーベルズ・ケラ」

学校に通い始めた当初、集団遊びにあまり関心がない子ども達もいましたが、先生が働きかけて一緒に遊んでいるうちにその楽しさに気づき、皆が参加するようになったといいます。さらに、これらの運動や集団遊びだけではなく、子ども達が自分たちで校庭を掃除する習慣も身につけさせています。

校庭の落ち葉やごみを、ほうきで掃除する子ども達

同校の校長であるアフサナ先生は、「子ども達は集団で遊ぶことをとても楽しんでいます。体を動かすことは健康で活動的な生活の礎となるものです。私たちは、座学と同じように運動も重視しており、校庭での子ども達の様子もよく観察しています。」と話してくれました。

集団遊びで子ども達に話しかける先生達(写真右の赤いヒジャブを被った女性がアフサナ先生)

4年生のアリ君は「田舎からダッカに引っ越してから、ラティム・ケラ(コマ遊び)が恋しくなっていたんだ。でも、学校で先生が田舎での生活と同じように皆でこの遊びをするようにと言ってくれて嬉しい」と話してくれました。

ラティム・ケラで遊ぶアリ君

GENKIプログラムは今後もチャリティーライト・シシュ・メラ学校を支援してまいります。

2.2023年1月の活動報告

1月はGENKIプログラム対象校のうち、79校の約7,400人に対し、17万食のユーグレナクッキーを配布しました。

GENKIプログラム累計配布実績。2023年1月は17.6万食配布しました

今後ともGENKIプログラムにご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。