壁画で、学校生活に彩りと学びを!
【2022年12月の活動報告】

今月のGENKIレポートでは、壁画を通してより良い学びの環境を生み出した、GENKIプログラムの提携校をご紹介します。

1. 壁画で、学校生活に彩りと学びを!

2022年の国勢調査によると、バングラデシュの首都ダッカには1,473万人が暮らしています※1。世界有数の高密度人口のダッカの中でも、特にスラムの人々は、狭い区域に密集して暮らしています。GENKIプログラムの対象校は、そのようなスラム街にあるため、子ども達に十分な空間を確保できていないことがほとんどです。また、校舎は一部にレンガやコンクリートを用いることはあるものの、廉価なトタン製でしのぐこともあり、造りは質素です。それでも子ども達の学ぶ場に少しでも彩りを加えて学びを育もうと、ある学校では「壁画」というアイディアを用いて工夫をしています。

※1 POPULATION & HOUSING CENSUS 2022 (http://bbs.portal.gov.bd/sites/default/files/files/bbs.portal.gov.bd/page/b343a8b4_956b_45ca_872f_4cf9b2f1a6e0/2022-07-28-14-31-b21f81d1c15171f1770c661020381666.pdf)(ベンガル語)

年末、多くの学校で、新年度を迎えるための清掃と模様替えが行われます。その中で、子ども達が最も心待ちにしているのが、校内の壁画の塗り替えです。単に色を変えるだけではなく、異なるテーマや種類の絵で、学校の雰囲気を生まれ変わらせるのです。GENKIプログラムの提携校である、ダッカのハ・ミーン学校(生徒数350人)は、壁画を通して、彩り豊かな教育環境を生み出した学校の1つです。学校内外のメンバーで構成される運営委員会は、学びの内容と結び付けたテーマで、8つの教室と屋外の壁画を塗り替えることにしました。必要な費用約92,000円のうち、3割を学校の運営資金から充て、7割は運営委員や地元企業の人たちに働きかけて、寄付を集めました。

塗装前の教室(左)と塗装作業中の教室(右)。壁画師が色を重ねる
塗装前の教室(左)と塗装作業中の教室(右)。壁画師が色を重ねる
壁画が完成した教室で、関連する教科書を見せてくれる子ども達
壁画が完成した教室で、関連する教科書を見せてくれる子ども達

壁画には、バングラデシュの地方の自然と触れ合う機会が少ないダッカの子ども達にと、自然の絵を多く取り入れるようにしました。バングラデシュでは、1年の季節がグリズマ(夏)、バルサ(雨季)、サラット(秋)、ヘマンタ(晩秋)、シット(冬)、バサンタ(春)と6つの季節に分かれます。また、同国には、丘陵地帯や川沿いの村など、さまざまな美しい景色があります。教科書の内容に結び付けながら、それぞれの教室に違った季節や景色を描きました。

学校の入口には、バングラデシュの6つの季節が描かれる
学校の入口には、バングラデシュの6つの季節が描かれる
教室ごとに、バングラデシュの異なる季節や風景が子ども達を迎える
教室ごとに、バングラデシュの異なる季節や風景が子ども達を迎える
教室ごとに、バングラデシュの異なる季節や風景が子ども達を迎える
教室ごとに、バングラデシュの異なる季節や風景が子ども達を迎える

校庭の通路には、ベンガルの偉人を描きました。
正義や平等、抑圧への抵抗をテーマに多くの作品を生み出した、ベンガル文学における最も偉大な詩人の一人、カジ・ノズルル・イスラムや、アジア人として初めてノーベル賞を受賞した詩人で、バングラデシュ国歌の作詞家でもあるラビンドラナート・タゴールなどが描かれています。同校の壁画には、他にも女性の社会活動家や、1971年の独立戦争で戦死したバングラデシュの7人の英雄など、歴史で学ぶ人物が次々と並びます。

校庭の通路に描かれたバングラデシュの偉人たち
校庭の通路に描かれたバングラデシュの偉人たち
タゴール(左)とナズルール(右)
タゴール(左)とナズルール(右)
1年生(左)、2年生(中央)、3年生(右)の教科書では、ノズルルとタゴールの詩や、人物像が紹介される
1年生(左)、2年生(中央)、3年生(右)の教科書では、ノズルルとタゴールの詩や、人物像が紹介される
ノズルルの詩を楽しむ子ども
ノズルルの詩を楽しむ子ども

子ども達が授業で学ぶ文学や歴史が、教科書だけではなく壁画を通しても伝わり、偉人たちに誇りと親しみを持てるようにとの思いでデザインされました。

壁画の前で、バングラデシュの偉人を見せてくれる子ども達
壁画の前で、バングラデシュの偉人を見せてくれる子ども達

同校の校長先生であるアラ・ウディン先生は、こう話してくれました。
「教科書の内容を教えるだけが教師の仕事ではないと考えています。子ども達の興味や学習スタイルがそれぞれ違うことを認め、少し肩の力を抜いて彼らとコミュニケーションすることも大切にしています。彩り豊かな教室で子ども達と楽しく過ごす時間もまた、彼らの新たな関心や意欲を引き出すきっかけになるのです。また、壁画があれば、教科書のイメージを膨らませることができ、学びが一層楽しくなります。子ども達には、教科書の内容だけではなく、壁に描かれたこれらの絵とともに、成長してほしいです。」

イサン・サニー君(4年生)は、「教科書に出てくる壁画に興味をもって絵描きになりたいと思ったんだ!」と話してくれました。
ファテマちゃん(4年生)は、
「ジャックフルーツはバングラデシュのフルーツの中で私の大好物です。夏にしか食べられませんが、壁の絵を見ていると嬉しくなります。教科書を読みながら壁画を使って、先生が色々な方法で一緒に遊んでくれるんです。だから学校の絵が大好きになりました。」

イサン・サニー君 
イサン・サニー君 
ファテマちゃん
ファテマちゃん

GENKIプログラムは、今後もハ・ミーン学校の子ども達を支援してまいります。

2. 2022年12月の活動報告

12月はGENKIプログラム対象校のうち、77校の約7,900人に対し、15万食のユーグレナクッキーを配布しました。1年間では、2022年度の配布目標240万食に対して、累計246.6万食を配布しました。
また、12月15日には、ユーグレナクッキー配布数が、2014年の開始以降、累計1,500万食を突破しました※1

※1 2022年12月19日リリース(https://www.euglena.jp/news/20221219-2/

ユーグレナクッキーの累計配布数

今後ともGENKIプログラムにご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。