コロナ禍で6人中5人の先生が解雇された学校
【2022年4月の活動報告②】

2022年4月の活動報告 その②です。①はこちらで公開しています。
スラムの暮らしを支える水【2022年4月の活動報告①】

2.コロナ禍で6人中5人の先生が解雇された学校

ユニセフの調査によると、バングラデシュでは、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックのため、休校等の措置が取られ、3,700万人の子どもたちが影響を受けています。※2
以前のレポートで紹介したように、約1年半にもわたる休校は、子どもたちの将来に大きな影響を及ぼし、また、財政難により閉校を余儀なくされた学校もあります。

※2 unicef
The future of 37 million children in Bangladesh is at risk with their education severely affected by the COVID-19 pandemic

GENKIプログラム対象校であるポルシ財団学校も、影響を受けた学校のうちの一つです。

同校は、貧困層の子どもたちに教育のサポートをしているポルシ財団によって運営されていて、2017年からGENKIプログラムの提携校となっています。

ダッカのミルプール地区に位置する同校では、パンデミック前は6人の先生が50人の子どもたちを教えていました。教室だけではなく、小さいながらも校庭がありました。また授業料は無償であったため、親は非常に助かっていました。

ところが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる影響で、同校の支援者が財政難に直面し、従来通りに学校を運営することが難しくなってきました。そのため、複数名の先生を解雇せざるを得なくなり、また、学校の賃料を払うことが難しくなったため、2021年9月に、別の場所に移転することになりました。以前学校があった場所から徒歩で約5分と近い場所ですが、状況は一変しています。

かつて6人の先生が在籍していましたが、現在はロジ先生がたった1人で45人の子どもたちを教えています。

賃料は、今まで月約23,000円でしたが、現在は月約4,400円と5分の1になり、質素な掘っ立て小屋1つになりました。この賃料のほかに、ロジ先生に月々約7,200円の給料を支払うのが精いっぱいの状況です。

以前の学校  
以前の学校  
現在の学校。隣は一般の住民宅
現在の学校。隣は一般の住民宅
現在の教室の中の様子。1部屋のみのため狭い。
現在の教室の中の様子。1部屋のみのため狭い。
現在の教室の中の様子。1部屋のみのため狭い。
現在の教室の中の様子。1部屋のみのため狭い。
現在の教室の中の様子。1部屋のみのため狭い。

移転先の学校は、教室も非常に狭く、照明も暗く、以前より環境が悪化しました。
雨が降ると、教室の入口は泥だらけになってしまいます。学校専用のトイレはなく、近隣の住民4世帯が使用する共同トイレを使っています。飲料水も学校では確保できないため、ロジ先生や子どもたちが自宅から持参した水を飲んでいます。

トイレは住民4世帯が所有しているが、子どもたちのために無償で貸してくれている。
トイレは住民4世帯が所有しているが、子どもたちのために無償で貸してくれている。

このように子どもたちは劣悪な環境の中で勉強しています。現在も学校の財政状況は厳しいため、本財団の創設者でもあるシャヒーナ校長先生とロジ先生は知恵を絞ってこの状況を改善しようとしています。

例えば、授業料は今までは無料でしたが、学年別に一人当たり約220円から290円を家族から納めてもらうようにしました。総額10,000円ほどの収入で、学校を運営しています。

教育費を家族から納めてもらうことで、新しい変化が起きました。親の教育への関心がより一層高まったのです。
以前は、不登校の子どもが多く、その度に先生は自宅に訪問し出席するよう促していました。しかし、現在は親が積極的に子どもたちを学校へと送り出し、先生とも頻繁にコミュニケーションを取るようになったのです。

ロジ先生は、「コロナ禍において、様々な問題が起こっていますが、その中で工夫をして、学校運営を維持しています。子どもたちが引き続きユーグレナクッキーを食べられるような環境を維持したいと思っています。」と語ってくれました。

ユーグレナクッキーを食べる子ども達
ユーグレナクッキーを食べる子ども達
ユーグレナクッキーを食べる子ども達
ユーグレナクッキーを食べる子ども達
教室の前に、子どもたちが集合

2.2022年4月の活動報告

4月はGENKIプログラム対象校106校のうち91校の約9,000人※3に対し、22万食のユーグレナクッキーを配布しました。

GENKIプログラムでのクッキーの配布数のグラフ。4月は22.4万食

※3 月間配布人数について、3月は約11,000人でしたが、4月はイスラム教最大の祝日であるイード期間に伴う学校の休暇の影響で約9,000人となりました。イード期間とは、日本のお盆のような長期祭日で、イスラム教の断食月の終わりを祝う大祭です。

引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。