2022年5月より、原料から日々の生活までサステナビリティにこだわったライフスタイルを提案する新ブランド『lavita ORGANICS(ラビタ オーガニクス)』が株式会社ユーグレナから誕生しました。原料調達から製造までの全ての工程でサステナビリティを追求したlavita ORGANICSの商品は全て、ユーグレナ社商品としては初めてのオーガニックコスメの国際基準であるCOSMOS(コスモス)・オーガニック認証を取得しています。

今回はlavita ORGANICSブランドマネージャーの阿波純之介が、ファーメンステーション社の酒井里奈さんにlavita ORGANICSにも使用されている原料「米もろみ粕」や、オーガニック認証取得についてお話を伺いました。

阿波:lavita ORGANICS(ラビタ オーガニクス)は、オーガニックであることを大切にしており、とても肌に優しい化粧品ではあるのですが、それだけではお客様には喜んでいただけないと考えています。ですので、しっかりとお肌に効く商品を開発できるかどうか、いう点がとても重要なポイントでした。lavita ORGANICSの商品は全てオーガニックコスメの国際基準であるCOSMOS・オーガニック認証を取得しておりますが、その基準に合致をして、かつ、お肌に効果的なエビデンスがある、そんな素材はないだろうかと探していました。
そしてやっと、ファーメンステーション社のお米のもろみ粕を原料としたエキスに辿り着くことができました。この素晴らしい原料について、ファーメンステーション社の酒井さんとじっくり語りたいと思っています。
早速ですが、米もろみ粕を化粧品の原料にしようと思ったきっかけについて教えてください。

酒井:はい。まず私たちは元々、岩手県奥州市でお米を発酵してアルコールを製造するための実証実験を3年間、ほぼ休まずに実施していました。その中で、アルコールと同時にできる米もろみ粕を、地域の産卵鶏のエサにしていたのですが、これを切らすことができなかったんですよね。

阿波:なるほど、鶏さんの毎日の食事を用意する必要があったと。

酒井:はい。3年間ずっとやっていく中で、米もろみ粕は鶏の餌として食いつきもいいし、卵も良い色になる。だけど、毎日米もろみ粕に触れていたうちの製造メンバーを見ていて、絶対に肌に塗る方がいいと感じていました。

阿波:やっぱりそういうことがあるんですね。

酒井:そうなんです。最初はですね、米もろみ粕で漬物を作れるのではと思い、実際に漬けてみたのですが、どう考えても肌にいいからと成分を調べたら、素人目から見ても化粧品の原料として良さそうなものが含まれていることがわかりました。
当時の私は市役所の実証実験の中で、その有用成分を証明する手段として何か作ろうということになり、米もろみ粕を多めに配合した洗顔石鹸を化粧品メーカーさんに作ってもらいました。これの評判が本当に良くて、700件を超える市民の皆さんのアンケートでは、性別年代問わず多くの方々にポジティブなご意見をいただきました。これをきっかけに詳しく調べてみたところ、機能性があることが判明したのが始まりです。

阿波:なるほど。よく日本酒の造り酒屋さんから化粧品を販売されるということがありますよね。それと同じ原理かと思いますが、それらとの違いはありますか。

酒井:聞いてくださりありがとうございます。いっぱいあります!一般的には、日本酒のキレとか、すっきりとした味わいといった美味しさを作るためには、お米を磨く、精米することが重要となります。どれだけ磨いたかというのも付加価値になりますし、白米の周りについているものは雑味になることが多いのです。しかし、化粧品としての栄養価を考えると、玄米を精米した時に出てきて使用されない糠の方にアミノ酸やビタミンが多く含まれています。
私達は日本酒を作っているわけではないので、お米は磨かず玄米のまま使っています。玄米ならば本来お米に含まれている栄養価が全部含まれていますので、日本酒を作った時にできる酒粕を使うよりも玄米のほうが栄養価が高いんです。
また、よく『米糠みたいなものですか』とも聞かれますが、米糠はお米の外側だけですので、玄米ならばお米の本体である白米に含まれる栄養価も発酵させることができます。化粧品の原料として良いものを最大化する原料があるというのが一つ目です。

阿波:なるほど。つまり、お米そのものをある意味丸ごと発酵させて作られているということですね。

酒井:そうですね。後はなんせ13年やっていますので、サンプルがたくさんあります。その中で色々と条件を変えたものの成分分析を散々繰り返していく中で、この米もろみ粕には可能性があると感じました。アミノ酸やセラミドといったお肌に有効な成分を調べるためにあらゆる条件を精査し、検証してきました。
例えば、最初の処理としてお米をどう砕いて発酵に持っていくかや、発酵するときに使う麹菌を何にするかなど、どの酵母を使うのかでも成分が変わるんです。こうしたさまざまな条件から、今ある原料とやり方で最終的には機能が決まります。

阿波:そこがまさにファーメンステーションさんのノウハウというか、発酵技術の一番の要の部分なんですね。

酒井:そうですね。あと、やはり米もろみ粕でもっとも評価されているのは保湿ですが、その効果を高めるための条件というのも作っています。それを延々とやってきている点が私達の強みなのかなと思います。

阿波:特定の条件を仮定して、そして抽出して分析して、これを何度も何度も繰り返して、徐々により良い成分が出てくるという作り方を繰り返されてきたということですね。

酒井:はい。麹一つとっても、麹はお米をどう分解するかということも大事なんですが、同時に米もろみ粕には、玄米からアルコールを抽出した後の栄養素が全部残っています。要は、玄米と麹と酵母がミックスされたものからアルコール分だけを抜いた栄養素、全てが残っていて、麹や酵母の菌体そのものも含まれているんです。
ここに私達が使っている麹がありますが、すごくふわふわなんです。麹を普段見たことない方にはちょっとわかりにくいと思うのですが、一般的なものと比べても全く違います。

阿波:これはお米に麹菌がついている状態ですか。

酒井:そうです。ベースが玄米の米麹です。普通の麹は磨いている白米に生やすことが多いです。玄米に麹を生やしたふわふわなのが菌体です。

阿波:これが玄米に付着している状態ということですね。

酒井:そうですね。そしてこちらが私達の米もろみ粕のパウダーです。米もろみ粕を乾燥させた状態のものですが、お米に水、麹、酵母を入れて発酵、アルコールを取った後のものをパウダーにしています。これを成分分析したとき、①遊離アミノ酸が多く含まれている、②セラミドがある、③効果効能として、潤い保持効果や整肌作用など年齢肌におすすめの効能がズラリと出てきました。
例えば酒粕と比べても、米もろみ粕の方がアミノ酸が多かったり、先ほどもお話ししたとおり色々なものをミックスしていることで機能性が高くなるんです。

阿波:玄米が元になってるということがすごく重要なポイントなんですね。それゆえにお米が持っている全ての力を無駄にせず、化粧品原料にまで加工されているということがよくわかりました。lavita ORGANICSの商品は、ファーメンステーションさんがこのようにして作られたエキスを全ての商品に配合し、『きちんと効く化粧品』を目指して進化しています。
もう一つお伺いしたいのですが、lavita ORGANICSはオーガニックにこだわっていることもあり、しっかりオーガニック認証を取得していく必要があります。ですので、原料元のファーメンステーションさんについてもオーガニックであることがとても重要ですけども、そのあたりについて、お話お伺いできますか。

酒井:はい、ありがとうございます。今回の原料はCOSMOS・オーガニック認証を取得していますが、すごく大変でした。
まず、米もろみ粕エキスについて説明しますと、前提として原料のお米がオーガニックである必要があります。私達のお米は専用の田んぼで農家さんに作っていただいていますが、JAS有機の認証は農家さんに依頼して指定の田んぼで認証をとります。しかし認証を取得するのには何年もかかりました。ます最初に過去3年間無農薬の農地であることを証明する必要がありますし、その後も、どういうプロセスで栽培されたお米なのかなどを完全に記録する必要があります。その管理も大変なので、ファーメンステーションのお米の生産に詳しい岩手出身のメンバーと農家さんで協力して一緒になって認証を取得しました。

阿波:なるほど、お米は農産物なので、日本のJASの認証になるんですね。それはそれでものすごく厳しい審査があったのではないかと思いますが、それを一つ一つクリアされたと。

酒井:そういうことですね。第一ステップは、まずJAS有機の認証を取得することです。その次のステップに、私達の工場としてCOSMOS・オーガニック認証を取得しました。そのためにも原料生産のプロセスの管理や、使用する洗剤と洗浄方法、環境負荷の低いパッケージの使用、動物実験の禁止、遺伝子組み換え原料の不使用など様々な条件を徹底しています。
私達の原料生産のプロセスは非常にシンプルなので、使うものといえば、米、麹、酵母、水ですが、水質チェックをしているかはもちろん、酵母にいたっては培養するための培地に遺伝子組み換えを使用していないかですとか、仕入先、生産方法なども全て明確にする必要があります。

阿波:すごく厳しいですね。

酒井:厳しいです。普通の培地を使用すると要件を満たすのは不可能だったので、私達はお米の甘酒を使って酵母を培養しています。

阿波:甘酒が培地になっているということですか。超贅沢な培地ですね。

酒井:そうです、飲んでも問題ないものです。これにより、COSMOS・オーガニック認証が取得できました。

阿波:ご説明ありがとうございます。本当に素晴らしい原料だということがよくわかりました。

『lavita ORGANICS(ラビタ オーガニクス)』は、これからの時代を生きる人々の健康や美しさ、生活、環境の調和を考えた、ライフタイムブランドです。これからも全ラインアップでアップサイクル原料やフェアトレードに基づいた原料を積極的に取り入れることで、環境問題に配慮し、心身ともに前向きに整えてくれるものづくりを目指していきます。

酒井里奈(さかい りな)
株式会社ファーメンステーション 代表取締役

国際基督教大学卒業後、都市銀行、外資系証券会社などに勤務。
発酵技術に興味を持ち、東京農業大学応用生物科学部醸造科学科に入学。
2009年3月卒業。同年、株式会社ファーメンステーション設立。
未利用資源に新たな価値を見出し、これらが再生・循環する社会の構築を目指す。
好きな微生物は麹菌。好きな発酵飲料はビール。
https://fermenstation.co.jp/
阿波純之介(あわ じゅんのすけ)
株式会社ユーグレナ D2C部 部長 lavita ORGANICSブランドマネージャー

東海大学卒業後、日本メナード化粧品㈱を経て、㈱協和(食品卸)に入社。
新規事業部で健康食品の通信販売事業を立ち上げ、美容ドリンク「フラコラ500」(低分子コラーゲンペプチド、大豆イソフラボンが主成分)がヒット、
コラーゲンブームの草分けに。
美容領域で「fracora」ブランドを展開し、プラセンタ素材を活用したサプリメントと原液美容液を上市し年商180億円まで拡大、商品開発と通販事業全般に精通。
2005年執行役員 2012年常務執行役員の任にあたる。
2015年12月よりユーグレナに参画。