希望をつなぐ学び舎-卒業生の恩返し
【2026年1-3月の活動報告】

今回のレポートでは、GENKIプログラム提携校でNLJ校の学校環境改善のストーリーをご紹介します。

1.母校を救った卒業生たちの挑戦

 NLJ校は、モハマドプールのGENEVA Campというスラム街の中心に位置しています。この学校で学ぶ子どもたちは、狭い部屋で暮らし、トイレを他の家族と共同で使い、清潔な水の利用も限られた環境下で生活をしています。そうした子どもたちにとって、このNLJ校は単なる学びの場ではなく、より安全で衛生的に過ごすことができる非常に大切な場所となっています。そのため、NLJ校は子どもたちだけでなく、地域社会や家族にとっても非常に重要な役割を担っています。

 しかしながら長年にわたり、学校は多くの課題に直面してきました。特に2019年から2023年までの約4年間は、学校運営に必要な資金が限られていたにもかかわらず、生徒数は年々増え続けていきました。その結果、教室は窮屈になり、快適に学習できない環境になっていきました。
 さらに、机などの家具は老朽化し、修理も十分に行われない状況が続いていました。加えて、教員への給与支払いも滞るようになり、こうした状況は教員の働く意欲にも影響を与えました。やがて通学を控える子どもも増え、保護者の間には「この学校は将来的に閉鎖されてしまうのではないか」という不安が広がっていきました。

教室で勉強する子どもたち(2022年時点)

 NLJ校は、1974年から長年、地域社会を支えてきました。2014年にはGENKIプログラムが導入され、ユーグレナクッキーが子どもたちに提供されるようになりました。多くの家庭では、子どもたちに十分な栄養のある食事を継続的に用意することが難しいため、栄養改善だけでなく、子どもたちの通学を後押しするという副次的な役割も果たしてきました。

 しかしながら、その後も学校が抱える運営上の課題は解消されることなく、むしろ徐々に悪化していきました。2023年初頭には閉校の危機が現実的なものとなり、学校の将来は不透明な状況に置かれてしまいました。

ユーグレナクッキーを食べる子どもたち

 そんなとき、NLJ校の卒業生たちが、母校が閉校の危機に直面している状況を知りました。彼らは幼少期にNLJ校で学び、学校が自分たちにとってどれほど大切な存在だったかをよく理解しています。もし学校が閉鎖されれば、この地域で暮らす何百人もの子どもたちが学ぶ場を失ってしまう・・・。その強い危機感が彼らを突き動かしました。そして2024年2月、10名のNLJ校の卒業生がボランティアグループ「DREAM」を結成します。彼らのグループ設立の目的は、学びの場を必要としている子どもたちのためにNLJ校を守り、その運営を将来にわたって継続させることでした。

DREAMのメンバー

 DREAMのメンバーは、迅速に行動を起こしました。まずは教室の修繕に取り組みました。具体的には、照明や扇風機を設置することで、それまで薄暗く蒸し暑かった教室環境を改善し、子どもたちがより明るく快適な環境で学べるようにしました。また安心安全な飲料水も子どもたちに支給をし、定期的な清掃を実施することで、学校内の衛生環境を大きく向上させました。さらに、子どもたちのデジタルスキル向上を目的にコンピューター5台を学校内に導入しました。子どもたちはコンピューターを活用し、基礎的なITスキルを身につけています。こうした環境の改善に対して、保護者たちは大変喜びました。

安全な水を飲んでいる生徒
定期的な清掃の様子
コンピューターの授業を受ける子どもたち

 DREAMのメンバーは、教員への支援にも取り組みました。教員に対する給与が毎月確実に支払われるよう体制を整えるとともに、給与水準の引き上げも行い、教員の定着を図りました。さらに、増加する生徒数に対応するため、新たな教員の採用も進めました。また、子どもたちに対しては新しいスクールバッグや制服を提供し、学習意欲向上につなげました。

新しいスクールバッグを受け取る子どもたち
新しい制服を受け取る生徒

 NLJ校の学校長であるモハマド・アクタルッザマン氏は、次のように語っています。「かつては、学校が閉鎖されてしまうのではないかという不安を抱いていました。この地域の子どもたちには、ここ以外に学ぶ場所がありません。そんな中で、学校が再び立ち直っていく姿を見て、私たちはもう一度、希望を持てるようになりました。」

学校長のモハマド・アクタルッザマン氏

 子どもたちも、こうした学校環境の変化を実感しています。8年生の生徒は、「以前は教室が暗く、整理もされていなかったので学校に来るのが嫌でした。でも今は教室がきれいで明るくなり、毎日学校に通うのが楽しみです」と笑顔で話しています。

授業の様子

 保護者からも同様に、学校環境の改善を実感する声が寄せられています。小さな部屋で家族と暮らすある母親は、「家はとても狭く、トイレも共用のため清潔な状態を保つのが難しい環境です。それでも、学校は今、きちんと整えられていて安全に過ごせる場所になり、娘がより健康的な環境で時間を過ごせていると思うと、安心できます」と語っています。

保護者の月例会

 これらの改善により、子どもたちの出席状況は大きく改善しました。2024年12月までで、在籍する子どもたちの数は約252人から約490人に増加しました。これは、DREAMチームが学校運営を支え始めてから約9か月で達成された成果です。学校の学習環境はより整ったものとなり、保護者からの信頼も回復しました。

 学校の支援者も、次のように述べています。「この学校は、地域の子どもたちにとって欠かすことのできない学びの場です。元生徒たちによる学校の学習環境改善の取り組みは、人々が自らのルーツを大切にしたときにどのような変化を生み出せるのかを示しています。こうした取り組みは非常に意義があり、今後も支援していく価値があると感じています。」

子どもたちの学習の様子

 現在、NLJ校は再び安定した運営体制を取り戻し、学習環境の改善を続けながら、以前よりも多くの子どもたちに教育の機会を提供しています。この学校は、地域に根ざした取り組みを通じて、子どもたちの学びと将来を支えることで、多くの人の未来をより良い方向へと変えていけることを示す象徴となっています。

2.2026年1-3月の活動報告

 1-3月の3か月間は、GENKIプログラム対象校87校のうち、1日平均約9,000人に対し、合計49.5万食のユーグレナクッキーを配布しました。