euglena Project

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ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。

日本企業初の国連世界食糧計画(WFP)との事業連携

2018.04

継続中

日本企業初となる国連世界食糧計画(WFP)との
連携までの道のり

2018年4月。
世界的な国際機関である国連世界食糧計画 (以下、WFP)から、ユーグレナ社に事業連携の話があった。
「御社はバングラデシュでソーシャルビジネスを何年も展開しているだけでなく、ロヒンギャ難民※1支援を行った実績があります。私たちと事業連携しませんか?」

※1:バングラデシュ南東部コックスバザールにはミャンマーから避難民の大規模流入が発生。約 100 万人が避難生活をしている。

バングラデシュで緑豆プロジェクトGENKIプログラムを行う海外事業開発部のメンバーたちが、現地の農家やロヒンギャ難民たちの生活向上に貢献しようとプロジェクトを推進するなかで、WFPがユーグレナ社とグラミンユーグレナ※2の活動を認めてくれたというのだ。

※2:ユーグレナ社とムハマド・ユヌス博士率いるグラミンクリシ財団が運営する合弁会社

海外事業開発部を担当する執行役員の佐竹は、興奮を隠しきれない様子でチームメンバーの江花と末木にこう言った。
「江花さん、末木さん。これはバングラデシュの農家のみならず、ロヒンギャ難民の食料問題を解決するという社会的意義があることです。WFPとの事業連携締結に向けて動いてほしい」

「もちろんです!」

これが実現すれば、WFPが日本の民間企業と事業連携するのは初になるという。
江花と末木は、想像よりも大きな仕事を目の前にして不安に襲われたが、次第に期待がそれを上回っていった。

2017年12月 バングラデシュ政府とダッカ大学の学生の支援のもと、
ロヒンギャ難民キャンプで栄養価の高い特製ユーグレナ入りのクッキーを約25万食配布した
(左:出雲、右:佐竹)

事業連携に向けて動き出す

日本では、海外事業開発部で緑豆プロジェクトやGENKIプログラムの運営を担当する末木がすぐさま動き出した。
ユーグレナ社として、協業したら何ができて、どのくらいの予算が必要になるのか…海外事業開発部の佐竹らのアドバイスを受けながら粛々と洗い出していく。

これまでも契約締結に関する業務を担当したことはあったが、WFPの規模は段違いだ。
ローマ本部、バングラデシュカントリーオフィス、日本…予算、契約、プロジェクト内容など、それぞれの役割を担当する人物が世界各地に散らばっており、組織の複雑さに圧倒された。
物事がどこまで進んでいるのか状況がなかなか掴めない。

「うるさいと思われるかもしれないけど、ユーグレナ社からいろいろ言うのは末木だと覚えてもらえるくらい連絡しよう」
毎日複数の担当者に密にコンタクトを取り、どんなことがあっても自分から情報を取りに行く姿勢を貫いた。
この契約を結ぶことで、ロヒンギャ難民の方たちの役に立てると思うと止まってはいられなかった。

また、WFPの担当者をバングラデシュ現地に招き、実際に緑豆を栽培するポトアカリまで案内して緑豆プロジェクトの事業内容が伝わるように工夫した。

そして、ついに2019年2月。
日本企業として初めて、ユーグレナ社がWFPの事業連携のパートナーとして契約を締結した。

今回の事業連携により、ユーグレナ社とグラミンユーグレナは WFP とともに、バングラデシュの小規模農家に対する緑豆の栽培技術移転、およびロヒンギャ難民に対する Eバウチャーを活用した食料支援を行う予定だ。なお、ユーグレナ社は、WFP バングラデシュより 2 年間に渡って合計 200 万 US ドル(約 2.2 億円)の活動資金を受領する見込みとなった。

バングラデシュでのWFPと事業連携締結の調印式にて(左:出雲、右:佐竹)

ロヒンギャ難民キャンプで、
緑豆のテスト販売を開始

一方、時をさかのぼり2018年11月。
緑豆プロジェクトを現地でマネジメントする江花は、バングラデシュにいた。
末木がWFP側との交渉していくのと同時並行で、現地を動かしていくのが江花の仕事だ。

WFPとの締結予定はうまくいけば2019年2月頃になると聞いていたが、緑豆の作付け(種まき)も2月開始。
WFPの事業連携で緑豆栽培をする農家を新しく集めるには、このタイミングで農家たちに声をかけ始めなければならなかった。

「私たちが緑豆栽培の技術を共有します。皆さんが作った緑豆はグラミンユーグレナが確実に買い取りますので、一緒に緑豆をつくってくれませんか?」

現地の農業省(DAE)からの協力も得ながら、村で農家ミーティングを開催することで地道に農家を集り、2019年2月の事業連携締結時にはなんとか2,000人の農家と契約を締結できた。

しかし、江花にはさらに解決しなければならない問題があった。
生産した緑豆をロヒンギャ難民に提供するルートを準備しなくてはならないということだ。

この事業連携では、緑豆を実際にロヒンギャ難民に届けるのは、WFPから難民キャンプ内でショップ(eバウチャーショップ)の運営を任されている6社の現地トレーダーの役目だ。しかし、2月の契約締結時点ではまだ1社もトレーダーの連絡先を知らなかった。
この案件が上がった当初から何度も何度もWFPと交渉し、トレーダーの連絡先を聞けたのが2019年5月上旬。それは、作付けした緑豆をグラミンユーグレナが農家たちから購入しているタイミングだった。

そこから1週間で、江花ら海外事業開発部とグラミンユーグレナの仲間たちは一丸となってトレーダーとの交渉に動いた。
バングラデシュに点在する全てのトレーダー本社を訪れ、緑豆販売の連携モデルについて商談。同時に、各トレーダーが、どの難民キャンプでショップを運営していて、現在なにをどのくらいの数量売っているのか、緑豆の売込みに必要な情報を一つひとつ手探りで確認した。

そして、ついに2019年7月、ロヒンギャ難民キャンプで緑豆のテスト販売を開始。
この緑豆はもちろん、バングラデシュの契約農家たちに栽培指導を行い、現地で栽培した緑豆だ。

ロヒンギャ難民キャンプにて緑豆を販売している様子
販売するのは、調理しやすいように薄皮を剥いた緑豆(緑豆の薄皮を剥くと中身は黄色)

現在もミャンマーと国境を接するバングラデシュの南東部コックスバザールには、ミャンマーから避難民であるロヒンギャ難民の大規模流入が発生し続けており、約 100 万人が避難生活を続けている。

テスト販売を開始した際、ロヒンギャ難民の方がこう言ってくれたという。
「ここに避難する前のときのように、緑豆を食べられて嬉しい」

末木と江花は話す。
「この事業連携は単なる社会貢献活動では無く、WFP・ユーグレナ社・現地のトレーダーといったステークホルダーのそれぞれが隣人として本来やるべきことをやるためのチーム。ロヒンギャ難民問題の根本的な解決がいつになるか不明瞭な現状、この事業連携を通して持続的なモデルを作って行きたい」

今日も世界がよりよい未来になるように、海外事業開発部のメンバーは動き続けている。

■緑豆プロジェクト詳細はこちら
https://www.euglena.jp/businessrd/socialbusiness/grameen/

2019年9月掲出

euglena Data

~WFPとの事業連携のモデル~

登場人物

海外事業開発部 海外事業開発課
チームリーダー
末木 綾

2016年8月、中途入社。緑豆プロジェクトとGENKIプログラムの運営に従事。

「WFPとの事業連携を通じ、ロヒンギャ難民の方々の生活が改善する一助になれたら嬉しいです。持続的な事業を推進することで、ロヒンギャ難民の子どもたちが教育を受け、将来自立した生活が送れることを目指して、今後も活動していきます」

海外事業開発部 海外事業開発課
チームリーダー
江花 智康

2014年9月、中途入社。主にグラミンユーグレナとの農業ソーシャルビジネス事業に従事し、現地での業務も担当。

「この事業連携は単なる社会貢献活動では無く、WFP・ユーグレナ社・現地のトレーダーといったステークホルダーのそれぞれが隣人として本来やるべきことをやるためのチーム。ロヒンギャ難民問題の根本的な解決がいつになるか不明瞭な現状、この事業連携を通して持続的なモデルを作って行きたいです」

euglena Projects

vol.00

バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。

vol.01

誰もなし得ていない、ユーグレナの
屋外大量培養技術を確立せよ。

vol.02

ユーグレナを
300億円市場に育て上げよ。

vol.03

バングラデシュの
全ての小学校に給食を。

vol.04

煙突から排出されるCO2
ユーグレナを培養せよ。

vol.05

ユーグレナの化粧品事業を
立ち上げよ。

vol.06

日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。

vol.07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

vol.08

中国にユーグレナを
普及せよ。

vol.09

スーパーユーグレナを
獲得せよ。

vol.10

バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。

vol.11

ユーグレナでタケダと
新商品を開発せよ。

vol.12

下水処理場の下水を活用し、
ユーグレナを培養せよ。

vol.13

ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。

vol.14

日本独自の技術で、
ユーグレナを培養せよ。

vol.15

仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。

vol.16

ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。

vol.17

ユーグレナで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。

vol.18

ユーグレナの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ

vol.19

ユーグレナのカフェを
石垣島で開店せよ。

vol.20

ユーグレナを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

vol.21

ユーグレナ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。

vol.22

ユーグレナを使った
バイオ燃料を生産せよ。

vol.23

研究系ベンチャーを
ヒト、モノ、カネで支える
新しいファンドを確立せよ。

©2018 MELTIN MMI

vol.24

ユーグレナとクロレラで世界初の
ASC-MSC藻類認証を取得せよ。

vol.25

グループ企業との
シナジーを構築せよ。

vol.26

新しい仲間と、
遺伝子レベルで人を健康にせよ。

vol.27

自由が丘と
ユーグレナを普及せよ。

vol.28

ユーグレナサプリメントの
加工工場を立ち上げよ。

vol.29

理科のチカラで石垣島の
地域活性に貢献せよ。

vol.30

新しいユーグレナの
基幹化粧品を開発せよ。

vol.31

ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。

vol.32

ユーグレナ由来の美容成分を
研究解明せよ。

vol.33

学生のチャレンジを応援!
通年採用を開始せよ。

vol.34

ユーグレナとクロレラで
ハラール認証を取得せよ。

vol.35

健康寿命を伸ばすユーグレナの
可能性を発見せよ。

vol.36

竹富島のクルマエビ養殖事業を
発展させよ。

vol.37

「G20軽井沢」にてユーグレナバイオディーゼル燃料で自動車を走らせよ。

vol.38

石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。

vol.39

CFO(最高未来責任者)を募集・選考せよ。

vol.40

国産カラハリスイカを
栽培せよ。

vol.41

日本初となる「バーチャルオンリー
株主総会」を開催せよ。

vol.42

次世代バイオディーゼル燃料を
普及させよ。

vol.43

コーポレート・
アイデンティティを刷新せよ。

vol.44

石垣島生まれの
ユーグレナを浸透させよ。

vol.45

ユーグレナ由来の
肥料研究を加速させよ。

vol.46

日本の空をバイオ燃料で
クリーンにせよ。

vol.47

オフィス環境を改善し、
仲間の生産性を向上させよ。

vol.48

化粧品における
サステナビリティを追求せよ

vol.49

次の新素材「ミドリ麹」の
価値を世に拡げよ。

vol.50

ユーグレナの
ESG経営を加速させよ

vol.51

未来世代アドバイザリーボードを
設置せよ。