vol.31 ロヒンギャ難民の食料問題解決に貢献せよ。

euglena Project

31

ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。

日本企業初の国連世界食糧計画(WFP)との事業連携

2018.04

継続中

日本企業初となる国連世界食糧計画(WFP)との
連携までの道のり

2018年4月。
世界的な国際機関である国連世界食糧計画 (以下、WFP)から、ユーグレナ社に事業連携の話があった。
「御社はバングラデシュでソーシャルビジネスを何年も展開しているだけでなく、ロヒンギャ難民※1支援を行った実績があります。私たちと事業連携しませんか?」

※1:バングラデシュ南東部コックスバザールにはミャンマーから避難民の大規模流入が発生。約 100 万人が避難生活をしている。

バングラデシュで緑豆プロジェクトGENKIプログラムを行う海外事業開発部のメンバーたちが、現地の農家やロヒンギャ難民たちの生活向上に貢献しようとプロジェクトを推進するなかで、WFPがユーグレナ社とグラミンユーグレナ※2の活動を認めてくれたというのだ。

※2:ユーグレナ社とムハマド・ユヌス博士率いるグラミンクリシ財団が運営する合弁会社

海外事業開発部を担当する執行役員の佐竹は、興奮を隠しきれない様子でチームメンバーの江花と末木にこう言った。
「江花さん、末木さん。これはバングラデシュの農家のみならず、ロヒンギャ難民の食料問題を解決するという社会的意義があることです。WFPとの事業連携締結に向けて動いてほしい」

「もちろんです!」

これが実現すれば、WFPが日本の民間企業と事業連携するのは初になるという。
江花と末木は、想像よりも大きな仕事を目の前にして不安に襲われたが、次第に期待がそれを上回っていった。

2017年12月 バングラデシュ政府とダッカ大学の学生の支援のもと、
ロヒンギャ難民キャンプで栄養価の高い特製ユーグレナ入りのクッキーを約25万食配布した
(左:出雲、右:佐竹)

事業連携に向けて動き出す

日本では、海外事業開発部で緑豆プロジェクトやGENKIプログラムの運営を担当する末木がすぐさま動き出した。
ユーグレナ社として、協業したら何ができて、どのくらいの予算が必要になるのか…海外事業開発部の佐竹らのアドバイスを受けながら粛々と洗い出していく。

これまでも契約締結に関する業務を担当したことはあったが、WFPの規模は段違いだ。
ローマ本部、バングラデシュカントリーオフィス、日本…予算、契約、プロジェクト内容など、それぞれの役割を担当する人物が世界各地に散らばっており、組織の複雑さに圧倒された。
物事がどこまで進んでいるのか状況がなかなか掴めない。

「うるさいと思われるかもしれないけど、ユーグレナ社からいろいろ言うのは末木だと覚えてもらえるくらい連絡しよう」
毎日複数の担当者に密にコンタクトを取り、どんなことがあっても自分から情報を取りに行く姿勢を貫いた。
この契約を結ぶことで、ロヒンギャ難民の方たちの役に立てると思うと止まってはいられなかった。

また、WFPの担当者をバングラデシュ現地に招き、実際に緑豆を栽培するポトアカリまで案内して緑豆プロジェクトの事業内容が伝わるように工夫した。

そして、ついに2019年2月。
日本企業として初めて、ユーグレナ社がWFPの事業連携のパートナーとして契約を締結した。

今回の事業連携により、ユーグレナ社とグラミンユーグレナは WFP とともに、バングラデシュの小規模農家に対する緑豆の栽培技術移転、およびロヒンギャ難民に対する Eバウチャーを活用した食料支援を行う予定だ。なお、ユーグレナ社は、WFP バングラデシュより 2 年間に渡って合計 200 万 US ドル(約 2.2 億円)の活動資金を受領する見込みとなった。

バングラデシュでのWFPと事業連携締結の調印式にて(左:出雲、右:佐竹)

ロヒンギャ難民キャンプで、
緑豆のテスト販売を開始

一方、時をさかのぼり2018年11月。
緑豆プロジェクトを現地でマネジメントする江花は、バングラデシュにいた。
末木がWFP側との交渉していくのと同時並行で、現地を動かしていくのが江花の仕事だ。

WFPとの締結予定はうまくいけば2019年2月頃になると聞いていたが、緑豆の作付け(種まき)も2月開始。
WFPの事業連携で緑豆栽培をする農家を新しく集めるには、このタイミングで農家たちに声をかけ始めなければならなかった。

「私たちが緑豆栽培の技術を共有します。皆さんが作った緑豆はグラミンユーグレナが確実に買い取りますので、一緒に緑豆をつくってくれませんか?」

現地の農業省(DAE)からの協力も得ながら、村で農家ミーティングを開催することで地道に農家を集り、2019年2月の事業連携締結時にはなんとか2,000人の農家と契約を締結できた。

しかし、江花にはさらに解決しなければならない問題があった。
生産した緑豆をロヒンギャ難民に提供するルートを準備しなくてはならないということだ。

この事業連携では、緑豆を実際にロヒンギャ難民に届けるのは、WFPから難民キャンプ内でショップ(eバウチャーショップ)の運営を任されている6社の現地トレーダーの役目だ。しかし、2月の契約締結時点ではまだ1社もトレーダーの連絡先を知らなかった。
この案件が上がった当初から何度も何度もWFPと交渉し、トレーダーの連絡先を聞けたのが2019年5月上旬。それは、作付けした緑豆をグラミンユーグレナが農家たちから購入しているタイミングだった。

そこから1週間で、江花ら海外事業開発部とグラミンユーグレナの仲間たちは一丸となってトレーダーとの交渉に動いた。
バングラデシュに点在する全てのトレーダー本社を訪れ、緑豆販売の連携モデルについて商談。同時に、各トレーダーが、どの難民キャンプでショップを運営していて、現在なにをどのくらいの数量売っているのか、緑豆の売込みに必要な情報を一つひとつ手探りで確認した。

そして、ついに2019年7月、ロヒンギャ難民キャンプで緑豆のテスト販売を開始。
この緑豆はもちろん、バングラデシュの契約農家たちに栽培指導を行い、現地で栽培した緑豆だ。

ロヒンギャ難民キャンプにて緑豆を販売している様子
販売するのは、調理しやすいように薄皮を剥いた緑豆(緑豆の薄皮を剥くと中身は黄色)

現在もミャンマーと国境を接するバングラデシュの南東部コックスバザールには、ミャンマーから避難民であるロヒンギャ難民の大規模流入が発生し続けており、約 100 万人が避難生活を続けている。

テスト販売を開始した際、ロヒンギャ難民の方がこう言ってくれたという。
「ここに避難する前のときのように、緑豆を食べられて嬉しい」

末木と江花は話す。
「この事業連携は単なる社会貢献活動では無く、WFP・ユーグレナ社・現地のトレーダーといったステークホルダーのそれぞれが隣人として本来やるべきことをやるためのチーム。ロヒンギャ難民問題の根本的な解決がいつになるか不明瞭な現状、この事業連携を通して持続的なモデルを作って行きたい」

今日も世界がよりよい未来になるように、海外事業開発部のメンバーは動き続けている。

■緑豆プロジェクト詳細はこちら
https://www.euglena.jp/business/grameen/

2019年9月掲出

euglena Data

~WFPとの事業連携のモデル~

登場人物

海外事業開発部 海外事業開発課
チームリーダー
末木 綾

2016年8月、中途入社。緑豆プロジェクトとGENKIプログラムの運営に従事。

「WFPとの事業連携を通じ、ロヒンギャ難民の方々の生活が改善する一助になれたら嬉しいです。持続的な事業を推進することで、ロヒンギャ難民の子どもたちが教育を受け、将来自立した生活が送れることを目指して、今後も活動していきます」

海外事業開発部 海外事業開発課
チームリーダー
江花 智康

2014年9月、中途入社。主にグラミンユーグレナとの農業ソーシャルビジネス事業に従事し、現地での業務も担当。

「この事業連携は単なる社会貢献活動では無く、WFP・ユーグレナ社・現地のトレーダーといったステークホルダーのそれぞれが隣人として本来やるべきことをやるためのチーム。ロヒンギャ難民問題の根本的な解決がいつになるか不明瞭な現状、この事業連携を通して持続的なモデルを作って行きたいです」

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