基礎研究に没頭した学生&研究員時代を経て、応用的な研究を求めて転職へ

大学院博士課程まで進学し、卒業後は研究室と公的研究機関で研究を行っていました。研究のテーマはモデル生物の行動・学習を遺伝学的に解析するというもので、生物が学習し、経験をもとに環境に応答するための分子レベルの仕組みを明らかにすること。なお、基礎研究をやっていると、「この研究は何の役に立つのか」と聞かれることがしばしばあります。それに対して、役に立つ分野を探す方、役に立たない知識を追求するのが理学だとする方などさまざまですが、私が当時やっていた研究もまさに役に立つことのないといわれるような研究でした。

楽しければいい、と続けていた研究でしたが、大学院で所属していた研究室を出ていざ自由に研究できる環境になると、その研究を続ける意義に疑問を持つようになりました。そして何か社会に直接的に影響を与えられる仕事、例えば製品の開発につながるような仕事がしたいと次第に考えるようになり、民間企業での研究開発職を探し始め、民間企業の中で研究としても一番興味があったユーグレナ社に入社を決めました。

めざせ、ユーグレナの品種改良

入社してからずっと注力して取り組んでいるのは、優れたユーグレナ(和名:ミドリムシ)株の選抜・作製です。ユーグレナは100種類以上いるとされていますが、その中で産業利用されているのは当社でも使っている「ユーグレナグラシリス(Euglena gracilis)」(以下グラシリス)だけ。より優れたユーグレナ株を見つける方法として、以下3つを行います。

  1. グラシリス以外の種で産業利用できる種を探す
  2. グラシリスに分類されるものの中でより産業利用に適したものを自然の池から探す
  3. 現在使われているグラシリスを品種改良してより優れた株にする

なかでも私のこれまでの遺伝学研究の経験を一番生かせるのが、3の品種改良です。
ユーグレナはこれまで何十年もの間、光合成などの研究においてモデル生物として利用されてきましたが、品種改良に関する情報はほとんどない生物でした。ユーグレナのような単細胞生物は、遺伝子をランダムに破壊した集団を作製し、その中から目的にあった性質の細胞を選び出して、株として樹立していくことで品種改良をしていきます。しかし、ユーグレナはこの一般的なやり方ではなかなか品種改良に成功してきませんでした。

私が入社したときから、当社ではユーグレナの品種改良方法として、重イオンビームをユーグレナに照射して遺伝子を破壊するという方法が試されていました。使う機械は特殊かつ大規模なもので、「ユーグレナの遺伝子を破壊するだけのために大げさな」と思っていましたが、この装置を使うと理論的に考えられる以上の効果が得られることがわかってきました。これにさまざまな細胞の選抜方法と組み合わせることで、多数の品種改良株が作製できています。

ユーグレナが入った試験管を手にする山田、毎日の研究風景だ

研究のその先に

研究をするなかで、私たちの研究はいろんな方々が行っているユーグレナに関する研究に支えられているなと日々感じています。特にユーグレナが持っている遺伝子について報告される研究成果は、将来的に重要な情報となります。
ユーグレナについてはまだまだわかっていないことも多く、品種改良をする上での謎である「なぜ他の生物より遺伝子破壊の影響が出にくいのか」を含め、基礎的な研究が必要な部分も多いです。このように、ユーグレナは生物としてすごく変わっていて、他の生物での常識が通用しないことも多々ありそれが取り扱いの難しさにもつながっています。しかし同時に、ユーグレナの研究には特別感が感じられ、愛着が湧く元にもなっているなと感じています。

なお、ユーグレナ社での研究は、その先に商品開発を通じて社会に影響を与えることができるので基礎研究も楽しく取り組むことができています。今後も研究フェーズ以後の事業展開を見据えて、急がばまわれの精神で研究をしっかりと計画し、進めておきたいと考えています。

プライベートとユーグレナ社

入社して4年半が経ち、プライベートでもいろいろと変化がありました。最も大きなイベントは娘が去年生まれたことです。ユーグレナ社では家族で参加できるイベントが開催されることも多いので、仲間にお披露目できる日をいつも楽しみにしています!

愛娘との憩いのひととき


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