euglena Project

12

下水処理場の
下水を活用し、
ユーグレナを培養せよ。

国土交通省B-DASHプロジェクトの挑戦

2015.04 – 2017.03

完了

米国帰国後に任された
下水処理場でのユーグレナ培養

2015年10月、鈴木秀幸が米国でのバイオ燃料向けユーグレナの培養研究から帰国すると、研究担当取締役・鈴木健吾からこんな指示を受けた。

「秀さん。佐賀の下水処理施設の下水・排水を利用して、飼料・肥料などの有価物としてユーグレナを培養できるかを研究するプロジェクトのリーダーに任命します。」

鈴木秀幸が任されたのは、下水処理の過程で発生するCO2と、下水中の窒素やリンなどを活用して、ユーグレナの培養方法を確立すること。ユーグレナ社・佐賀市・東芝・日環特殊・日水コン・日本下水道事業団の共同研究であり、同年4月には国土交通省の「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」に採択されていた。*ユーグレナなどの微細藻類

「下水でユーグレナを培養できたら、本来ならば使われずに捨てられてしまう資源を有効活用できる…ぜひ、やらせてください!」

2016年4月、鈴木秀幸とチームメンバーの竹内の2人が佐賀に派遣され、佐賀市下水浄化センターでの本格的な実験が開始した。実験開始までの期間は、下水処理場から排出されるCO2を分離回収する装置の設置工事を東芝が、そしてユーグレナを培養する設備工事をユーグレナ社が担当した。

東芝のCO2分離回収装置(左)とユーグレナを培養する水槽(右)

下水処理場は資源の宝庫、廃棄される資源を
活用したユーグレナの培養実証実験

ところが最初の3カ月間、鈴木秀幸は頭を抱えることになる。

「下水が濁っていてユーグレナをうまく培養できない…」

前提として、ユーグレナは光合成で育つゆえ、下水のように濁った水は光を通さず培養には適さない。下水を使ってのユーグレナの培養はユーグレナ社としても初めての試みであり、下水をそのまま使わず薄めてみたり、足りない栄養素を加えてみたりなど、チームメンバーの竹内と協力しながら条件検討を進め、2016年7月からなんとかユーグレナを培養できるようになった。

順調に進みはじめたプロジェクトだったが、国の大きなプロジェクトの実務責任者であるという事実が、時に鈴木秀幸にとっては大きなプレッシャーとなった。
それでも、近くでは佐賀市が下水処理場における堆肥汚泥の生産や、下水処理水の液肥利用、海苔養殖への漁業利用などの先進的な活動に「なんでもやってみよう!」と取り組んでいる姿を見て、「がんばらねば」と刺激を受けた。また、ここで得られた知見は将来バイオ燃料原料としてのユーグレナの生産コスト低減にも繋がることを、実験を進める中で実感していた。

佐賀市下水浄化センターにて(左:鈴木)

2017年2月、研究を重ねた結果、ついに下水処理の過程で回収したCO2、そして下水中の窒素とリンを用いた培養であっても、上水を用いた通常の培養のときと同じように効率的にユーグレナを増殖させられることに成功した。つまり、下水処理施設の下水・排水を活用してユーグレナを培養しても、生産量を落とすことなく、従来よりも大幅に培養コストを低減することが可能であることが実証できたのだ。さらには、下水中の窒素やリンをユーグレナの培養に利用することで、下水処理場への負荷を低減する効果も期待できることが分かった。

この結果を受けたユーグレナ社は、このプロジェクトで生産されたユーグレナを、飼料や肥料等へと産業利用する方法を継続して検証中だ。

現在、鈴木秀幸はバイオ燃料開発課の課長として、2020年のバイオ燃料有償フライトの実現に向けて、バイオ燃料原料用のユーグレナ生産の研究開発に邁進している。
「多くの人々に還元できるような研究開発がしたい」と入社したときの想いを実現し、次の世代によりよい未来を残すために。

2018年1月掲出

euglena Data

~下水処理場でのユーグレナ培養の事業モデルについて~

登場人物

バイオ燃料開発部
バイオ燃料開発課 課長
鈴木 秀幸

2013年10月入社。研究開発部 研究企画開発課でユーグレナの遺伝子組換え体を米国にて研究後、2015年10月より下水を利用したユーグレナの培養プロジェクトを行う。現在、バイオ燃料開発課の課長として研究を推進中。

「僕らの身の回りには、機転次第で廃棄物を資源化できる機会に溢れています。先入観を捨てて、ちょっと変わったことをやってみよう、という精神性を持ち続けることが、起死回生のアイディアを生むと信じています」

euglena Projects

vol.00

バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。

vol.01

誰もなし得ていない、ユーグレナの
屋外大量培養技術を確立せよ。

vol.02

ユーグレナを
300億円市場に育て上げよ。

vol.03

バングラデシュの
全ての小学校に給食を。

vol.04

煙突から排出されるCO2
ユーグレナを培養せよ。

vol.05

ユーグレナの化粧品事業を
立ち上げよ。

vol.06

日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。

vol.07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

vol.08

中国にユーグレナを
普及せよ。

vol.09

スーパーユーグレナを
獲得せよ。

vol.10

バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。

vol.11

ユーグレナでタケダと
新商品を開発せよ。

vol.12

下水処理場の下水を活用し、
ユーグレナを培養せよ。

vol.13

ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。

vol.14

日本独自の技術で、
ユーグレナを培養せよ。

vol.15

仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。

vol.16

ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。

vol.17

ユーグレナで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。

vol.18

ユーグレナの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ

vol.19

ユーグレナのカフェを
石垣島で開店せよ。

vol.20

ユーグレナを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

vol.21

ユーグレナ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。

vol.22

ユーグレナを使った
バイオ燃料を生産せよ。

vol.23

研究系ベンチャーを
ヒト、モノ、カネで支える
新しいファンドを確立せよ。

©2018 MELTIN MMI

vol.24

ユーグレナとクロレラで世界初の
ASC-MSC藻類認証を取得せよ。

vol.25

グループ企業との
シナジーを構築せよ。

vol.26

新しい仲間と、
遺伝子レベルで人を健康にせよ。

vol.27

自由が丘と
ユーグレナを普及せよ。

vol.28

ユーグレナサプリメントの
加工工場を立ち上げよ。

vol.29

理科のチカラで石垣島の
地域活性に貢献せよ。

vol.30

新しいユーグレナの
基幹化粧品を開発せよ。

vol.31

ロヒンギャ難民の
食料問題解決に貢献せよ。

vol.32

ユーグレナ由来の美容成分を
研究解明せよ。

vol.33

学生のチャレンジを応援!
通年採用を開始せよ。

vol.34

ユーグレナとクロレラで
ハラール認証を取得せよ。

vol.35

健康寿命を伸ばすユーグレナの
可能性を発見せよ。

vol.36

竹富島のクルマエビ養殖事業を
発展させよ。

vol.37

「G20軽井沢」にてユーグレナバイオディーゼル燃料で自動車を走らせよ。

vol.38

石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。

vol.39

CFO(最高未来責任者)を募集・選考せよ。

vol.40

国産カラハリスイカを
栽培せよ。

vol.41

日本初となる「バーチャルオンリー
株主総会」を開催せよ。

vol.42

次世代バイオディーゼル燃料を
普及させよ。

vol.43

コーポレート・
アイデンティティを刷新せよ。

vol.44

石垣島生まれの
ユーグレナを浸透させよ。

vol.45

ユーグレナ由来の
肥料研究を加速させよ。

vol.46

日本の空をバイオ燃料で
クリーンにせよ。

vol.47

オフィス環境を改善し、
仲間の生産性を向上させよ。

vol.48

化粧品における
サステナビリティを追求せよ

vol.49

次の新素材「ミドリ麹」の
価値を世に拡げよ。

vol.50

ユーグレナの
ESG経営を加速させよ

vol.51

未来世代アドバイザリーボードを
設置せよ。