vol.21 ミドリムシ入りディーゼル燃料をいすゞ自動車と共同で実用化せよ。

euglena Project

21

ミドリムシ入り
ディーゼル燃料を
いすゞ自動車と
共同で実用化せよ。

『DeuSEL®プロジェクト』の始動

2012.12 - 2014.06

完了

本気のチームで進めた、
いすゞ自動車との共同プロジェクト

2012年12月、ミドリムシが本当に燃料になると思っていた人は、当時ほとんどいなかっただろう。
そんな中、この『DeuSEL®(デューゼル)プロジェクト』が始まろうとしていた。

―ある日、とある大手大型自動車会社がユーグレナ社の取締役永田のもとに訪れた。
「ぜひ、私たちと一緒にミドリムシ由来のバイオディーゼル燃料を開発して、実用化しませんか!」

東証マザーズに上場したばかりのユーグレナ社の門を叩いたのは、なんと、あの商用車メーカーとして有名ないすゞ自動車だった。

「待っていました!」

永田は、今後も軽油のニーズが高いと思われる長距離輸送車向けのバイオディーゼル燃料の開発に必要性を感じており、いすゞ自動車とまさにその考えが一致したのだ。実は、永田がいすゞ自動車と組みたいと考えていた矢先の出来事だったこともあり、嬉しさをこらえきれなかった。

―そのころ、現・執行役員経営戦略担当の若原は、新しいチャレンジをしようとユーグレナ社に転職したばかりだった。そんな若原に、永田は声をかけた。
「若原さん、今度のいすゞ自動車とのミーティングに参加してください」

若原が入社後初めて参加した社外とのミーティングは、のちにユーグレナ社の一大プロジェクトとなる『DeuSEL®プロジェクト』に関するいすゞ自動車との打ち合わせだった。

『DeuSEL®プロジェクト』の始動

ユーグレナ社といすゞ自動車がこの『DeuSEL®プロジェクト』で目指したのは、含有率 100%でも車両のエンジンに負担をかけることなく使用することができるバイオディーゼル燃料(=次世代バイオディーゼル燃料*1)を実用化することだ。

だが、そもそもミドリムシからバイオディーゼル燃料を作ること自体、世界初の取り組みだ。
そこでまず、第一ステップとして、ミドリムシ由来の燃料を入れた「従来型のバイオディーゼル燃料*2」(以下ミドリムシ由来バイオディーゼル燃料)をつくり、いすゞ自動車にその燃料を評価してもらったのち、その燃料で一緒にバスを走らせよう!となった。そして、いすゞ自動車の大村さんのアイディアで、ミドリムシから作ったバイオディーゼル燃料は『DeuSEL®(デューゼル)』(DIESEL(ディーゼル)と euglena(ユーグレナ)を組み合わせた造語)と名付けられた。

若原は、取締役の永田、燃料の技術顧問の太田、研究の鈴木を中心とするプロジェクトチームに加わり、いすゞ自動車との連携窓口、契約書の作成、対外発表と発表後の協業内容の準備・作成、社内連携の調整など、プロジェクト全般の管理と運営業務を担当することになった。金融出身の若原にとっては、燃料の知識が全くない中での挑戦だったが、右往左往しながら必死に石油関係の本を読んだり、技術顧問の太田に教えを請うたりしながら、プロジェクトの運営に取り組んだ。

*1次世代バイオディーゼル燃料、*2従来型のバイオディーゼル燃料:「品確法」という日本の法律で、既に燃料として規格化されている「従来型のバイオディーゼル燃料」は、軽油とバイオディーゼル燃料を混ぜて作ることになっており、そのうちバイオディーゼル燃料の濃度は軽油の5%以下と定められている。なお、ユーグレナ社といすゞ自動車が実用化を目指す「次世代バイオディーゼル燃料」は、バイオディーゼル燃料100%で自動車に使用することが可能とされている。

2013年中の完成を目標に、ミドリムシ由来バイオディーゼル燃料の試験製造は難航しつつも何とか完成にこぎつけた。

しかし、思わぬ展開が若原たちを待ち受けていた。
完成したミドリムシ由来バイオディーゼル燃料が、公道走行で使用するために必要な法律上の規格を満たさなかったのだ。2013年中に完成して2014年4月にはミドリムシ由来バイオディーゼル燃料でバスが走る予定だったが、もう間に合わない。

1月の正月休み明け早々、永田、若原、太田の3人は沈んだ気持ちでいすゞ自動車の藤沢工場に向かった。
会議室に辿り着くなり、3人は頭を下げて謝罪した。
「ごめんなさい!やっぱりミドリムシ由来バイオディーゼル燃料作れませんでした…」

しばらく沈黙の時間が流れた。
すると、いすゞ自動車の本プロジェクト担当者であった奥山部長(当時)、小林さん、大村さんから意表を突く言葉が返って来た。
「…新しいことをやるということは、チャレンジなので失敗はつきものです。
いすゞもものづくり企業なので開発の苦労は分かります。一緒に実現するまでやり遂げましょう!」

最強の『DeuSEL®プロジェクト』メンバーたちとの一枚(後列真ん中:若原)

「いすゞ自動車の皆さんのためにも、次は絶対に成功させなければ…」

―そして、2014年2月。
若原たちは再度、いすゞ自動車藤沢工場に向かった。
チームで試行錯誤を重ねて、ついに法的規格を満たすミドリムシ由来バイオディーゼル燃料が完成したのだ。

このことを報告すると、
「本当ですか!やりましたね!!」
と、自分のことのようにいすゞ自動車の皆さんも一緒に喜んでくれた。

そして、2014年6月25日。
ついにユーグレナ社といすゞ自動車は、ミドリムシ由来の次世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けた共同研究契約の締結と、バイオディーゼル燃料の含有率が100%でも車両のエンジンに負担をかけることなく使用することができる次世代バイオディーゼル燃料の実用化を目指して2 社で共同研究に取り組む『DeuSEL®プロジェクト』の開始を発表。
また、『DeuSEL®プロジェクト』の活動の第一歩として、ユーグレナ社が開発した、世界初のミドリムシ由来バイオディーゼル燃料『DeuSEL®』を使用したいすゞの藤沢工場シャトルバス『DeuSEL®バス』の定期運行を同日から開始することを発表し、記者発表会でお披露目した。多数のメディアが参加した記者発表会は、当日夜のTV番組でも取り上げられるなど大反響となり、若原たちの努力が報われる形となった。

『DeuSEL®バス』と『DeuSEL®』専用給油スタンド
バスのラッピングなど、全ていすゞ自動車の仲間が作った力作だ

…そして約4年の時を経た2018年10月31日。
いよいよ日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが横浜市鶴見区で完成する。

それは、「次世代バイオディーゼルを作って一緒に公道で走らせたいですね!」と、『DeuSEL®プロジェクト』で若原たちが描いていた夢が、実現することを意味している。

『DeuSEL®』ホームページ: http://www.deusel.jp/

2018年10月掲出

euglena Data

~『DeuSEL®バス』は、合計10万2454kmの走行を達成しました!(2018年9月末時点)~

『DeuSEL®バス』は2014年7月1日から、
いすゞ藤沢工場↔湘南台駅のシャトルバスとして定期運航している

登場人物

執行役員
経営戦略担当
若原 智広

2013年8月入社。主にM&Aやファイナンスの執行に携わる。現在は執行役員として経営全般を見ながら経営戦略部を束ね、会社の屋台骨を支えている。

一言コメント
『DeuSELプロジェクト』は、ユーグレナ社における私の原点です。ファイナンスや経営全般を見る立場になりましたが、引き続きバイオ燃料の事業化もサポートしながら、あの時の夢を引き続き実現できるように頑張ります」

euglena Projects

vol.00

バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。

vol.01

誰もなし得ていない、ミドリムシの
屋外大量培養技術を確立せよ。

vol.02

ミドリムシを
300億円市場に育て上げよ。

vol.03

バングラデシュの
全ての小学校に給食を。

vol.04

煙突から排出されるCO2
ミドリムシを培養せよ。

vol.05

ミドリムシの化粧品事業を
立ち上げよ。

vol.06

日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。

vol.07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

vol.08

中国にミドリムシを
普及せよ。

vol.09

スーパーユーグレナを
獲得せよ。

vol.10

バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。

vol.11

ミドリムシでタケダと
新商品を開発せよ。

vol.12

下水処理場の下水を活用し、
ミドリムシを培養せよ。

vol.13

ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。

vol.14

日本独自の技術で、
ミドリムシを培養せよ。

vol.15

仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。

vol.16

ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。

vol.17

ミドリムシで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。

vol.18

ミドリムシの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ

vol.19

ミドリムシのカフェを
石垣島で開店せよ。

vol.20

ミドリムシを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

vol.21

ミドリムシ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。

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