vol.20 ミドリムシを飼料にして比内地鶏を育成せよ。

euglena Project

20

ミドリムシを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

肉質と脂身のうまみにこだわった「み鶏」の開発

2015.11-2018.09

完了

ミドリムシで国産の飼料をつくりたい

「ミドリムシを使って、農業や畜産業の助けになるような国産の飼料や肥料がつくりたい」
そんな思いを持って、渡邉翔太は2014年4月に当社に入社した。

渡邉は大学院時代からミドリムシの飼料や肥料分野での可能性に着目しており、大学院修士1年時には指導教授を説得して、在籍していた大学と当社との共同研究も立ち上げていた。入社後は新卒研修が終わる7月に研究企画課に配属され、ミドリムシの培養方法、飼料としての有用性などの研究に携わるようになる。

入社式での同期との一枚(左が渡邉)

日本各地のブランド家畜を
調査する中で出会った「比内地鶏」

渡邉がミドリムシの飼料を開発するにあたってまず考えたのが、どのような家畜にミドリムシを食べてもらうのが良いのかということである。家畜を選ぶ際に重視したのは「肉質や栄養素などに関する基礎的な研究データがそろっていること」「ミドリムシの給餌が肉質や栄養素などに好影響をもたらす可能性があること」「ブランド化できる(価格面で市場競争力を持てる)こと」の3点だった。

これらを踏まえ、ブランド家畜を中心に日本各地の家畜を調査した結果「最も条件に合致する」と考えたのが「比内地鶏」だった。「比内地鶏」は言わずと知れた日本を代表する地鶏ブランドで、肉のうまみや知名度に加えて、肉のうま味を裏付けるための肉質や栄養素に関する基礎的な研究データも揃っていた。

「比内地鶏にミドリムシを食べてもらうことができれば、比内地鶏の脂の色味や肉質や栄養素に良い影響を与え、ミドリムシの飼料としての価値を示せるかもしれない」

そう考えた渡邉は、比内地鶏に関する研究を推進するため、2015年11月に比内地鶏の肉質や栄養素に関する研究を手掛ける秋田県畜産試験場の協力のもと共同研究を開始した。そして、試験場で得られたデータを現場で再現できるかを確認するため、2016年4月に有限会社折林ファームと共同研究を立ち上げ、実証試験を行った。

壁を乗り越えた末の成功

研究を始めた渡邉を悩ませたのが、比内地鶏の好みに合わせ飼料を配合しなければならないという点だった。比内地鶏の飼料にミドリムシやクロレラの粉末を配合するのだが、比内地鶏は粉末よりも粒状の飼料を好む傾向があり、好みが合わないと飼料を食べる量が減り、また栄養のバランスが崩れても良い肉質には仕上がらない。

「栄養豊富なミドリムシやクロレラをなるべく多く食べてもらいたいが、配合割合によっては食が細ってしまい、最適な肉質にならない」
比内地鶏の飼料の摂餌行動を観察し、ミドリムシやクロレラの配合割合や給餌方法を調整する日々が続いた。

課題解決の突破口になったのは、現場で比内地鶏に向き合う畜産農家の方々の声だった。渡邉は研究結果から出てくるデータだけではなく、畜産農家の方々の豊富な知見や気づきから比内地鶏の好みに合わせた飼料をつくりあげた。その結果、畜産農家の方々と試行錯誤で作り上げた飼料を食べた比内地鶏では『脂の色味が変化する』『うま味に関与する成分が向上する』という研究データが確認された。

「ミドリムシを食べると、比内地鶏の特徴である脂身の色味が濃く、肉質のうまみが強くなる」
さっそく渡邉が開発した飼料で育てた比内地鶏を畜産農家やレストランのシェフに試食してもらったところ、皆その肉質の変化に驚いた様子だった。

給餌試験の様子

「み鶏」をレストランで提供へ

2018年1月には飼料の研究プロジェクトが秋田県の研究助成事業である「ローカルイノベーション誘発促進事業」に採択され、パートナーシップの拡大・深化を通じて、客観的、統計的な手法による肉質の改善効果の検討と比内地鶏の生産手法の確立を進めていった。

こうしてユーグレナやクロレラを配合した飼料を餌に育った比内地鶏はユーグレナやクロレラの色味が緑色であることもあり「み鶏(みどり)」と名付けられ、そして渡邉は考えた。
「「み鶏」を一緒にブランディングしていただけるレストランで「み鶏」を提供したい」

そんな思いにこたえてくれたのが、東京や関西でレストランを展開する株式会社バルニバービ(以下バルニバービ)だった。
2018年6月からバルニバービの東京にある5店舗で特別メニューとして提供されることになったのだ。そして「み鶏」を使った特別メニューの提供は、さまざまなメディアで取り上げられるなど反響を得た。

DRAWING HOUSE OF HIBIYA(ドローイング ハウス・オブ・ヒビヤ)で提供された特別メニュー
「比内地鶏と香ばしい野菜のサラダ仕立て ユーグレナと山葵のクレマ添え」

レストランでの「み鶏」の提供を成功させた渡邉は、引き続き入社時の思いを胸に、今日も研究開発に取り組んでいる。

2018年9月掲出

【株式会社バルニバービ】
「美味しいものをより楽しく、より健康に、より安く」をすべてのレストランに通じるキーコンセプトに、全国に82(2018年8月末時点)店舗のレストラン・カフェやスイーツショップを展開している。1店舗ごとの丁寧な店づくりにより、人々のライフスタイルに溶け込む街に根差した店をつくっている。「み鶏」を使った特別メニューは2018年6月15日~9月30日までの期間限定メニュー。

euglena Data

~どちらがユーグレナ入りの飼料?~

開発した飼料(左:通常の飼料、右:ユーグレナとクロレラ配合飼料)

登場人物

バイオ燃料開発部
バイオ燃料開発課 主任研究員
渡邉 翔太

2014年4月入社。
研究企画課に所属しミドリムシの培養や飼料としての有用性の研究に従事。その後ライフサイエンス課、ヘルスケア事業推進課に異動し、飼料や「み鶏」の品質保証や販売を担当。2018年7月からはバイオ燃料開発課でミドリムシの飼料化の研究に従事している。

一言コメント
「自分の思いから始まったプロジェクトでしたが、仲間の皆さんや社外のパートナーの皆様の支えがなければ成功できなかったプロジェクトでした。大学時代から思い描いていた夢の一つを一緒に実現して下さった多くの皆様に感謝申し上げます。これからもミドリムシの飼料としての活用に取り組んで参ります。」

euglena Projects

vol.00

バングラデシュの子どもたちを
救う素材を探せ。

vol.01

誰もなし得ていない、ミドリムシの
屋外大量培養技術を確立せよ。

vol.02

ミドリムシを
300億円市場に育て上げよ。

vol.03

バングラデシュの
全ての小学校に給食を。

vol.04

煙突から排出されるCO2
ミドリムシを培養せよ。

vol.05

ミドリムシの化粧品事業を
立ち上げよ。

vol.06

日本初のバイオジェット燃料
製造プラントを建設せよ。

vol.07

「ミドリムシ」の名前を
武器にせよ。

vol.08

中国にミドリムシを
普及せよ。

vol.09

スーパーユーグレナを
獲得せよ。

vol.10

バングラデシュの
貧困問題を
緑豆事業で解決せよ。

vol.11

ミドリムシでタケダと
新商品を開発せよ。

vol.12

下水処理場の下水を活用し、
ミドリムシを培養せよ。

vol.13

ユーグレナの仲間の
「行動指針」を作成せよ。

vol.14

日本独自の技術で、
ミドリムシを培養せよ。

vol.15

仲間がより働きやすい
オフィスを追求せよ。

vol.16

ゆーぐりん保育園を
オフィスに併設せよ。

vol.17

ミドリムシで石垣島の
地域活性化に貢献せよ。

vol.18

ミドリムシの認知度を上げる
新商品を共同開発せよ

vol.19

ミドリムシのカフェを
石垣島で開店せよ。

vol.20

ミドリムシを飼料にして
比内地鶏を育成せよ。

vol.21

ミドリムシ入りディーゼル燃料を
いすゞ自動車と共同で実用化せよ。

vol.22

ミドリムシを使った
バイオ燃料を生産せよ。

トップに戻る