~バングラデシュからの「ユーグレナGENKIプログラム」レポート~


2018年9月の活動報告
~エクマットラアカデミーでのユーグレナクッキー配布~

株式会社ユーグレナ
事業開発部 / バングラデシュ事務所

2018年4月~9月期はユーグレナクッキー配布目標110万食に対し、合計112万食分のユーグレナクッキーを配布しました。プログラム対象校は今期はじめ52校でしたが、59校まで増えました。また1日のクッキー配布生徒数も、2018年3月末時点で約9,000人でしたが、9,800人まで増えました。

1.エクマットラアカデミーでのユーグレナクッキー配布

エクマットラは、バングラデシュの首都ダッカで、路上生活をしていた子どもたちが社会生活のルールを身につけるための共同生活の場であるチルドレンホームの提供を通じ自立支援を行っているNGOです。現在、エクマットラの顧問を務める渡辺大樹氏が大学卒業後、バングラデシュに飛び込み、2003年に現地の大学生たちと同NGOを立ち上げました。
 当社は、現地で奮闘する渡辺氏と一緒に子どもたちを支援していきたいという思いから、2014年8月にエクマットラのチルドレンホームで子どもたちへユーグレナクッキーの配布を開始しました。今年7月にエクマットラは、ダッカの北部170kmに位置するマイメイシンに、エクマットラアカデミーを新たに開設しました。エクマットラアカデミーとは、路上生活をしていた子どもたちがチルドレンホームで社会生活のルールを身につけたのち、社会で自立するために必要な高等教育や専門技術を身に付ける全寮制の次世代リーダー育成施設です。また、アカデミーでは演劇などの文化・教育を通じて人間力溢れる人材を育成するための教育も行っています。ダッカの施設から引越しした5歳から16歳の合計28人の子どもたちが、現在同アカデミーで生活をしています。当社はエクマットラよりユーグレナクッキー継続配布の要望をいただき、チルドレンホームに加えアカデミーでも子どもたちに届けることを決めました。今後マイメイシンで路上生活をしている子どもたちも加わり、将来100人近い子どもたちがアカデミーで生活する予定です。
 同アカデミーで子どもたちに特に人気があるのは、コンピューター講座です。IT大国インドの隣国であるバングラデシュでは、政府主導で「デジタルバングラデシュ」の政策を進めており、先進国のIT人材不足を補う優秀な人材育成に力を入れています。講座には、コンピューターに親しむ入門コース、グラフィックデザインなどを学ぶ専門コースがあります。現在、子どもたちはコンピューター操作に慣れるため入門コースを受講しています。日本の子どもたちと同様、コンピューターでゲームをしたり、漫画を見たりすることが楽しいようです。子どもたちは、今後プログラミングやグラフィックデザインの専門知識を身に付け、アカデミー卒業後はオンラインゲームの開発者になりたいと当社現地スタッフに話をしてくれました。

2.マトリチャイア学校の運営委員会、ショハン委員長の紹介

今月は、ダッカ市内にあるマトリチャイア学校(Mattrichaia School)の運営委員会の委員長を務めるショハンさんを紹介します。同委員会は、日本でいう教育委員会のような役割を果たしています。運営委員会の主な目的は、教育方針を定めることや、保護者会で先生と一緒に両親からの要望を聞き、学校の運営改善を図ることです。ショハンさんのほか、校長先生や会社経営者など合計6人が同委員会に所属しています。ショハンさんは、バングラデシュの最難関校である国立ダッカ大学教育学部で修士号を取得しました。卒業後は、父親が立ち上げた衣料品製造会社の経営に携わり、その傍ら、学生時代に学んだ教育学の知識を活かしたいと考え、2010年のマトリチャイア学校設立時に運営委員会を立ち上げました。ショハンさんは委員長として様々な問題に直面しています。最も深刻な問題は、女子生徒の児童婚です。これまでもご紹介したとおり、スラム街では15歳未満で結婚せざるを得ない少女が20%近くいます。児童婚は、少女たちが家事を理由に学校を中途退学する可能性を高めます。また、身体が未成熟な状態での妊娠・出産により少女たちの死亡率を高めるリスクもあります。ショハンさんは、男女平等に教育を受けさせたいという思いから、児童婚をする女子生徒の家庭を訪問して両親を説得したり、地元の有権者に児童婚撲滅を訴え、協力を依頼したりしています。しかし全ての児童婚を阻止することはできません。女子生徒が児童婚によって退学する度、彼はやり場のない思いを抱きます。
 そんな中、ショハンさんにとってGENKIプログラムは大きな希望です。2016年8月にユーグレナクッキーの配布が始まり、2年が経過しました。彼は仕事の合間を縫って学校を訪れ、クッキーを食べ続けることの重要性を子どもたちに伝え続けています。彼は、喜んでクッキーを食べるこどもたちの笑顔に、深刻な問題がある中でも一筋の光明を見出します。

3.課外活動の裁縫教室の様子

SSKS小学校(SSKS Free Primary School)の裁縫教室の様子について紹介します。バングラデシュの主要産業は、衣料品・縫製品産業です。最近では、日本でも「Made in Bangladesh」の洋服が流通しています。同校の先生たちは、卒業後の仕事に役立つスキルを子どもたちに身につけて欲しいと考え、2011年より週2回、放課後の課外授業として主に子どもたちに裁縫を教えています。裁縫教室は、6か月間行われます。入会費は約200円、月謝は約70円です。毎月の学費の約450円と合わせても、家庭に大きな負担をかけず受講することができます。これまで合計14期、122人の子どもたちが学んできました。現在は15期目として、4-5年生の7人の子どもたちが受講しています。また、その子どもたちのお母さん2人も受講しており、合計で9名が裁縫を学んでいます。
 裁縫教室に通う5年生である11歳のモニヤちゃんは、放課後15時からの授業を大変楽しみにしています。最初は、先生から針に糸を通す、ボタンを付ける、生地を裁断する方法などの基礎を学びました。その後、ミシンの使用方法を学び、現在はバングラデシュの女性用伝統服であるサロワール・カミューズ(写真-6)などを、家族のため製作しています。モニヤちゃんの家族は、お父さんとお母さん、3人のお姉ちゃんとモニヤちゃんの6人です。お父さんは日雇いの仕事をし、お母さんは専業主婦です。2番目のお姉ちゃんは繊維工場で働き、家計を助けています。モニヤちゃんは、「今は家族のために学校で洋服を作っているけれど、家族でお金を貯め、いつかミシン(約15,000円)を購入し、家で洋服を作れるようになりたい。お姉ちゃんは早朝から夜まで繊維工場で働いていて本当に大変なの。卒業後は、お母さんとお姉ちゃんと一緒に仕立屋さんをやりたい。」と話をしてくれました。裁縫教室のローション先生は、「裁縫を学ぶことで、子どもたちが自立してお金を稼ぎたいと思うようになってきました。家庭の事情などで進路を変えられないこともありますが、今後も子どもたちの進路の幅を広げる手助けをしていきたい。」と当社スタッフに語ってくれました。

引き続きご支援をよろしくお願いいたします。