~バングラデシュからの「ユーグレナGENKIプログラム」レポート~


2017年11月の活動報告
~新たなモデルでクッキー配布を開始した学校の紹介~

株式会社ユーグレナ
事業開発部 / バングラデシュ事務所

今年度のユーグレナクッキー配布目標200万食に対し、11月までに約144万食(進捗率:72%)を配布しました。

1.新たなモデルでクッキー配布を開始した学校の紹介

GENKIプログラム活動費の一部を現地支援者より提供いただいてユーグレナクッキーを配布する新たなモデルを今年の9月から開始しました。支援者、先生にプログラムの活動内容や目標に賛同いただけたことで、本モデルにて新たに3校(計260人)でクッキーの配布が始まりました。1校目のフェイム学校(Fame school)は、建設企業のCSR活動により、プログラム活動費の一部を負担しています。2校目のメリットケア学校 (Merit Care school)は、浄水器販売会社の社長が支援者です。3校目のポルシファンデーション学校(Porshi Foundation School)は、校長先生が設立した財団がプログラム活動費の一部を負担しています。
 今月はこのポルシファンデーション学校について紹介します。こちらの学校は、特に貧しく、机も椅子もないので、床に教科書を置いて勉強しています。創立者であるシャヒーナ校長先生は、現地テレビ局に勤めるかたわら財団を立ち上げました。彼女は国内外の友人に寄付を募り開校しましたが、毎月の学校運営は厳しい状況です。
 80人の生徒を抱える学校運営費は月5万円です。その内訳は教室賃料が2万円、5人の先生の給与が2万円、その他諸経費が1万円で、ほとんどの先生がボランティアで教えています。子どもたちの親の多くは、リキシャ(三輪自転車タクシー)の運転手や道路で野菜を販売して生計を立てています。平均的な世帯収入は月1万円程度で、多くの家庭が5-6人の兄弟姉妹がいる大家族のため、生活に余裕はありません。プログラム対象の他校の授業料は平均して月200~300円ですが、ポルシファンデーション学校の授業料は文房具代の一部として月50円のみです。シャヒーナ校長先生は、子どもたちの家庭環境から無料にすることも検討しましたが、親たちが教育に責任を持って欲しいと考え、少額のお金を授業料として受領しています。
 現地スタッフが初めてポルシファンデーション学校を訪問した際、栄養不足による子どもたちの成長の遅れを感じました。皆6~8歳くらいの背丈ですが、ほとんどの子どもが10歳を超えています。シャヒーナ校長先生は「朝食を食べずに登校する子どもたちが多く、栄養が不足しています。GENKIプログラムは、栄養問題解決のためにクッキーを配布してくれるので、子どもたちの今後の成長が楽しみです。また、財団で集めたお金で近い将来に机と椅子を準備し、学習環境も改善していきたいです。」と今後の展望について話をして下さいました。

2.地方から移住してきたシュボ君の紹介

皆さんはスラム街に住む人たちが、どのような背景でスラム街に住んでいるかご存知でしょうか?
 バングラデシュの人口は、約1億6千万人です。首都ダッカに住んでいるのは、約1千8百万人ですが、そのうち約40%がスラム街に住んでいます。今回紹介するシュボ君(12歳)もその1人です。彼のご両親は地方で農業を営んでいましたが、生活が困窮していたため、安定的に現金収入を得られるよう首都ダッカに移住しました。現在、シュボ君のお父さんは裕福な家庭の家政夫として働いています。彼のご両親は家庭の事情で小学校を卒業しておらず、そのため、ダッカに移住しても就ける職は限られており、毎日の生活は依然苦しいままです。シュボ君のご両親は教育の重要性を痛感し、彼には高校を卒業し、安定した職業に就いて欲しいと考えています。
 シュボ君は「家族はお父さん、お母さん、5歳と3歳の2人の妹、僕の5人家族。毎日3食のご飯を満足に食べられる余裕がないのに、お父さんは授業料を払って学校に行かせてくれる。ちゃんと勉強して、将来は住んでいた地方に戻りたい。そこで大好きな魚を飼育する養魚場を営みたい。」と故郷を懐かしみながら話をしてくれました。彼のような子どもたちが教育を受け、栄養不足と貧困から抜け出せる未来に、今後もクッキーを通じて貢献していきたいと考えています。

3.ムハマド・ユヌス氏 著書『A World of Three Zeros』の紹介

 2006年ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行創始者、ムハマド・ユヌス氏の著書『A World of Three Zeros』が9月末に出版されました。こちらでユヌス氏は「貧困」「非雇用者」そして地球温暖化の原因とされる「二酸化炭素排出」の3つをゼロにする新しい経済創出の必要性について説いています。「3つのゼロ」経済の考えにおいて、貧困問題解決を目的とした当社の緑豆事業およびGENKIプログラムが紹介されました。
 当社とユヌス氏との繋がりは1998年にさかのぼります。当時学生だった社長の出雲がグラミン銀行でインターンをした際、バングラデシュの子どもたちが抱える栄養問題の厳しい現実を目の当たりにしました。そこから出雲はバングラデシュの栄養問題を解決したいとの想いを持ち、59種類の栄養素を持つミドリムシに着目したのが当社の始まりです。出雲は、ミドリムシの大量培養がなかなかうまくいかないときや、経営を揺るがすトラブルに見舞われたりした際、『ムハマド・ユヌス自伝 貧困なき世界をめざす銀行家』を読み返し、勇気をもらい困難に立ち向かいました。出雲の心の師であり、当社の始まりを与えてくれたユヌス氏の著書に本事業が取り上げられ、大変光栄に思います。
 ユヌス氏は、誰もが「不可能だ」「無理だ」と反対しても、読み書きできない貧困層の女性へ無担保で融資を行い、「貧困者に貸しても返済率が低い」という常識を覆して100%に近い返済率を達成しました。これまでに800万人以上がグラミン銀行の融資を受け、多くの人々が貧困から脱出しました。どんなに人から反対されても、諦めずに成し遂げたユヌス氏の偉業に『A World of Three Zeros』で触れれば、いかなる困難があろうと不可能と思える3つをゼロにすることは可能である、と皆さんも感じていただけると思います。ユヌス氏の想い、GENKIプログラムの原点に触れることができる本書の邦訳は、来年2月末に早川書房より出版予定です。是非ご一読ください。
※グラミン銀行は、マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした比較的低金利の無担保融資を主に農村部で行っています。

引き続きご支援よろしくお願い致します。